花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

国立西洋美術館「アルチンボルド展」感想(2)

2017-06-23 02:00:43 | 展覧会

今回の目玉はアルチンボルドの『四季』『四大元素』が全点集結!にあり、画家の綺想に満ちた作品の数々を堪能できるとともに、当時の世界観とオーストリア・ハプスブルグ家称揚が合体された寓意と創造の成り立ちへの理解も深めることができる。 

  

「アルチンボルド展」チラシ(移動でヨレたのでケースに入れて撮影(^^;)

アルチンボルドの綺想作品は、近くに寄って見れば野菜や果物などが写実的に組み合わせ描かれているのがわかるが、しかし、同時に後方に移動して見直せば人の顔(ハプスブルグ家の皇帝たちの肖像だったりする)が浮かび上がってくる。 

これらは単なるお遊び的な寄り絵ではないのは、皇帝たちも喜んで受け入れ、ロマッツォやコマニーニ、フォンテオなどの同時代人たちも評価する、入念な構想力とその構成物である静物の写実力の賜物である。 

例えば今回のハイライト、四季「冬・春・夏・秋」と四大元素の「水・大気・火・大地」は対応し、それも対応作品が向かい合う横顔として描かれている。これらの宇宙世界を統べるのがハプスブルグの皇帝たちという、なんとも壮大な寓意が込められているのだから。 

でもね、アルチンボルド作品の真の凄みは、この写実的構成物の「個々を観る」と構成物による全体像である「人物像を観る」という、二重の「観る」意味(或いは関係)を私たちに問いかける仕掛けが組み込まれているところにあるのだと思う。 

さて、ウィーンやマドリード作品は今までに目にしたこともあるが、リヒテンシュタインやデンバー作品は私的に多分初見だと思うし、とても興味深く観ることができた。でも、やはりウィーン作品はいずれも質の高さが伝わってきて、特に《冬》は存在感のある佇まいだ。

ジュゼッペ・アルチンボルド《冬》(1563年)ウィーン美術史美術館

木の枝の冠や麦藁編みのマキシミリアンのMや火打石模様(金羊毛の鎖よね!)編み込みだったり、老木の土臭さとレモンの組み合わせなども美しくて好きだ。  

で、思ったのだが、髪の毛として描かれている蔦葉なのだが、以前に「カラヴァッジョ展」感想(10)で紹介したモレット《ノアの泥酔(Ebbrezza di Noè)》に通じていたりしないだろうか??

http://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/6bc5feec7786cb4ad7437764f77a7f81

確かベルガモのアカデミア・カッラーラかブレシャのトジオ・マルティネンゴのどちらかで、アルチンボルド《春》《フローラ》風の花々の寄せ絵的な女性像が多数展示されているのを観たことがある。「アルチンボルド風」がロンバルディアで流行していたことが良くわかったのだった。

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今回の東京行き。

2017-06-21 23:58:19 | 国内旅行

今回の東京行きは、バタバタと出かけバタバタと帰ってきた。展覧会だけ観て帰ってこようと思っていたので、遅めの昼食も国立西洋美術館のカフェレストラン「すいれん(睡蓮)」にした。

「アルチンボルド展」特別メニュー。顔に見えるのかなぁ???

イベリコ豚に生野菜だけど、う~ん、なんでイベリコ豚なのかよくわからんでした(^_^;)

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国立西洋美術館「アルチンボルド展」感想(1)

2017-06-20 23:59:18 | 展覧会

国立西洋美術館「アルチンボルド展」を観た。

で、取りあえずの感想をサクッと…書く前に…私は知りませんでした(>_<)

http://arcimboldo2017.jp/

「ジュゼッペ・アルチンボルド(?)《火》《大気》  本作品は所蔵者の都合により、6月24日(土)から公開予定です。」(公式サイト&新チラシ)

これから展覧会をご覧になる方は6月24日以降がお勧めですね。 

ということで、上記2作品は残念なから観られなかったが、展覧会自体は私的興味のツボを押さえてくれ、非常に面白かったのだ。 

Ⅰ)アルチンボルドとミラノ  Ⅱ)ハプスブルグ宮廷  Ⅲ)自然描写  Ⅳ)自然の奇跡  Ⅴ)寄せ絵  Ⅵ)職業絵とカリカチュアの誕生  Ⅶ)上下絵から静物画へ 

特に「アルチンボルドとミラノ」は、ミラノを中心とするロンバルディアのレオナルド由来の自然主義的風土の中のアルチンボルド、「上下絵から静物画」は、アルチンボルドのミラノ帰還によるミラノ写実主義的静物画への影響の大きさ。それはミラノ修業時代の(多分に静物画嗜好の強い)カラヴァッジョにも多大な影響を与えていただろうことを確信させてくれる。 

もちろん、今回のハイライトは「ハプスブルグ宮廷」画家として活躍したアルチンボルドの「綺想」作品を十分に楽しめる内容であるし、その「綺想」の意図する深さと大きさが見えてくるのだ。また、時代と宮廷の嗜好するものも非常に興味深い。新大陸からの珍しい文物が当時のヨーロッパ宮廷に驚きと収集への熱狂を起こしたことも偲ばれた。 

展覧会の詳細な感想は次回にしたいのだが、最後にひとつだけ。図録、特に渡辺晋輔さんの「宮廷の野人」がすこぶる面白い!!

 「アルチンボルド展」図録

仙台に戻ってから参考用に本棚から取り出した図録が3冊ある。もちろん、図録の1冊は去年の「ラヴァッジョ展」だが….

メトロポリタン美術館「Painters of Reality」展図録 

国立西洋美術館「カポディモンテ美術館展」図録 なにせ、ファルネーゼ家だものね♪

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展覧会の図録DVD。

2017-06-11 23:03:06 | 展覧会

図録話題が続いてしまうが…私は年寄りだから重い図録が苦手だ。特にハードカバー図録なんて恐ろしくて敬遠してしまう(^^;。なので、どうして図録DVDが普及しないのか不思議なのだ。 

例えば海外の展覧会で購入したDVDが何枚かあるのだが、アルベルティーナ美術館「Rubens」展のDVDなんて良く出来ていて、図録に迫る情報が盛り込まれている。作品をクリックして拡大したり、解説を見ることもできるし、とても便利なのだ。

ちなみに、カラヴァッジョの展覧会DVDはTV番組みたいな内容ばかりで、図録代わりにはならないシロモノである(-_-;)。「COREGGIO」展のDVDは内容が充実しているのでまだ許せるけどね。 

日本でもDVDをたま~に見かけることはあるが(買ったことはないけど)、図録は紙版が圧倒的に多い。DVDも良いと思う私なんてやはり少数派なのだろうなぁ(^^;;

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「ベルギー奇想の系譜」展の図録発売中...。

2017-06-10 00:23:23 | 展覧会

このブログでも既に報じたが、Bunkamuraザ・ミュージアムで「ベルギー奇想の系譜」展が7月15日から始まる。

http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_belgium/

で、何と...

「ザ・ミュージアム「ベルギー奇想の系譜」展では7/15(土)の開幕に先駆け、公式図録を<期間限定>で発売中! 

7月の開幕に先駆け、本展の公式図録をBunkamuraオンライン市場で販売いたします。 展覧会の予習にぜひお買い求めください。 

[販売期間] 6/1(木)~9/24(日)    [価格]2,400円(税込)」 (Bunkamuraサイトより)

http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_belgium/topics/206.html

要するに、宇都宮や神戸で既に開催しているので、今更図録を先行発売しても支障が無いということなのだろう。作品リストも既にネット上に出ているし...ね(^^;

http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1705/Belgiumlist.pdf

私的には、どの美術館も初回展の前に図録先行発売してもらえたら嬉しいのだけど、虫が良過ぎるかなぁ(^^ゞ

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仙台フォーラムで映画「エルミタージュ美術館」が♪

2017-06-04 23:46:22 | 映画

映画「エルミタージュ美術館 美を守る宮殿」Hermitage Revealed

公式サイトの劇場一覧には出ていないけど、何と「仙台フォーラム」で上映予定!!(^^)v

http://forum-movie.net/sendai/movie/358 

「エルミタージュ美術館 美を守る宮殿」Hermitage Revealed

【公開日】2017年6月17日

【上映時間】83分

【監督・脚本・製作】マージー・キンモンス

【出演】ミハイル・ピオトロフスキー/レム・コールハース

半分あきらめていたので、凄く嬉しいのだわ♪♪

仙台フォーラムさん、ありがとう!!(^^)/

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パラティーナ絵画館でGUCCIのショーが。

2017-06-01 01:28:51 | 着るもの

フィレンツェのピッティ宮パラティーナ絵画館を会場に、GUCCIの「CRUISE 2018 COLLECTION」ショーが開催された。BGM(?)が「南無妙法蓮華経」の読経唱和から始まったのには驚いてしまったのだけど(・・;) 

https://www.gucci.com/jp/ja/#homepage-video 

【追記】GUCCI公式サイトの動画 ↑ が編集されたので、編集前の元の動画 ↓ をYoutubeから見付けた。こちらには絵画作品がしっかり映り込んでいる。

https://www.youtube.com/watch?v=15sgCqxvrwI

もちろん、パラティーナの絵画多数も背景でカメラ出演(?)しており、あのラファエッロ《小椅子の聖母》も背後に登場。

ラファエッロ《小椅子の聖母》(1513年 - 1514年頃)パラティーナ絵画館

ランウェイのファッションよりも背景の絵画群に目が行ってしまったのだから、私的には絵画の方が魅力的だったということかもね(^^;;

ハイブランド・ファッションは自分が着る・着ないは関係なく(高価過ぎて手が出ないし)、デザインや色合わせ、マテリアルの面白さなど、観ていて楽しい。それに、美術館に現代アートとして置かれている作品とは違い、用の美を併せ持つところが良い。 

ちなみに、今回のGUCCIのショーで多用されていた黄金の鉢巻状冠(corona aurea)が印象的だったので、蛇足ながら、マルケ(アンコーナ)国立考古学博物館で撮ったコロナ・アウレアを紹介したい。

古代ギリシア由来のようではある。

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東京国立博物館の「運慶」展に...。

2017-05-30 23:29:58 | 展覧会

なるほど!!金剛峰寺の運慶《八大童子立像》は仙台へ、東京へ、と旅することになるのですね(・・;)>Luntaさん

国宝 八大童子立像(恵光童子像)(運慶作)金剛峯寺 鎌倉時代

で、まだ先の事だと思っていたが、東京国立博物館「運慶」展の公式サイトが出来ていた。

http://unkei2017.jp/

「運慶」展

・会場:東京国立博物館(平成館)

・会期:2017年9月26日(火)~11月26日(日)(会期中に一部展示替えあり)

もちろん、高野山金剛峰寺の八大童子立像も出展予定である(^^)

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仙台市博物館で「空海と高野山の至宝」展が。

2017-05-29 23:04:45 | 展覧会

仙台市博物館で「空海と高野山の至宝」展が開催される。(momoさん情報にGrazie!)

http://kukai-koyasan-sendai.jp/ 

・会場:仙台市博物館

・会期:2017年7月1日(土)~8月27日(日)

【展示替】 ・前期:7月1日(土)~7月30日(日)  

      ・後記:8月1日(火)~8月27日(日)

東日本大震災からの復興祈念として、仙台で展覧会を開催していただけるのは、真に有り難いことだと思う。

国宝 八大童子立像(制多伽童子像)(運慶作)金剛峯寺 鎌倉時代 (前期展示)

多分、2004年に観た東京国立博物館「空海と高野山」展に似た構成(縮小版)になるとは思うが、前期・後期で展示替えもあるので、充実の内容になるだろうと推察される。 

重文 孔雀明王像(快慶作)金剛峯寺 鎌倉時代 (前期展示)

多分、私的には前期も後期も観ると思うが、チケットは「リピーター割引」よりも前売り2枚買った方がお得よねぇ(^^;

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映画「メットガラ」が凄い!!

2017-05-28 02:11:46 | 映画

映画「メットガラ(The First Monday in May)」を観た。感想は、もう、凄い!!の一言だ。(ほーっ...溜息)

http://metgala-movie.com/

この映画は、メトロポリタン美術館(服飾部門)の2015年「China: Through the Looking Glass(鏡の中の中国)」展の制作過程と、チャリティ前夜祭である「メットガラ」(世紀の一夜!)のために奮闘する8か月に密着した情熱のドキュメントである。

なにしろ、企画者のアンドリュー・ボルトンが奔走する展覧会の制作過程やバックヤードが見られるだけでなく、アナ・ウィンターがヴォーグ軍団を率いて取り仕切る仕事っぷりも見事で、その上、展覧会もガラも超ゴージャスで、見ている間中もう目が眩むような至福の時でしたわ!!

メトロポリタン美術館(服飾部門)アンドリュー・ボルトン と 米ヴォーグ編集長アナ・ウインター

ボルトンがアレクサンダー・マックイーンのドレスの裾を直している...

でもね、何といっても圧巻だったのは、テーマに沿った中国趣味的衣装ドレスの豪華絢爛さであり、有名デザイナーたちが展示のために惜しげもなくドレス貸与している姿も感動的だった。中国文化にインスパイアされた作品の数々が関連するMET作品(東洋美術部門)と並び展示される様は、西洋からの中国(東洋)への眼差しがたとえ表層の美であっても、私的に許してしまうほど(^^;。もちろん、METサイトも言及しているエドワード・W・サイードの「オリエンタリズム」を東洋人の私としては頭の片隅に置く必要もあるのだけれどね。

参考としてメトロポリタン美術館側の展覧会動画を下記にリンクするが、本当に素晴らしいのだ!!

http://www.metmuseum.org/metmedia/video/collections/ci/china-looking-glass-gallery-views

で、展覧会の展示コスチュームがあまりに素敵過ぎて、MET図録をAmzaonでぽちっとなしてしまった(笑)。でも、図録の紙質が、えっ?!だった。装丁は良いのだけれど、まるでカラーコピーを二つ折りしたような製本で、もしかしてコストダウンを図ったということなのかなぁ??

 

「China: Through the Looking Glass(鏡の中の中国)」展図録

で、もう、書きたいことは山ほどあるのだけれど…ネタバレながら、例えば…(記憶違いだったらごめんね(^^ゞ)

・METの受付フラワーが薔薇でできた青花文様の壺になってしまった!♪

・中国側のメディアが「過去の文化だけでなく現代も採用して欲しい…」と…(^^;

・ボルトンが「仏像の前に毛沢東の人民服を置きたい。宗教だから…」と(^^;;

・ウォン・カーウァイ監督が映像監修している。「花年様華」の映像とか♪

・ボルトンのパートナーは男性。

・アナの娘への愛情がサングラスの奥からにじみ出ていた。  等々...

で、最後に補足だけ。 

METの服飾部門はダイアナ・ヴリーランドの時代からVOGUE誌との繋がりは深い。映画の中でニューヨーカー誌(?)のおじさんがボルトンに「服飾部門は可哀想だねぇ、ヴリーランドの時代から地下の暗い部屋で」と華やかな席で皮肉を言っていたが、陽の当たらない装飾部門を華やかな部門に変えたのはダイアナであり、今でもアナ・ウィンターが「メットガラ」を通じて服飾部門のための収益金(予算)を集めている。

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