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『砂糖の世界史』(読書メモ)

川北稔『砂糖の世界史』岩波ジュニア新書

ひたすら世界で売れる商品を「世界商品」と呼ぶらしい。本書は、世界商品としての「砂糖」や「紅茶」を中心に、近代世界の歴史を説明したものである。

本書のメインテーマとはズレるが、一番印象に残ったのは、「ボストン茶隊事件」。

当時イギリスの植民地であったアメリカでは、農場主たちは「イギリスのジェントルマン」のように暮らしたがっていた。しかし、度重なる本国の締め付けに反発し、イギリスに反抗するきっかけとなったのが、ボストン茶隊事件である。

「1773年、茶を摘んでボストン港に入った三隻のイギリス船に、先住民に扮装した「自由の息子たち」と名乗る集団がひそかに潜入し、積み荷の茶を海中に捨ててしまいました。これが、歴史上有名な「ボストン・ティー・パーティー事件」―「ボストン茶隊事件」とも「茶党事件」などとも訳されます―です。このできごとは、植民地の人びとの反イギリス感情をさらにかきたて、アメリカ独立運動の決定的なきっかけとなったといわれています」(p.125)

恥ずかしながら、オバマ政権に反対している「ティー・パーティー」の由来が初めてわかった。

アメリカは初めから独立心旺盛だったわけでなく、当初は「イギリス紳士になりたがっていた」という点も意外である。この事件がきっかけとなり、アメリカがアメリカとしてのアイデンティティを確立していき始めた、という点が興味深い。

はじめは親を模倣していたのが、徐々に反発しはじめて、自分のオリジナリティを模索していくプロセスは、まさに「守・破・離」である。その意味では、世界史も自分史も、共通点があるように思った。


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