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勝負は経営と同じ

女子バレーチームを五輪2大会連続5位に導いた柳本昌一監督は、「勝負は経営と同じ」という持論を持つ。以下は、監督の言葉。

「まず全日本女子の問題点を浮かび上がらせる。そして、目標を定め、目標を達成するために必要な戦略を選手と共有していく。後は愚直に実行していくだけ」

シドニー五輪に出場できなかった全日本女子チームは、すっかり負け犬根性が染み付いていたという。柳本氏は、「五輪でメダルを取る」という目標を掲げた。

そのために取り組んだのは、選手の選抜。強豪チームや実績に関係なく、潜在的能力の高い選手を選んだ。

次に、戦略。海外チームと同じ戦い方をしていては体力負けする。柳本監督が選んだのは「素早く変化に富んだ攻撃を武器にする」という戦略。そのための鍵は、正確なレシーブとトスができる選手。

ただ、女子選手の指導は難しい。東洋紡の女子チームの監督になった際、男子選手と同じ「俺について来い」式の指導をしたところ、24人中20人が辞めてしまったという。

柳本氏いわく

「女子選手は指導内容より人を見る。満遍なくコミュニケーションを取ることなどを心がけてからは、指導しやすくなった」

その後、Vリーグにて東洋紡は2度の優勝を果たす。このときに学んだ事は、五輪代表チームの指導にも生かされた。

柳本氏のすごいところは、挫折から学んでいる点。自身が代表となったモントリオール5輪でメダルを逃した悔しさ、東洋紡の突然の廃部、全日本女子監督就任当初のチーム低迷など、数々の失敗から監督としてのスキルを磨いてきた。

経験からの学習能力がずば抜けて高い、といえる。

その秘訣は、たぶん「内省」。

なぜ上手くいかないのか、なぜ失敗したのか。それを修正して、次に生かす。地道な積み重ねによって監督としての能力を高めてきたのだろう。

出所:日経ビジネス2008年8月4日・11日号、103-104ページ。
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