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性に合う仕事

日本ではじめてノーベル賞を受賞した湯川秀樹先生は、若いころ、数学者になるか、物理学者になるかで迷ったらしい。

しかし、結局、(実験物理学者ではなく)理論物理学者になった。

なぜか?

湯川先生は、回想する。

「それにしても、私はやはり数学者にならなくてよかったと思う。私はどこまで行っても、思考の飛躍に最大の喜びを発見する人間であった。水ももらさぬ論理で、たたみこんで行く手順は、私の関心の中核ではなかった。それにまた、理論物理学者として、理想と現実の間の矛盾に悩むのが、私の性に合っているようにも思われる」(p.190)

「私の性に合っているように思われる」という一言がキーワードである。

才能はあっても、性に合わないということもある。

性に合う」仕事に出会えるかどうか、そこがキャリアの分かれ道である、と感じた。

出所:湯川秀樹『旅人:ある物理学者の回想』角川ソフィア文庫
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