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『うつ病九段』(読書メモ)

先崎学『うつ病九段:プロ棋士が将棋を失くした一年間』文春文庫

羽生さん世代の天才棋士、先崎学さんのうつ病記録である。

うつ病のリアルな世界が伝わってきた。

先崎さんがうつ病になってしまったのは、将棋界を盛り上げようと、棋士として戦いながら、将棋映画『3月のライオン』の監修やエッセイ執筆をして、働きすぎたことが原因らしい。

本書で一番印象に残ったのは、精神科医である先崎さんのお兄さんのアドバイス。

「うつにとって散歩は薬のようなものなんだ」(p.42)

「医者や薬は助けてくれるだけなんだ。自分自身がうつを治すんだ。風の音や花の香り、色、そういった大自然こそうつを治す力で、足で一歩一歩それらのエネルギーを取り込むんだ!」(p. 63)

必ず安定します」(p. 136)

そして、本書を書くことを勧めたのもお兄さんである。

「学ぶが経験したことをそのまま書けばいい、本物のうつ病のことをきちんと書いた本というのは実は少ないんだ。うつっぽい、とか軽いうつの人が書いたものは多い。でも本物のうつ病というのは、まったく違うものなんだ。ごっちゃになっている。うつ病は辛い病気だが死ななければ必ず治るんだ」(p. 161)

誠実なプロフェッショナルがそばにいるということの大切さがわかった。




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