goo

『ピグマリオン』(読書メモ)

バーナード・ショー(小田島恒志訳)『ピグマリオン』光文社

オードリー・ヘップバーン主演の映画『マイ・フェア・レディ』の原作である。

訛りの強い貧しい花売り娘であるイライザを、公爵夫人のような言葉づかいに変身させるために、音声学の権威ヒギンズ教授が猛特訓するというストーリー。

ヒギンズ教授は、才能はあるものの、礼儀知らずで自分勝手な性格破綻者なのだが、友人のピカリング大佐は紳士で人格者である。この独身主義者の二人が手を組んで、イライザを改造していく。

訓練のかいあって、公爵夫人のように上品になったイライザだが、ヒギンズ教授に食ってかかる。

「本当の意味でレディと花売り娘の違いは、どう振る舞うかではなく、どう扱われるかにあるのです。ヒギンズ先生にとっては私はいつまでも花売り娘のままです。先生はいつも私のことを花売り娘として扱われ、これからもずっとそうでしょう」(p.p210)

これに対し、ピカリング大佐に対しては次のように語っている。

「本当の意味での私の教育がどこから始まったか、おわかりになります?(中略)私が初めてウィンポール・ストリートのお宅を訪ねた時に、あなたがミス・ドゥーリトルと呼んでくださったことです。あれで私は、初めて自尊心というものを知りました」(p.210)

教育は、単なる技術の伝承ではなく、教える相手を尊重することが基盤になる、ことがわかった。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )