そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





宮崎駿監督の最新作『風立ちぬ』を観てきた。

なるべく期待しないようにと思っていたのだが、結果としてすごく期待してしまっていたのかもしれない。
正直言うと、つまんなかった。
もうなんというか、宿命的につまんないのだ。
そもそも宮崎駿監督も、面白くしようとは考えていない。
むしろつまらなくしようと思って、作っているのかもしれない。
そのぐらい、観ていてなんだかとても落ち込む映画だった。
ひたすら気分が滅入る映画だった。
テーマが重い。
今までの宮崎アニメを観に行く気持ちで観に行くと、大ケガする。

ただし、なにかが残る。
僕は劇中に、二度泣いた。
それでも決して面白くはないし、よくできてもいない。
むしろ、淡々と破綻させているというか、淡々と映画の文法を捨てている。
あえてドラマチックな演出や、わかりやすいプロットを、宮崎駿監督は、捨てている。
思想的にもずいぶん偏っている。
たしかに「遺書」のような気がした。
ほとんど悲しいだけの映画だし、ほとんど後ろ向きの映画になっている。
少しだけ前向きだけど、それも力強いメッセージではない。
救いはない。
むしろ「救いなんてない」という人生の現実を突きつけてくれる映画。
人は死ぬときは死ぬし、ひと一人の力では世の中は何も動かない。
とことん、無力。
ちっぽけな生き物。
それでも生きていかなければならない。
そういうことだ。

星は2つ半。★★1/2
映画として成功しているとは思えないから。
観る人をあまりにも選ぶ。

千と千尋やもののけのような大ヒットはしない。
おそらくコケる。
わかりやすくないから。
でも、宮崎駿監督は、今、これが作りたかったんだろうなぁ。
だったら、仕方ない。
ただし、アニメーションは(いつものように)抜群に美しい。

退屈な映画を観に行くつもりで観に行くと、案外楽しめるかもしれないけれど。

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