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『バーボン・ストリート・ブルース』(読書メモ)

高田渡『バーボン・ストリート・ブルース』ちくま文庫

数年前、小樽のある居酒屋に、有名なギタリストであるイサト中川さんがライブに来られた。中川さんのギターを生で聴けるということで出かけたのだが、「高田渡が死んだので、今日は彼の歌を歌います」と言って、結局、中川さんのギターは1曲しか聴けなかった。

そのときが、ある意味、高田渡との出会いである。

本書は、56歳で亡くなった高田さんのエッセイだが、かなりのインパクトを受けた。彼は、有名になりたい、メジャーになりたいという気持ちはさらさらなく、「来て下さい」と請われるままに、全国をライブしながら放浪していた人である。

あまりの「マイ・ウェイ」ぶりに感動した。

高田さんはいう。

「今はたぶん”目先の時代”なのだと思う。いつもみんなといっしょに目新しいものを追いかけていたい、みんなが持っている新しいものを自分も持っていたい、みんながいる新しい場所に自分もいたい ― それをしていないと、自分ひとり取り残されていくような疎外感に襲われるのだろう」(p.135)

「そんななかで自分というものを持ち続けるためには、ガンコであり続けるしかないと思う。「まわりがなんと言おうと、オレはコレを信じている」というぐらいのガンコさを持っていないと、いいように利用されて終わってしまう。僕は僕だし、あなたはあなたなのだ」(p.136)

自分をもち続ける、というキーワードが響いた。そして、高田さんのように、ガンコでありたい、と思った。


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