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新著紹介(『経験学習ケーススタディ』)①

昨日に引き続き、新著『経験学習ケーススタディ』を紹介します。

本書は次のような3部構成となっています。

1部 全社事例(全社で経験学習を促している事例)
2部 新人OJT事例(新人を対象としたOJT事例)
3部 中堅マネジャーと若手の共育事例


1部の事例内容は以下の通りです(本書・事例の紹介マップより)。

CASE1:WDBエウレカ(リフレクション事例)
理系研究者の人材派遣会社であるWDBエウレカでは、毎月1回開かれる勉強会において、30分間の業務振り返りを行っています。自身の1カ月間の経験を他者と共有し、フィードバックをもらうというシンプルな仕組みであるがゆえに、手軽に導入しやすいといえるでしょう。「経験し→振り返り→教訓を引き出し→新しい状況へ応用する」というコルブの経験学習サイクルをしっかりと回すことができるように設計されており、効果も高いといえます。

CASE2:ヤフー(包括事例)
ヤフーの事例は、経験学習マネジメントのお手本ともいえるもので、経験学習の原理・原則がきっちりと押さえられています。仕組みの中心は「1on1(ワン・オン・ワン)ミーティング」と呼ばれる上司と部下の面談における業務の振り返りです。これが適切に行われるように、「バリュー・ビジョン」「人材開発会議」「コーチング研修」「アセスメント」などさまざまな仕組みが整備されています。経験学習を包括的に導入したいという組織は、この事例を一つのモデルにするとよいでしょう。

CASE3:オークローンマーケティング(1on1事例)
通信販売の「ショップジャパン」を運営するオークローンマーケティングでは、ヤフーを手本として、1on1ミーティングを導入している最中です。現在進行形の事例ですが、上司と部下の面談を活性化するために、マネジャー教育やミーティングの効果測定などさまざまな工夫をしています。経験学習を取り入れようとしている企業にとって、同社による試行錯誤のプロセスは貴重な情報になるでしょう。

CASE4:東京海上日動火災保険(ジョブアサイン事例)
どのような仕事を積ませるかを決める「ジョブ・アサインメント」は、経験学習に大きく影響を及ぼす重要な仕組みです。東京海上日動火災保険では、10年ほど前から、職場全体で人を育てることを狙った「人材育成会議」を導入しています。通常、仕事の割り当ては直属の上司の役割ですが、同社では、直属の上司に加えて、関連部署の上司が複数体制で、任せる仕事の内容を協議します。ちなみに、ほぼ同様の制度がヤフーでも実施されています。

CASE5:堀場製作所(エンジョイメント事例)
仕事に「やりがい・関心・面白さ」を感じる「エンジョイメント」を前面に押し出して、全社的な改善活動を推進しているのが、「おもしろおかしく」を社是に掲げる堀場製作所です。同社は、「やらされ感」が蔓延していた改善活動を、「やりたい人が、やりたいところでやる」方式に転換したことで、海外関連会社を巻き込みながら、大きな成果を上げています。同社は、社是を中心に、推進室、評価制度、レビューミーティング、社内プロモーション等、さまざまな工夫をしています。

このように、各社の色が前面に出た事例となっています。残りの4事例は、明日以降に紹介する予定です。
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