だらだら日記goo編

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

暗さあるいは影のない絵

2007-06-30 22:10:15 | アート・文化

ブログ仲間の遊行さんが今年最高の洋画展というので行ってみたが、どうも彼女とは感性が違うようだ、僕にはこの画家の悪いところばかり見えた。

生涯誰にも師事しなかったということで、独学なので仕方ないかもしれないがまずこの人は輪郭線がはっきりせず色が溶け合う傾向にある。

即興的に描いたようにも思える。

さらにいけないのはこの画家が暗さとか影とまったく無縁だということだ。

府中市美術館は「田園の輝きー児島善三郎」の展覧会だ。

「田園の輝き」とはうまいタイトルだ、この画家が地形の面白さに惹かれて国分寺にアトリエを構えたことを言っているのだろうが、この人の描く田園は展示93が典型だがあまりにも明るくあまりにも濃すぎる熱帯の田園のようだ、田園風景とはもっと素朴だと思う。

逆にその明るさが成功したのが静物画だ、展示85,110,115などの画面いっぱいの花は素敵だ!

熱海の賑わいを描いた絵もあるが、隣には熱海に比べると素朴な西伊豆の風景を描いた絵もなかなかだ。

僕のみるところ今回の展覧会での一番の成功作は展示118,「早春、梅」ではないか。

田んぼか畑が広がる中、ひっそりと梅二輪を描いた作品だ。

この人の作品には珍しく落ち着きと静寂がある。

会場には児島のアトリエも再現してあり、展覧会にかけるいきごみはかおう。

ついでに係員がアンケートをお願いしますと盛んにやっていた、バス停からの行き方がわかりにくいー特に天神町幼稚園からーことを書きたかったがそういう設問がないのが残念だ。


頻繁に展示換えするな

2007-06-26 22:00:45 | アート・文化

この美術館が赤坂見附から移ってきて展示面積が広くなったようだが、どうもそう感じられない理由のひとつは頻繁な展示替えがあるためではないか。

今回の展覧会でも二回展示替えがある、たとえば円山応挙の作品を観たかったら8/1-19に出かけなければいけない。

全部観るためにはひとつの展覧会で三千円もかかるという代物だ!

サントリー美術館は「水と生きる」、アスパラクラブの会員鑑賞会に予定通り行く。

この展覧会で僕たちを迎えるのは広重の「五十三次」から水を描いた場面だ。

お隣は屏風で、「雨宿り図屏風」など、雨の描写はないのに人々のしぐさでにわか雨の到来を知らせる、心憎い。

広重が「江戸高名会亭尽」など描いたのもはじめて知った。

有名料理屋を描いたもので、当然というか水辺が多い、隅田川のほとりとか。

以上が第一章で、次が第二章、第二章はことさら展示替えが多い。

北斎も在る、北斎漫画ではなく、デザインブックだ。櫛やキセルのデザイン集だ。

あと織部焼きが目に付く、「橋」が描かれているー出光の展覧会を思い出す。

あとははっきり行って紅型裂とか観たいものは展示期間ではないのだから仕方ない。

ここで三階へ下るとマリア・ルゴッシーという人の奇妙なオブジェ。

「ガラスは母なる大地であり子宮であり墓でもあります」、まあよくわからない。

第三章は主に薩摩切子だ、作品が小さいのでここの作品は通期展示される。

1846より27代薩摩藩主によって着手された薩摩切子は透明ガラスに色ガラスをかぶせることでストロベリーダイヤモンド文というのが典型的な文様だそうだ。

第四章は水にちなんだ和歌や物語が絵画や工芸にうつしかえられたもの。

伊勢物語の49図を貼り合わせたものが断然面白く、高校時代の古典を思い出した。

「名にし負はばいざこととはむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」

西行物語絵巻もある、西行が佐藤憲清というのははじめて知った。

道成寺縁起絵巻も観たかったがこれまた展示されていない。

かくしてカタログだけ購入してめでたくアスパラクラブ会員鑑賞会の場を去った。


先週と今週の美術館めぐり

2007-06-24 21:49:12 | アート・文化

さて梅雨だ、僕はこのところ体調不良と歯の痛みで苦しんでいる。

というわけで先週も一回と今日しか美術館に行っていない。

行ったのは川崎市岡本太郎美術館と智美術館だ。

川崎市岡本太郎美術館の「青山時代の岡本太郎」は世田谷美術館「世田谷時代の岡本太郎」の半券があれば団体料金で鑑賞できる。

この美術館はいつも常設展示を観てから企画展示というのが鑑賞の順番だが、今回はどういうわけか企画展示室が入り口となった。

おそらく常設展示の大型のオブジェと関連付けるための苦肉の策だろうが、「変わり者」岡本も初期のころは共同制作に意欲があったとか興味深い。

智美術館「群青のかなたからー小池ショウ子展」は観ただけで貝殻の作品が多い。

貝と青ですべてが終わる趣がある。

しかし現代陶芸は「用の美」から遠くなったことよ。

さて今週はまず火曜日がサントリーの内覧会だ。

午後一時入場で二時半まで観て三時に歯医者へという作戦だ。

そのほか今週末で終わる展覧会もいろいろある。

写真美術館「水越武写真展」は、「世界報道写真展」のチケットがあるのであわせてみたいし、はろるどさんからいただいたオペラシティのチケットもある。

しかしこればかりは体調優先だ、さて今週はどうなるかー。


サントリー美術館の憂鬱

2007-06-22 21:45:38 | アート・文化

さて、朝日アスパラクラブのサントリー美術館「水と生きる」の内覧会に当選したが、その後メールが来て、当日は一階のナントカという店舗のおくから入場するように通達があった。

サントリー美術館は午前十時開館だ、しかし東京ミッドタウンの店が十一時開館のため、午前10-11時の間は入場するルートが限られていることがホームページにも書かれている。

お客様に不親切きわまる美術館だ。

それならサントリーも十一時に開館して普通のルートでお客様が入場できるようにすればよいとも思う。

さてさて当日僕は迷うことなくアスパラクラブの受付にたどりつけるだろうか。

展覧会鑑賞後に歯医者の予約を入れてしまったのでのんびり鑑賞するわけにも行かないのが残念だ。


なかなか面白い古典絵画

2007-06-17 21:58:49 | アート・文化

古典絵画が苦手な僕でもこの展覧会は楽しめた。

たとえばヤーコブ・ヨルダーンス「道化師と猫」、猫は不誠実な女性、悪魔、邪悪なものの象徴という、日本の猫好きは頭にくるだろう。

カラヴァッジョに学んだテオドール・ロンバーツ「歯抜き屋、にせ医者」も面白い。

大きなベレー帽子をかぶって威厳に満ちて歯を抜こうとする、好奇心からか人々がそれを眺めているという絵だ。

鳥ばかり描いた画家はルーラント・サヴェレイだ、鳥は裕福な上流階級が収集したという。

神話画や宗教画より身近な主題に僕は惹かれる、ブンカムラ「プラハ美術館展ールーベンスとブリューゲルの時代」の展覧会だ。

会場は程よい構成で解説も一つ一つついているので音声ガイドを借りるまでもない。

それにしても17Cのフランドルでは芸術文化が円熟して輸出品となったという。

父ブリューゲルは油彩画を40点ほどしかものしなかったので複製画の需要はものすごく高かったらしい。

一方宮廷画家ルーベンスはカトリック復権に向けて大規模な工房を運営したという。

それにしてもルーベンス実筆の「聖アウグスティヌス」の何たる大迫力か!

ヤン・ブックホルストの「聖母と眠る幼子キリスト」で幼子キリストはキリストの死の予型だとか、「眠っていても、私の心は目覚めていました」/雅歌第五章二節。

「花のブリューゲル」とたたえられたブリューゲル、静物画もたくさんでてくる。

カタログも作品解説を図版のあとにまとめるものが多いが、この展示カタログは図版一点一点にきちんとついているのがよい。

古典絵画もまたいいと思える展覧会、毎日新聞とブンカムラに拍手したい。