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最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

私の化石組標本(その14)

2013年10月20日 | 鉱物・化石組標本
私の化石組標本(その14)
My set of fossil specimens, part 14

中生代の後半に入る。後半はすべて白亜紀のもの。


44 標本37-40  scale: 5cm
Specimen 37-40: Cucullaea, Miyakopora, Phylloceras, Polyptychoceras

標本37 ククラエア Cucullaea 岩手県平井賀産 白亜紀 軟体動物・二枚貝類
ククラエアは、宮古層群ではよく見られる二枚貝。表面にほとんど装飾がないが、アカガイなどと親戚の種類である。
 Cucullaeaの命名は1801年、Lamarck(前出)である。フランス語でcuculleは頭巾のことなので、これが語源だろう。
 種類は Cucullaea acuticarinata Nagao であろう。長尾巧(1891-1943)は、北海道帝国大学教授で、宮古層群の二枚貝・巻貝に関しては1934年に100頁の大論文を発表した。種小名のうちacuti- は鋭い、carinata は稜の意味で、この二枚貝の鋭い放射稜を示す。なお、この文章では、人名に敬称をつけていない。論文風にしたからで、日本の研究者が出てくるとちょっと違和感がある。でもこれまでと、統一しておこう。

標本38 ミヤコポーラ Miyakopora 岩手県平井賀産 白亜紀 腔腸動物
古生代末に四射サンゴが絶滅し、中生代に入ると六射サンゴがとってかわる。Miyakoporaは、1936年にEguchiの命名となっている。江口元起(もとき)(1904-1978)は東北大学教授を勤めた方で化石・現生サンゴの研究で知られる。属名はもちろん宮古の地名・地層名に由来する。
 種類はたぶんMiyakopora miyakoensis Eguchiであろう。
標本39 フィロセラス Phylloceras 北海道産 白亜紀 軟体動物・頭足類
残念ながらラベルが失われ、産地が確かでないが、北海道のものであろう。1970年頃、某大学の廃棄標本から、許可を得て拾ったもの。
 Phyllocerasは、1865年Suess = Eduard Suess(1831-1914)、オーストリア = の命名。Phyllo- は一般的に「葉」とか「薄くはがれる」という意味だが、どう関係するのか不明。

標本40 ポリプティコセラス Polyptychoceras 白亜紀 軟体動物・頭足類
1969年7月末に北海道へ採集旅行に出かけた時のもの。たぶん頓別川流域で採集した標本。アンモナイトの中で、普通に平面らせんをえがかないものを「異常巻き」と呼ぶが、その一つ。直線的部分とヘアピンカーブの部分をくり返す。
Polyptychocerasは1927年Yabeの命名。矢部長克(1878-1969)は東北帝国大学の教授。これより先に、1842年d’Orbigny の命名した異常巻きアンモナイトにPtychocerasがある。こちらはUターンが一回か二回ぐらいであるが、Polyptychocerasでは何度もターンするので、Poly-を付けたもの。
 
自分で採集した標本について
標本37 ククラエア、標本38 ミヤコポーラ
  岩手県田野畑村平井賀
標本40 ポリプチコセラス
  北海道中頓別町頓別川流域


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