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『生き方の原則:魂は売らない』(読書メモ)

ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(山口晃訳)『生き方の原則:魂は売らない』文遊社

12年前にブログで紹介した本だが(もうそんなに経つのか・・・)、読み返してみた。

一読した後は「偏屈なおじさん」という印象しかない。しかし、不思議なことだが、もう一度読み返すとソローが「大事にしている生き方」が伝わってくる。

「無垢の魂」「思考の土台」「命そのものの根」「すこやかな精神」「心の神殿」「精神的自由」「自分の城」という言葉がひびく。

地味だが、次の箇所がよかった。

内面的生活が衰えるにつれて、私たちはますます足しげく、死にもの狂いで、郵便物を受けとりに郵便局に行くようになります。たくさんの手紙をかかえてそこから出てくる哀れな男は、自分の文通範囲の広さを自慢しているかもしれませんが、もうずい分長いあいだ自分自身からの便りをもらっていないことはまちがいありません」(p. 37-38)

「大きな組織体が人間の心に宿営します。これでは最後は組織体が人間の中身を全部食べてしまいます」(p. 48)

本書を読み、私たちがいかに「世の中」に振り回されているか、また、「自分」を失いつつあるかがわかった。





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