リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

3月のコンサート

2010年02月28日 22時37分47秒 | 音楽系
3月に2つコンサートがあり、それぞれ第1回目のリハーサルを行いました。今回はフレンチテオルボをニ短調調弦にした楽器を使っています。要するに機能的にはドイツテオルボということになります。まぁ、番外弦の糸倉スワンネックであるかないかの違いですね。

今回の曲目のうち、パーセルの Sweeter than roses を演奏するんですが、昨年はアーチリュートで演奏しました。アーチリュートではこの曲はとてもナチュラルに響きます。前半がハ短調、後半がハ長調なので、この楽器ではよく響く調になります。ニ短調調弦だと、若干きついかなと思っていたんですが、実際にやってみるとそうでもないどころか、かなりの部分で、ニ短調調弦の方が弾きやすいと感じました。

その理由を考えてみましたら、アーチリュートの G tuning だと、低いミとか高いファ#の音は4フレットを使います。これがニ短調調弦だと、その必要がなくなり、指が楽になります。それに低いラとかレも開放弦ですから、いろいろと都合がいいのです。G-tuningではイ短調は指が難しい方の調なのです。

ですからルネサンス・リュート(G-tuning)で通奏低音の練習を始めたばかりの方に、イ短調の曲なら簡単だろうなんて、通奏低音を頼まないようにしましょう。(笑)

ということで、例外的な場合を除いて、最近では通奏低音にアーチリュートを使うことは稀になり、もっぱらニ短調調弦のテオルボです。