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命を引き継ぐ

映画『チェブラーシカ 動物園へ行く』を制作した中村誠監督は、同時上映の作品『ちえりとチェリー』の中に、母の死の体験を込めているという。

父親を亡くしたショックから立ち直れずにいる主人公のちえりが、空想の冒険を通して、父の死を乗り越えるという物語らしい。

中村監督はいう。、

「亡くなった人の気持ちを知ることはできないから、残された人が考えるしかない。でも実は亡くなった人の気持ちはちゃんと引き継がれているんです。たとえば僕の考えや思いを誰かに伝えると、それは僕が死んだ後も誰かの中で生き続けると思います。肉体は滅びても、命は引き継がれていくのだと感じることで、僕は母に対する思いに決着をつけることができたような気がしたんです」(p.06)

語ること、伝えることで、他者の命が引き継がれる、という考えに感銘を受けた。そう考えると、ひとりの人の中には、さまざまな人が生きていることになる。

大事な人の語りを聞くこと。大事な人に語りかけることの大切さを感じた。

出所:ビッグイシュー日本版Vol.291

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