リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バロック・リュート奏法の歴史的根拠と実践(25)

2022年12月28日 14時44分55秒 | 音楽系
プロイセン王立宮廷楽団のテオルボ奏者であったエルンスト・ゴットリープ・バロン(1696-1760)の著書「リュートの歴史的、理論的、実践的研究」(1727)の第2部第4章にも装飾に関する記述があります。



これは最も頻繁に現れる装飾の記号です。バロンの著書ではこの記号はトリルとして扱われていて次のような説明がなされています。

「トリロの本質は、始めは幾分ゆっくり穏やかに、そしてより速くより強くする動きにある。トリロをする前に、曲の長調・短調に応じて高い方の音をいつも付け加えるようにしなさい」

トリルをどう弾くべきかについてはこの連載の(8)で触れました。ブログを遡って探すのは面倒でしょうから引用しておきます。

連載(8)より-------
この示されている音符を均等割で弾けばオーケーではありません。沢山書かれている細かい音符は音楽の流れに沿って微妙に長さが異なるように弾くべきです。といってあからさまに音の長さを変えるというわけではありませんが。
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バロンの第2部第4章における記述は私が上のように書いた根拠になっています。

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