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研究とつながり

当初、機械工学を勉強していたウィトゲンシュタインは、ケンブリッジ大学のバートランド・ラッセルの下で哲学を学ぶようになる。ラッセルはウィトゲンシュタインの才能を買い、後には崇拝するようにまでなったようだ。

その後、第一次世界大戦を経て、ウィトゲンシュタインは『論理哲学論考』を出版しようとしたが、無名の哲学者の本を出そうとする出版社はなかったために、完全にあきらめてしまう。

しかし、あきらめなかったのは師匠のラッセルである。さまざまな出版社に掛け合い、彼の解説をつけるという条件つきで『論考』が出版されることになる。

こうした経緯をみると、貴重な研究が生み出され、継承されていく上で、人との「つながり」が大切になることがわかる。

ただ、ウィトゲンシュタイン自身はラッセルの解説が気に食わなかったために、「出さない」と駄々をこねていたらしい。

20世紀哲学界のスーパースターといわれるウィトゲンシュタインの研究は、つながりの中から世に出た、といえる。

出所:ウィトゲンシュタイン(野矢茂樹訳)『論理哲学論考』岩波文庫(p. 215-216)




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