時遊塾の塾生のひとりが、木製のちょっと無骨な形をしたガーデンベンチの写真を持ってきた。「今度、工房木馬でこれを作ってみませんか」という。聞いてみると、このベンチは「トランスフォーマーベンチ」というものだという。
一見すると単なる3人掛けのベンチに見えるが、座面の端っこをもって水平方向に引っ張ると、3人ずつが向き合ったベンチ付きのテーブルに変身するというすぐれものである。まさに名前通り一瞬の内に変身する「トランスフォーマー」そのものである。
テレビやインターネットでこの写真や、変身する過程の動画を見ることが出来ると聞いた。その夜、インターネットで調べてみると、写真や動画を見ることは出来たが、設計図はどこを探しても出てこない。どうやら、このメーカーが設計図はオープンにしていないようである。
それならば設計してみようと思い、方眼紙を取り出して書いてみた。材料としては、ホームセンターで売られている(1*4)の板材を念頭に置いて設計した。考え考えしながら2時間かけて、なんとか図面は引いてみたが、回転する箇所が2カ所あるので、今一つ細かな部分が正確に描けない。
「そうだ、小さな模型を作って検証してみよう」。厚さが2mmのスチレンボードを使って10分の1スケールのものを作ってみると、思いがけない個所に不都合があることが分かり、図面の修正をした。再度模型を作ってみると、今度は思った通りに各部が動いて、ベンチは見事な変身を遂げてテーブルが出現する。
「よし、これでいける!!」。材料費は(1*4)*6フィートのSPF材が17本で約7千円。ネジ釘にボルトナット4組で千円。合計8千円くらいで作ることが出来そうだ。メーカーでキットを買えば2万4千円と書いてあるので、DIYでやれば3分の1くらいの費用で作ることが出来る。
それにしても、この「トランスフォーマーベンチ」、よく考えられたベンチだ。ベンチと名付けていながら、あっという間に、手品のようにテーブルが飛び出してくるのだから。「工房木馬」で、早速これを受注生産していきたいが、やっぱり「新案特許」なんぞがあって商売には出来ないでしょうね。残念!!
早速、岩国自由塾木工部門の追加項目登場。毎度のことですが解析・製図・試作とその完璧さに驚き、実物を早く目にしたいものです。