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『人生余熱あり』(読書メモ)

城山三郎『人生余熱あり』光文社文庫

定年後に何をするか?という問いは、50代に入ると意識せざるをえない問題である。

定年後の生き方には、仕事を続けるという選択肢と、趣味を中心にのんびり暮らすという選択肢がある。この本は、前者を選んだ人々のルポルタージュである。読んでいて、城山さんの作品『毎日が日曜日』を思い出した。

本書のメッセージは、次の点に集約できる。

「「第二の人生」とか「老後」とかいったきまりきったとらえ方が視野から消えてしまうような飛翔を。むしろ、これこそ「第一の人生」ではないかと思わせる飛翔を」(p.41-42)

化学品メーカーを退社後、中国で技術指導する下村さん。花王を退職後に、フィリピンで石けんを作る林さん。家族でザンビアに住み、パンづくりをする片岡さん。マレーシアで農業指導をする半田さん。

人生を仕事に捧げるという価値観は、とても日本人らしい。城山さん自身が、そのように生きてきたということもあるだろう。

しかし、「そこまで走り続けたら疲れるな」と思ってしまったのも事実である。

仕事と人生の関係について考えさせられる本であった。




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