goo

『発達障害母たちの奮闘記』(読書メモ)

山下成司『発達障害母たちの奮闘記』平凡社

イラストレーターをしながら、発達障害の学校に携わってきた山下成司さん。一口に発達障害といっても、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、広汎性発達障害(PDD)など、さまざまな特質があるらしい。この本には、発達障害の子供を抱える五人のお母さんへのインタビューが掲載されている。

本書を読んで感じたのは、障害があるなしにかかわらず、親の気持ちは一緒ではないかということ。

広汎性発達障害を抱えるツトム君のお母さんへのインタビューの最後に、山下さんは次のように問いかけている。

最後にツトム君に対して「神様に叶えてもらう三つの願い」を聞きたいのですが。

「うーん、当たり前のことですけど、健康でいてほしいことがひとつ。楽しいことを見つけてほしいということがもうひとつ。三つ目の願いは、私たちがいなくなったときに頼れる人ができて、それで自分の人生幸せだったな、って終わってもらえること」(p.64)

また、LD傾向を抱えるタケシ君のお母さんは、「発達障害を抱える子どもを持つ若い親御さんにアドバイスを」と問われて、以下のように答えている。

「本人ができることを大事にすること、それを伸ばしてあげてほしい。子どもに寄り添いながら、子どもが嬉しいこと、楽しいこと、自信を与えるようなこと、それをお母さんからお膳立てする・・・、それがお母さんの仕事だと思います」(p.104)

この箇所を読んだとき、子どもの才能を見つけたら徹底的に伸ばすというユダヤ人の教育方針を思い出した。

子どもが持つ力を見極めて、それを伸ばし、自信をつけさせる。子育てに限らず、組織における人材育成にも通ずる考え方であると思った。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )