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『貧しき人々』(読書メモ)

ドストエフスキー(安岡治子訳)『貧しき人々』光文社古典新訳文庫

この小説を通して、ドストエフスキーは何を言いたかったのか?

それが、なぞである

本書は、中年にさしかかった独身の下級役人マカールと、貧しい娘であるワルワーラの手紙のやりとりの形で書かれた小説である。

ワルワーラに気に入られようといろいろとプレゼントした結果、借金まみれになるマカール。そんな哀れなマカールを見限ることなく、優しく包みこむようなやさしさを見せるワルワーラ。

ところが、ある出来事をきっかけに、心から結びついていたかに見えた二人の関係が崩れ、マカールはひとりぼっちになってしまう。

タイトルの「貧しき人々」は、金銭的な貧しさなのか、それとも精神的貧しさを意味しているのか。いろいろな意味にとることができて、どうもすっきりしない。しかし、そのためか、ズーッと心に響いてくるものがある。

こういう小説もありだな、と思った。

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