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大晦日の夕方、今年最後の散歩に出かけた。散歩をするということ以外、もうひとつ目的を持って出かけた。家々のお正月の準備状況を見ることである。
昨年、同じように大晦日に散歩した時、あることに気がついた。玄関に、しめ縄を飾っていない家が多いのに驚いた。新興住宅といわず、古い家でもしめ飾りを掲げていない。100軒中、掲げている家は約半数くらいだとみた。
ここでちょっと、お正月のそもそも論を言ってみると、「お正月とは、新しい1年の幸せや豊作をもたらしてくれる『年神様』をお迎えする大切な行事。『しめ縄』とは、神様を祭る清浄な場所を表し、不浄なものが入らない結界線のような役割がある。つまり、しめ縄を飾ることで、年神様が安心して降りて来られる神域を作り、お迎えするということ」である。
従って言ってみれば、「お正月とは神事」である。そういう私も若いころは、お正月とは長い連休があって、久しぶりの友達と会ったり、遊びに出かけることが出来る休暇くらいにしか思っていなかった。
今、しめ飾りを飾っていない家は、お正月をどうとらえて迎えているのだろう。買ってきたしめ飾りを、丁寧に眺めてみた。玉飾りのもので、藁で輪を作り、扇、ゆずり葉、橙、ウラジロの葉が飾られている。それぞれは、豊かな実り、末広がり、家系の持続、長寿を願うもの。神様を意識して、清潔にしてある清浄な場所だというひとつの表現だという。
お正月は、単に1年が始まる日のことではない。日本に古くから伝わる伝統をよく理解して、門松とは言わないが、せめてしめ縄くらいは手作りでもいいから玄関に飾って、新たな気持ちで年神様を迎えたいものである。