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時代をとらえる力

『人形の家』を書いたイプセンは、ノルウェー人である。

ノルウェーにて薬局で丁稚奉公したのちに劇作家になるもののパッとせず、ローマ、ドレスデン、ミュンヘンに放浪の旅に出る

解説の原千代海氏は、次のように言う。

「イプセンは国を離れたことによって、ノルウェーも、自分の過去も、客観的に見うる力を獲得した」(p.197)

「イプセンの作品が、北欧語という言葉の不利にかかわらずヨーロッパ中に迎えられ、ノルウェーないし北欧よりむしろ西欧で大きな反響を呼んだのは、イプセンがノルウェーを描きながら、自分の「国」より、自分の「時代」の自意識に敏感だったからである」(p.197)

言葉や国籍よりも、「時代をとらえる力」が重要になるのだろう。そのためには、自身を客観的にとらえる視点が欠かせないといえる。

出所:イプセン(原千代海訳)『人形の家』岩波文庫


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