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『フランス革命:歴史における劇薬』(読書メモ)

遅塚忠躬『フランス革命:歴史における劇薬』岩波ジュニア新書

フランス革命は劇薬のようなもの」という仮説を立て、その仮説を解説したのが本書である。

劇薬とは、効果もあるが副作用もある薬のこと。自由と民主主義を生み出したフランス革命であるが、党派の争いの中で多くの人々が処刑される恐怖政治を生み出したという一面もある。

興味深かったのは、世界で起こる革命のあり方は、その国が置かれた状況によって変わるということ。

「劇薬なしのイギリス革命は、リベラルな変革であった代わりに、デモクラシーの達成をさき送りにしました。劇薬を服用したフランス革命は、デモクラティックな変革であった代わりに、恐怖政治に苦しみました。劇薬なしで「上から」の変革をした日本では、「殖産興業」と「富国強兵」のかげで、基本的人権の保障がなおざりにされました」(p.167-168)

本当の意味で個人が尊重される社会を生み出すには、苦しみを経験しなければならないという点が心に残った。

なお、著者の遅塚先生は、歴史を学ぶ意味を3つ挙げている(p.189-190)。

第1に、過去から現在までの変化の道筋を知って、現在を理解するうえでの参考にすること。
第2に、現在のわれわれとは全く違った過去の人々の生き方を知って、いまのわれわれの生き方を反省すること。
第3に、歴史のなかに生きた人間たちの偉大と悲惨とを知って、それに共感し、感動すること。

要は他者の経験から学び、自身の経験をリフレクション(内省)するということだろう。歴史を学ぶことの大切さがわかった。

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