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『誰もいない場所を探している』(読書メモ)

庄野雄治『誰もいない場所を探している』mille books

徳島で旅行会社の営業をしていた庄野さんは脱サラし、36歳で焙煎珈琲店『アアルトコーヒー』をはじめる(ちなみに、妻子あり)。

しかし、庄野さはコーヒーがめちゃくちゃ好きだったわけではない。

「一番いいのは、まあまあ好きなものを仕事に選ぶこと。どこか俯瞰できるくらいの距離感のあるもの、それが私の場合、コーヒーだった」(p. 18)

庄野さんはさらに持論を続ける。

大切なのは、自分に何ができるかだ。(中略)とはいえ、これができますと自信を持って言えるものなんて、普通の人にはない。だけどよくよく考えてみれば、絶対に何かひとつはあるはず。例えば、素敵な笑顔ができる、きれいな字が書ける、時間に正確、約束は必ず守る。そんなのは普通のことだと思うかもしれないけれど、それを毎日きちんとできる人はなかなかいない」(p. 19)

なるほど。「ほどほどの強み」を生かすということだろう。

なお、庄司さんの会社はかなり成功しているようなのだが、本書を読み、最も印象に残ったのは次の箇所。

「自分はこれが好きだと思っていても、案外そうではなかったりすることがある。理論的にこれが好きだと説明できるものは、それが好きな自分でありたいと思っているところがある。本当に好きなものは、もっと無意識で無自覚なもの。だから自分ではそれがわからない」(p.112)

フーム。深い。

たしかに、自分は何が好きか、よくわからないところがある。

ほどほど好きなことで、ほどほどの強みを生かすことが大事なのかもしれない。
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