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昨年末から厳しい寒波が襲来し、外に掛けている温度計はマイナス4度を指す日もあった。2年ぶりに雪が積もるなど、部屋の中に居ても震えるような日が続いていた。ところが今日(14日)は一変し、気温はまさにうなぎ上りして、昼には15度と3月の下旬並みの暖かさとなった。
ここしばらくは、夕方の散歩以外コロナもあって、家から出歩くことはなく、じっとしていたが、春の陽気とあれば出て行くしかない。奥さんを誘って車に乗り、いつものところを目指して出発した。
通津の海に面した高台に瀟洒な住宅が並んでいるところがある。その下に広がるリヴィエラに向かった。車を止めて坂道を下ると、誰もいない静かな浜辺がある。繰り返す波の音以外は何も聞こえない。突然轟音がとどろく上空を見ると、2機のジェット機が基地に向かって低く飛んで行く。
遠くの島々は冬というのに妙に霞んで見える。この時期、春霞かと思ったが、どうやら黄砂だったようである。パソコン相手の毎日を外れ、久しぶりに遠くの水平線を見るというのは目に優しい。
ふと近くの岸を見ると、日の当たる見るからに暖かそうな砂浜にはカモの一群がたむろしている。家に帰って、暦を確認してみた。1週間後には24節気の「大寒」で、「寒さが最も厳しくなるころ」である。
それにしても暦が当てにならないくらい寒暖の差が激しすぎる。コロナ禍で揺れに揺れる政治のように、季節も大きく揺らいでいる。森進一が歌った「冬のリヴィエラ」の一節をハミングしながら引き返した。この冬は引き続き、巣ごもりするしかないようである。