だらだら日記goo編

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これが目玉の展示?

2005-05-13 22:58:52 | アート・文化
寒さがまだ残る東京だが今日は損保ジャパンに「魅惑のフランス絵画展」を観にいく。今日も夜間開館を利用。
美術館の中のほうが暖かくて気持ちが良い。
この展示はフランスの画家ファーブルという人の残したコレクションだという、ファーブルという人がどういう絵を描くのか気になるが展示は時代順、シモン・ヴーエからおなじみマティスまで、風景画、歴史画、宗教画が時代順に並ぶ。
なんだかんだで寄せ集めの感じもするがまあフランス絵画を概観できる。
展示は総じて前半が面白かった。名前も知らない画家が次々登場していろんな絵が展開する。
後半になるとドラクロワとかクールベとかバルビゾンとかおなじみになって新鮮味がない。
しかしながら「眠るサトゥロス」とか「善きサマリア人」とか「岩を打つモーセ」とかは内容がわかるので良いが、「ケパロスとプロリスクのいる風景」とか「アゲシラウス」とか言われても、こちらに知識がないのでどういう背景があるのかわからない。
作家解説はあるが作品解説も音声ガイドも一切ないのでカタログの解説に頼ることになる。
カタログ見本は会場あちこちにおいてあるが、それを熱心に読んでいるお客が多いのは僕と同じような人だろう。
面白いのはジョゼフ=マリ・ヴィアンという画家。
「フランス人に福音を説く聖ドニ」とか「決して愛さないことを誓う二人のギリシア娘」など思わしげなタイトルだ。
そんなこんなでみていると、やっとファーブルの絵が出てくる。
自画像が出てくるが、なんと哲学者カントにそっくり!
この人の絵は「アベルの死」が面白い、聖書によった主題だが大キャンバスに肉感あらわなアベルが大きく描かれる。
陰部は布で覆われているのが時代を感じさせる。
その他、オリエンタリズムの絵やらアフリカの黒人を描いた絵やら、日本の女性のキモノを描いた絵やら、時代は下って国際的に、かくしてフランス絵画の栄光を存分に楽しめる展示だ。
でもってこの展覧会の目玉はクールベの「出会い、こんにちはクールベさん」だ。
パンフレットにもカタログにも、電車ポスターにもこの絵が強調される。
しかしこれだけいろんな作品が集まると、クールベのこの絵も展示品のただの一枚にすぎなくなる。
少なくとも僕にはこの絵より存在感のある絵はたくさんあった。
まあ主催者もこの絵のクールベのパトロンの人に関する絵を二枚展示しており強調したいのはわかるが、はっきりいって存在感はそんな強くない。
八時までねばろうと思っていると、さっさと帰れといわんばかりに蛍の光が流れるのでやむなくこの美術館ご自慢のゴッホコーナーへ。セザンヌの絵がひろしまからの借り物なのはどんなもんかと驚く。
まあ何はともあれ、特に前半の絵が印象深く、フランスの実力を示すいい展覧会だ。
注文としては鉛筆を用意してくれるのは良いが、作品リストくらい作ってほしい。こちらはリストにいろいろ印象を書き込みたいのだから。