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師匠の存在

芥川龍之介は、師匠であった夏目漱石の死の知らせを受けたとき、深い悲しみを感じると同時に、開放された気持ちにもなったという。

なぜか?

それは、重圧からの解放である。師匠の目を気にせず、自由に執筆活動ができるようになったということだ。

しかし、その後、さまざまな負の出来事の中で悩み、ついには自らの命を絶ってしまった龍之介。もし漱石の支援、励まし、指導があれば、負のスパイラルから抜け出せたのではないか、とも思った。

いくつになっても、道を正してくれる師匠の存在は貴重だと感じた。

出所:関口安義『芥川龍之介』岩波新書
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