のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

一台の機械作業を皆眺め

2010年07月05日 | 農のあれこれ
100馬力のトラクターが雑草が刈り取られたばかりの畑を耕しています。
この場所は、今朝まで2mになろうとする雑草が生い茂っていました。
10年以上、耕作放棄されていたかもしれません。
ゴミもたくさん捨てられていました。

新農地法が制定され、耕作放棄地解消にむけて、
各地域の農業委員会の役割も大きくなりました。
まずは農業委員自らが模範を示そうと、
柏市でもここの20aをジャガイモ畑にしようということに。

わが家からもハンマーモアをつけたトラクターを持ち込み、
10人あまりで半日で整地作業が終了しました。
さすがプロの持ち込んだ農業機械の威力です。

イベント的にやっても実質的な効果は疑問という声もあろうかと思います。
でも実働部隊が形成されるまでの、まずは一歩。

いつでもどこでもあらわる天の虫

2010年07月04日 | 梨の虫
今頃、ナシ畑は虫だらけって、ほんとうは恥ずかしい話かもしれません。

ナシの枝はもともと上に伸びたいもの。
それを無理やり棚につけてしまいますから、
枝の途中から何本も新しい枝を上に伸ばしてきます。
徒長枝と呼び、ナシ栽培ではあまりありがたくない存在。

それで、まだ枝の柔らかいうちに切り落とします。
ピンチするといいます。
でも同じ所からすぐにまた新しい芽を出してきます。
本来は伸びた新梢が硬化する今頃になっても
ずーっとナシの柔らかい葉や芽が畑の中にあることに。

そういう柔らかい葉が好きなのはアブラムシ。
6月の初めごろまではアブラムシを抑える薬を散布するのですが、
今の時期は殺虫剤を省くこともあります。
と、アブラムシは大繁殖で新梢は黒い虫で覆われ、
ピンチしていてもぽろぽろと顔に落ちてくる始末。

ところがやっぱりうまくできたもので、
殺虫剤を抜いてしばらくすると、
天敵が卵を産み、その幼虫がアブラムシを退治してくれるというわけです。

柏にもアル・ケッチァーノがあるけっちゃ

2010年07月03日 | 農のあれこれ
柏の葉にある千葉大学の公開講座で
山形・庄内のイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」の
オク田シェフが講演されるというので、出かけてきました。

在来の野菜を使い美食家たちをうならせ、農家を元気にさせ、
地方を再生させるとまで評されるカリスマシェフのお話は
淀むことなく、聴衆はその世界に引き込まれていきました。

地元の野菜がそろうのか、地元の野菜は美味しいのか、
地元の野菜は安心・安全なのかといった「壁」を打ち破り、
いかにして庄内が食のワンダーランドになったか…

風景、風土(水・土・風・太陽)を料理して
世界で一つだけの料理をつくる…

ものごとは最善と最悪のことを考えて進める…

ブームのはじまりはいつもレストランの皿の中から…

新鮮・シンプル・スピーディに調理する…

等々、示唆に富むお話を伺いました。

ちなみに「ブームはいつもレストランの皿の中から始まる」とは
イタリアンレストランで香草を使ったことから
ベランダや庭でハーブを育ててみようと思い、
そこからガーデニングブームにまで
大きなムーブメントになったのではないか、とか。

中でも一番合点がいったのは、
庄内の幸福論ではお金が問題なのではない。
生産者・知識人(研究者)・料理人の三者が互いに依存しあって
お金でない「結」のトライアングルができることで
地域が豊かになれるということ。

なるほど。では、柏には消費者もいるぞ。さあ、どうする?
その答えは10月以降にオク田シェフを交えた
まちづくりイベントが予定されているようです。

写真は講演後の懇親会で、
オク田シェフが即興で料理を用意されている様子。

「数年のうちにフルーツの時代がくる」というシェフのお言葉。
勇気づけられました。

ペットボトル、バケツで足りずミニ田んぼ

2010年07月02日 | 農のあれこれ
田んぼ以外でもバケツ稲とか、ペットボトル稲とかやってきましたが、
それでも飽き足らず、今度はミニミニ田んぼです。

花壇の一部をちょっと掘り下げて
ビニールシートを敷いて土を戻して水を溜めてできあがり。

先日いただいた色素米のひとつ、「緑米」の苗を植えてみました。
どんな稲になるのか知りませんが、
庭先にありますので、
ナシをお買い求めにいらしたときにでもご確認ください。

主なき果樹畑の悲しみよ

2010年07月01日 | 農のあれこれ
ナシの黒星病の被害の様子です。
わが家の畑ではありませんから、ご心配なく。

実はこの園の主が春に亡くなり、
そのあとはご家族で管理しきれない状態で、いわば「放置園」。
昨年まではどうにか管理、収穫もしていたのですが、
今年は剪定も摘果も農薬散布もしていません。

下草だけは残された家族が刈っているようです。
でもナシの木に人の手が入らないと一年もしないでこういう状態に。

このまま放置しておくと木の枝が伸び放題で、
鋼鉄製の棚線と混雑して後始末が大変になりますよと
ご家族と出会ったときに忠告したのですが、
残念ながらそのまま経過しています。

普通の畑や山林と違って、
ナシ畑にはナシの木の幹や枝葉、株と根があって
そのほかに鋼鉄製の棚線や鉄パイプ、コンクリート製の受け石、
それに地中にはアンカーといわば異物が混在しています。
開園するより廃園するときの方が手間がかかります。

業者に廃園作業を依頼した場合、廃棄物の処理費用も含めて
10aあたり50万円かかるとも100万円かかるともいわれていまして、
たとえば農地を売却しようにも
廃園作業費用で土地代金がなくなってしまうなんてことも。

ならば、誰かナシ畑を借りたらどうか。
地主も管理してもらえるし、多少の地代も入る。
そんな話も出ては来るのですが、
「じゃあ誰が」というところで話はおしまい。

まわりのナシ農家、わが家も含めてですが、経営規模を拡大できるか。
現状のナシ農家は現状の労働力のなかでめいいっぱいやっていて、
労働力の余裕がない。
それに収穫量の増えた分はどう売るか。
市場出荷は期待できません。
自分で売れるだけの量をつくるというのが、現実です。

今は農業ブームだから、新規就農希望者はどうか。
これからナシづくりをやってもらえないだろうか。
これからの人なら顧客の新規開発もできるのではと期待できますが、
今度は地主が信頼関係のない新規就農希望者に
貸してもよいとおもえるかどうか。

露地野菜なら3年、5年の期間でも経営が可能ですが、
ナシという永久樹となると、少なくとも20年、30年の期間が必要。
新農地法では農地の貸借契約の最大期間が50年になりましたが、
これも難しいでしょうねえ。

ということで、にっちもさっちもいかない状態なわけですが、
実はこのナシ畑、わが家のナシ畑に近接しています。

黒星病菌は100mぐらいは空気伝染するといわれます。
現段階ではわが家の畑側に
黒星病が伝染してきているという兆候は見られませんが、
このまま放置されたら
今年は良くても、さて来年はという心配があります。

最初に「ご心配なく」とは書きましたが、
実はたいへん心配しています。