松尾睦のブログです。個人や組織の学習、書籍、映画ならびに聖書の言葉などについて書いています。
ラーニング・ラボ
『汚れっちまった悲しみに・・・』(読書メモ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/03/09/b804b6e3368da40d0f09ee6174f31428_s.jpg)
中原中也の詩は初めて読むが、言われているほど悲しみや絶望を感じることはなく、むしろ自然体でマインドフルな詩が多いような気がした。
有名な「汚れっちまった悲しみに・・・」もかっこいいけれども、『嬰児』という詩がよかった。さわりの部分だけ紹介したい。
カワイラチイネ、
おまえさんの鼻は、人間の鼻の模型だよ、
ホ、笑ってら、てんでこっちが笑うと、
いよいよ尤(もっと)もらしく笑いだす、おまえは
俺の心を和らげてくれるよ、ほんにさ、無精に和らげてくれる、
(p. 144)
自分の子どもだろうか。その場の情景が浮かんでくるようだ。
『頑是ない歌』も心にしみた。以下は、途中の部分。
今では女房子供持ち
思えば遠く来たもんだ
此の先まだまだ何時までか
生きてゆくのであろうけど
生きてゆくのであろうけど
遠く経て来た日や夜の
あんまりこんなにこいしゅては
なんだか自信が持てないよ
(p156-157)
自分の気持ちを正直に綴った日記を読んでいるようだ。
30歳で亡くなった中也の晩年は悲しいことばかり続いたようだが、詩が彼を支えていたのだろう。そして、中也の詩が、多くの人を支えていくのだろう。
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