まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

マツタケの食文化考-4-

2005年07月06日 | マツタケの生理生態

マツタケの食文化考-4- 
マツタケを扱った古い文献は、まだまだあるが、筆者の専門ではないので今回で閉じることにします.この項を書くにあたっては、同志社女子大学の小原弘之先生に色々教わりました.この場で感謝いたします.
本草学上では
薬用になる植物などを研究する学問を本草学と言います.
1695年(元禄4年)に、人見必大が「本朝食鑑」と言う食物誌を著している.その中に食用菌として、茸芝類の項に、初茸、標芽茸、鹿茸、椎茸、平茸、榎茸、木海茸、石茸、松露と並んで松茸が書かれています.形態、生態、薬理、栽培、貯蔵法などが解説されている.少し紹介すると、「松茸はわが国の菌蕈の中の第一のものであり」、発生場所は「つつじの樹の多い赤松林で陰い所に」、「八から九月頃」発生する.「地面から出るときに木の葉がくっついて視つけにくい」.「五月に生じるものを俗に早松茸」という.最近は、九州は熊本県で、4月ごろに、Kg当り100万円ほどで取引されている.形状は、「柔滑、香美、甘脆さは諸茸よりも勝れ、大きいもので、一尺くらい.小さいもので一~二寸」.非常に興味深いことに菌根の観察です.「根の下に鬚があり、窠をなしている.これを俗に松茸の蔓といい」と言う記載はマツタケのShiroあるいは活性菌根帯の概念である.「これを採って栽培すれば、生えなかった地に生える」と人工栽培法を記載している.もちろん、この方法の成功例はありません.
貯蔵法には、「八、九月に鮮いものを採って淹蔵し、陰幹して、全国に出荷する」.塩蔵の方法は、「白塩を炒過り、松茸の生える処の砂土と合わせて、その中に漬け、松葉で覆う」.これを「俗に松葉塩」と言い、他に「生塩漬」や「寒水漬」法もあり「豆腐の滓に白塩を和して漬けるのも佳い」と書かれている.
「気味」という項には、長い下痢や虚脱には「乾し松茸の石突を細く伐り、二、三枚を鯨の陰茎の陰乾一銭と一緒に味噌汁に煎じ、服用すればたちどころに癒える」とあります.効能は分かりません. 
 大和本草(貝原益軒、1709)にも松茸が解説されているが本朝食鑑の焼き直しに見える.
 重修本草綱目啓蒙(1803、小野蘭山)では、香蕈と扱われていて、松茸の産地、等級、品定めが載っている.「松蕈マツダケ、一名松耳、松花菌、鎕蕈」といわれ、八九月に生ず.「京師は丹波より出す者、最早けれども味劣れり下品なり、蓋の色黒を帯ぶ」と昨今では、最高といわれる丹波まつたけは評判がよくない.「深草稲荷山の産は甚大にして味優れり、蓋厚く白色にして堅し上品なり」・・・・・、更に続けて、嵯峨の産は、4品種あって色よく香りが良いと最高級となっている.
 まつたけ十字軍は、岩倉の整備作業が終われば、まさにここに記載されている最高の京まつたけを産したといわれる嵯峨嵐山付近のアカマツ林の手入れに入るつもりである
菌譜上では
 現在のキノコ図鑑といったものを菌譜といいますが、「日光菌譜、1766」、「菌譜、1767」、「信陽菌譜、1799」等に松茸お国自慢もありますが、江戸時代には松茸の分類学は相当進んでいたようです.皇和菌譜(1791、曽占春)にツガ、コメツガ林に出るものを「栂松茸」と記載されています.岩手山の北側斜面や富士山麓で、また、長野県では全域に発生している.
マツタケの学名が変わる?
ところで、松茸の和名は、マツタケ、学名が、今、色々と騒がれている.遺伝子解析では、日本のマツタケは、8つのタイプに分かられるという.
マツタケの学名は、先述したように、Tricholoma matsutake(S. Ito et Imai) Singerであるが、それがPriorityの関係から危ぶまれている.
1834年、イタリアのVivianiが著した「イタリアの菌類」にTricholoma caligatum(Viv.) Rickenを科学的に正確に記載しています.外国では、松茸は嫌われると書きましたが、当時のニースでは「生でかむと少し酸っぱく、焼くと良い」と書いてあるそうです.スゥエーデンでは、1854年にFriesがマツタケの標本を残しています(T. nauseosum).本朝食鑑(1695)の記載は正確な図はあるが、標本も無く科学的記載にもとると考えると現代の分類学上の約束事から我々が欧州マツタケと呼ぶTricholoma carigatum(兵隊の靴の意)になるかもしれません.ちなみに、アメリカマツタケはTricholoma magnivelareといいます.
 
マツタケをこれほどまでに珍重する人種は、日本人だけである.このマツタケを絶やさないように、また、絶滅危急種・危惧種の50%が里山と言う生態系の生物であることから、この生態系を守るためにも、マツタケ十字軍は、マツタケの聖地再生活動を展開させていきます.
 ご支援・ご援助をお願いします.
なお、第4回の活動は、7月9日、10時30分、岩倉です.

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