のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

亀に乗り鳥をお伴の北斗神

2010年02月22日 | わが家の時時
集落内に妙見社という社があります。
中世千葉氏の一族の相馬氏の、
そのまた一族が山城を構えていたといわれ、
その氏神であったそうです。
小字は「中城」。まさに城中です。

妙見社は北斗信仰とも結びつきが強いといわれ、
当地のご神体は「相馬北斗大神」。
上の写真右奥の掛け軸にご神体が描かれていますが、
その足元にはカメ。
神様がカメに乗って、鳥に導かれて当地に降臨したとか。
神の使いである鳥をしん粉餅で成形し、
鳥木<とりぼく>に飾って「オビシャ行事」を行うのが「鳥オビシャ」。

その祭礼は毎年、2月22日に行われていますが、
今年は“来当<らいとう>”として招待され、出席してきました。
“来当”とは次の当番の意味。
来年は当番長として祭礼を取り仕切ることになるので、
ただ飲み食いするお客のままではいられません。
祭礼の意味を先輩や神官に伺ったところによると…

             

オビシャ(お備社)というのは、弓矢で的を射ることによって
その年の吉凶や農作物の豊凶作を占う祭りのことだそうで、
新年に行われる場合には、
邪気を祓い五穀豊穣や無病息災等を祈念する祭にもなっているといわれます。

祭礼のなかで「箭弓の儀」というのがあって、
鬼と書かれた紙を弓矢で射抜きました。
めでたし、めでたし。

              

しん粉餅を食紅で色づけ練り合わせ、鋏や櫛で
鳥の形をつくっていくのですが、
本来は、家々でつくった“オビシャ鳥”を持ち寄って
祭礼がおこなわれていたそうで、
色とりどりの鳥のほか、ツル、カメ、羽を広げたウグイスや、
チャボやキンギョのような変わり種もつくられていたそうです。
時には品評会のようなことも行われ、景品もでたとか。
わが家でも明治生まれの曾祖母が元気な時には作っていて
子供たちの楽しみでした。

             

現在は、地区の老人会が地元の小学校に出向き、
半日、“オビシャ鳥”作りを指導しています。
近在では市内の二地区に市外の一地区でしか残っていない民俗行事のようで、
ぜひとも子供たちにも引き継ぎたいものです。

実は、今日の祭礼が朝のNHKのローカルニュースで紹介されたそうで、
それを頼りに10名ほどの方々が見物にいらっしゃいました。
仕掛け方によっては地域づくりの柱になるかもしれません。

道の駅しょうなんのロビーに
隣集落の有志がつくった鳥木が飾られています。
しばらくはあるでしょうから、興味ある方はどうぞ。