だらだら日記goo編

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日本人としての誇り

2005-07-18 23:25:49 | ギャンブル
連休最終日は川崎市岡本太郎美術館へ、招待券がある。
おきたのが遅かったので、新聞もろくに読まずにあわてていく。
企画展示は岡本太郎「明日の神話」完成への道の展覧会、見ごたえがある。
まずは岡本の戦争体験から、「眠る兵士」なる戦友を描いた絵はテレビ東京「何でも鑑定団」に出されて真とされたとか面白い。
そして原爆、原爆を描いた「瞬間」という絵は行方不明だとか。
しかしその下絵には「人間、人間、人間」とたくさんの「人間」という言葉が記されている、岡本の思いが伝わってくる。
ヒロシマを訪れた岡本は、自分なら「平和」なんて形式的なお飾りはやめて、何もない空間をつくると語ったという。
そして「安らかに眠ってください」なる碑文は「甘ったれたイヤな文句」ときって捨てる、いかにも岡本らしい。
そして岡本はメキシコに行く、「オテル・デ・メヒコ」に依頼された壁画制作、日本万博のプロデューサーとしてモントリオール万博を見学するために。
僕は見ている時間がなかったが、会場ではそのとき撮影された「もう一つの旅」というビデオも上映されていたし、岡本がとったメキシコの写真も展示されている。
メキシコでは「五大陸」というモニュメントーオリンピックのためにメキシコに集まる人々を象徴したものかーも製作するなど岡本は多忙だ。
そして「明日の神話」だ、「ヒロシマ、ナガサキ」の副題のついた全長三十メートルに及ぶ壁画だ。
「ヒロシマ、ナガサキ」の悲劇を前にでも「明日」を語るのだ。
そこには日本人としての岡本の誇りがあるのだろう。
原爆の被害を受けながらでも不死鳥のように立ち直った日本ー岡本はそういう意味を込めているのだろう。
会場解説にあったようにこの作品は「哄笑」しているのである。
人間はおろかである、けど生き延びていくのである、911のテロがあろうとなかろうとその事実に代わりはない。
岡本敏子さんはこの不穏な時代にもう一度太郎のこの作品を見つめてほしいと修復を決めた。
そしてこの壁画は敏子さんが亡くなるのと時を同じくして日本に運ばれてきた。
この展覧会はかなり専門的な展示もあり、観るのに時間がかかるのも事実だ。
だが岡本太郎、敏子さんの思いを受け継ぐ若い人にぜひ見てもらいたい、入館料は六百円、カタログはわずか五百円だ。
繰り返すが人間はおろかだが生き延びていくのだ。
かつてルターは「明日世界が滅びるともそれでも自分はリンゴを植える」と語った。
おそらく世界は滅びない、ルター以上に未来のためにできることをしなければと思う。