写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

紅葉狩り

2017年11月13日 | 季節・自然・植物

 秋晴れの日曜日、地域の草刈りと川の掃除の日であった。8時に共用会館に集合し、自治会長から注意事項を聞いた後、担当する場所に別れて作業をし、9時半に終了した。少し疲れたがシャワーを浴びるとすぐまた元気を取り戻した。

 新聞を読んでいると「寂地峡の紅葉が見ごろ」という記事がカラー写真入りで載っていた。「そうか、そういえば、ここ数年寂地峡に行っていないなあ。久しぶりに出かけてみるか」と奥さんに言いながら、なお新聞を読んでいると「お父さん、早く支度をして」という奥さんはもう出かける装いになっている。とにかく出かけるのが好きな奥さんだ。

  10時半に車で出発し「寂地峡」とナビに打ち込むと、錦川沿いの国道187号線を指定した。距離は60㎞ある。錦町を過ぎたころから山の所々に色づいた紅葉が見られるようになった。12時前に寂地峡に到着したが、普段がら空きの広い駐車場はすでに満車状態に近い。

 やっと1台分のスペースを見つけて車を止め、五竜の滝の方へ歩き出した。以前よりも遊歩道や橋が整備されてきれいになっている。夏に来た時には気がつかなかったが、各所に真っ赤に色づいた紅葉があり、逆光で見ると、これぞ「紅葉狩り」と思える美しい光景であった。

 ところで一体なぜ紅葉見物は「紅葉狩り」というのだろうと疑問に思い調べてみた。「狩り」は昔から「鹿狩り」などという言葉があるように、動物や獣などを捕まえる意味で使われていた。平安時代に、狩猟をしない貴族が紅葉を観るために山へ向かい、時間や労力をかけて自然を愛でる贅沢を狩りに例えたことにより「草花を眺めること」を「狩り」と称するようになったという。

 それにしても何故「桜狩り」などとは言わず、紅葉に対してだけ「紅葉狩り」という言い方をするのか、今一つ分からないが、まあ、その辺で分かったことにしておこう。久しぶりの奥山での紅葉狩りに、行く秋を満喫した1日であった。
 「奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき」;古今和歌集 猿丸太夫 
 「奥山に 紅葉踏みわけ 鳴る腹の   音聞く時ぞ 秋は腹減る」;茅野 友