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『人間の本性』(読書メモ)

アルフレッド・アドラー(長谷川早苗訳)『人間の本性:人間とはいったい何か』興陽館

アドラーの理論はとてもシンプルである。

人間には、幼少時に決まった「生き方のパターン」があり、その流れや型に沿って行動しているという考え方である。

「わたしたちはいつもまず患者の子ども時代に注意を集中することを原則としています」「このときもう一つの理解も利用します。それは、幼いときに身につけた型から逃れることは難しいという理解です。型から抜けだせた人間はごくわずかしかいません」(p. 17)

人間は、主に家族内の出来事によって、無意識の目標を持つようになり、その目標が人生を支配するようになるという。

では、生き方の型に問題がある場合、どうやって解決すればよいのか。

アドラーの答えは明快である。まず、自分の生き方のパターンを理解すること。

「もし人間のなかにある力や動機が活発になることで、自分を知り、自分のなかでなにが起きているか、それはどこから生じているかを理解するようになれば、因果関係はまったく変わり、体験の影響がまったく別のものになることは確実だからです。その人は別人になり、その自分を手放すことはもう決してないでしょう」(p. 27)

そんな簡単にはいかない気はするが、まずは「本当の自分を知る」ことが大事になるといえる。

なお、アドラーによれば、精神生活には「共同体感覚」と「力・優越の追求」という二つの要素があり、このバランスをとることが大事になる。よくある問題は、「力・優越の追求」が強すぎて「共同体感覚」が損なわれてしまうケース。

「もしあらゆる困難を切り抜けるのに役立つ画一的な見解があるとすれば、それは共同体感覚を育てることです。共同体感覚を育てられれば、あらゆる困難は些事になります」(p.200)

本書を読み、自分が抱える問題と解決の方向性が見えてきたような気がした。










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