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マツタケは栽培できる(4)

2005年09月06日 | マツタケの生理生態

写真はマツタケの2核菌糸(DAPI染色)

マツタケは栽培できる
人類の活動によって、人里付近に登場したアカマツ林に、マツタケは発生を始め、毎日の生活のために里山林を大いに活用した結果、マツタケの生産量を高めていたことになる.

しかし、昨今の森林の放置によってアカマツ林が衰退し、マツタケの生産量を落としている.マツタケは、人による森林の破壊によって生まれ、また、森林の放置による森林「破壊」によって、その生を終わろうとしているのかもしれない.

先述したように、昭和10年代、あるいは薪炭の生産が必要であった昭和30年頃までは、意図的でなかったが、日本のアカマツ林で人はマツタケを大量に「栽培」していたのである.

アカマツ林を放置し、山からマツタケを搾取するだけの時代はもう終わっている.
まず、昭和10年代の健全なアカマツ林を取り戻す.その上で、マツタケやアカマツの生理や生態をよく理解し、マツタケを栽培する必要がある.

マツタケの栽培は、実は極めて容易なのである.昭和10年代には、日本のアカマツ林には蹴飛ばすほどにマツタケは生えていたのだから.

マツタケの生理生態
マツタケの生理
実験室でHamada培地(グルコース10.0g、エビオス5.0g、pH=5,1-N HCl)あるいは無機培地としてはグルコースやフルクトース、酒石酸アンモニューム、ミネラル類、アミノ酸やビタミンB類などの栄養物でマツタケ菌糸を培養することは可能である(pH=5.0前後、生長至適温度 23-25℃).

その生長は他のカビやキノコと比べて非常に遅い(マツタケの菌糸の生長:平均0.3-0.5mm/day: ミトコンドリアが少ない).青カビなどの1/100、シイタケの1/20の生長スピードでしかない.
腐生性のシイタケ、エノキタケ、ヒラタケやエリンギ、マイタケのように生物遺体を分解する酵素を欠いている、また、栄養生長から生殖生長へ切り替わるメカニズムが温度要因を除いて不明であるなどのために、オガクズなどでマツタケを栽培することは不可能である.

胞子発芽-2次菌糸
マツタケは外生菌根菌で大型のキノコ(子実体)を形成するカビの仲間である.マツタケのヴェールが切れると、ヒダから胞子(レモン状、4-7×5-9μm)が飛散し林床に落ちる.

1本のマツタケ子実体から数百億の胞子が落ちるが、その発芽率は1%をかなり下回っている.実験室で発芽率を高める物質として、酪酸や松葉の抽出液の添加が有効であることが解かっているが実用化は疑問である.

厚い落葉や腐植層の上に落ちた胞子は、そこを住み家にする細菌や糸状菌や小動物との競争を強いられたり、それらの攻撃にであう.その攻撃を逃れた胞子は温度と水分が適切なら発芽し1次(核)菌糸になる.

次いで、互いに親和性のある1次菌糸どうしが運良く接合すると、1つの菌糸細胞に核が2つ存在する2次(核)菌糸ができる.ここにいたって、はじめてアカマツ細根に感染する力を持つ.(続く)

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