のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

生業は草の種なり家業なら浅き夢見じ酔いもせず

2013年01月03日 | 農のあれこれ
この正月 家族経営会議なるものを開催しました
要は今年の経営方針はどうするかどうしたいかの
表の経営者・影の経営者・後継者の三者の話し合い

日頃一緒にいる時間は多いのですからいつでも話せるし
実際のところ単発的に思いをぶつけ合うこともあるのですが
一応 農業者年金に加入するために
「家族経営協定」なるものを結んでおりますので
正月ぐらいきちんとした時間を持とうというわけでして…

わが家はどこへ向かうのか
ナシ・コメの二本柱は現状維持だが
場合によっては拡大の可能性も想定しておくこと
加工場をリニューアルしたことで農産加工を新たな経営の柱にすること
家族経営を基本とするが法人化も検討すること
後継者はなによりライフパートナー兼ビジネスパートナーを早く決めること

新たな展開としては法人化も検討するということがポイントでしょうか

現在の経営責任者が就農する際には
環境問題へのひとつの取り組みとして
生活と経営を両立できる家族経営が理想という思いがあったのですが
あれから30年
当時も課題とされた状況がさらに深化しています
農業内部では市場流通の瓦解から担い手不足に土地余り
外部からは高齢者障害者も含めた就業の場として期待されてきました

農産物の流通もグローバル化し
事業として生き残るために農業が大規模経営になるのは否定できません
食糧生産が企業的経営になれば売れるものしか生産しなくなります
消費者は選択の幅の狭い食べ物で満足するか(させられるか)
満足できないならば自ら食べ物を作らねばなりません
あるいは食べたい物を作ってくれるよう生産者と提携しなければなりません
前者は家庭菜園・市民農園であり後者は契約栽培とかTeikeiでしょう

わが家の経営はこの30年ほどの間に市場出荷から直売に移行してきました
“わが家の応援団”づくりを目標にいろいろと試行し
ナシのお客様から年賀状をいただけるまでの関係を築いてきました
このわが家流の提携スタイルを維持継続していくことが大前提ですが
「色は匂へど 散りぬるを 我が世誰ぞ、常ならむ」
「創業(そうぎょう)は易(やす)く守成(しゅせい)は難(かた)し」です
時流に合わせて姿を変えていくことが必要です
そのひとつの模索が「法人化」です


ここ数年の状況からこんな考えになりつつあったのですが
なお一層想いを強くしたのはこの新書でした

永田照喜治 
『それでも食料自給率100%は可能だ 天才農業研究者ノシナリオ』
小学館101新書

日本ほど食糧自給に適した国はないし
農業用ロボットを使ってでも農業人口はもっと減ったほうがよい
いまは大規模農業ができるチャンスである
失業中の若者たちを農業にまわせば雇用問題が解決するなどというのは
農業を知らない人間の考えること


自分で育てることで農作物への判断力を養う
食文化の教育を義務教育ですべき
求める人に届ける流通を構築しなければならない
採りたての野菜や果物がおいしいのはそれが生きているから
それが体の中で生きる力として働いてくれる
家庭菜園は日本の文化になる
これからの農業は市民が中心にならなければならない
市民農園ならぬ「貴族農園」が日本の食糧自給率を上げる


「農業のあり方を考えることは
自分がどんなものを食べて生きていきたいかを考えること」
という最後のメッセージは
わが家からの発信でも使わせていただこうと思います