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『俺の考え』(読書メモ)

本田宗一郎『俺の考え』新潮文庫

本田宗一郎さんが昭和三十年代後半に書いたエッセイ集。人生や経営の本質をつく言葉にあふれている。

もっとも印象に残ったのが「フシ」の話

このエッセイが書かれた頃が不景気だったらしいのだが、そんな時期こそが成長のために大切になる、と本田さんは言う。

「むしろ、もうからない時こそ、その企業の基礎がためができるのである。竹にはフシがある。そのフシがあるからこそ、竹は雪にも負けない強さをもつのだ。同じように、企業にもフシがある。もうかっている時は、スムーズに伸びていくが、もうからん時が一つのフシになる。このフシの時期が大切なのだ。私はフシのない企業は、どうも不安でみていられないような気がする」(p.23)

「われわれの商売だって、今うちがいいといったって、こんなことはひとつもいいことにならんと思う。また悪いときが来ることだってある。ただ、そういう時でもなるほどなというだれでも納得できる真理をつかんでいくことが一番の経営の根本である」(p.23)

フシの話は個人にも当てはまるだろう。何をやってもうまくいかない時期、調子が悪い時期こそ、人間としてのフシを作る絶好の機会かもしれない、と思った。

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