以前世田谷美術館でのお客さんと監視員とのトラブルについて書いた。
今日行った美術館には人件費削減のためか監視員がいなかった、それが不幸だった。
武蔵野市立吉祥寺美術館、今日から始まった中川紀元の展覧会を観に行く、紀元節に誕生したからこの名前がついたそうだ、長野の辰野美術館というところの所蔵作品からだ。
展示室に入るなり大きな話し声が聞こえたのでまずいやになった。
知り合いの会話かと思ったらどうもはじめてあった人同士の会話のようだ「あなたも武蔵野」とか話している。
早く会話が終了することを願って絵を観る、フランスでマティスに師事したというこの人の作品はいかにも荒っぽい、ささっと書きなぐったようだ。
大作「アラベスク」などいかにもマティス風だ、一方「こども」と題される作品はいかにもさびしげだ、何があったろうと思う。
ここいらへんで2人の会話が終了、やっと落ち着いて絵を観られる。
さてさて中川は途中から日本画に関心を持ったようだ、水墨画的油彩画というか、中国の文人画というかなんかそんな感じになる。
ゆっくり観ていると、今度はさっき会話していたおじさん2人の片割れが僕に話しかけてきた、「この書がいいね」とか、はっきり言ってうるさいが適当に相槌をうつ。
いなくなったと思ったら又やってきていう「この人はー」、いい加減にしろ、こちらは絵と対話しているんだ「ここは展示室だ、静かに鑑賞させてください」と怒鳴ってやった。
向こうに行ったがどうも後味が悪い、晩年のこの人の作品は白くなる、人物と背景が融合したような世界を作り出す、その背景に何があったかと想いをはせたいのだが、おしゃべりおじさんのおかげで台無しだ。
前にも相田みつを美術館で展示室ソファーに座って世間話をするおばさんに、誰かが怒っていたことを思い出す。
どうも美術鑑賞のマナーができていないのは老いもわかきも関係ないようだ。
この美術館は入館料百円だから管理が甘いのだろうか、普通は監視員が静かにと注意するところだ。
まあ辰野美術館の珍しい作品を観られたからよしとしようか、けどやはりこれは大声で言いたい、美術館ではお静かに!