goo

『野心のすすめ』(読書メモ)

林真理子『野心のすすめ』講談社現代新書

作家の林真理子さんは、「運、努力、野心」の関係について次のように語っている。

「運と努力の関係とは面白いものです。自分でちゃんと努力をして、野心と努力が上手く回ってくると、運という大きな輪がガラガラと回り始めるのです。一度、野心と努力のコツをつかむと、生き方も人生もガラッと変わってくる」(p.63)

「努力×野心→運」ということだろうか。

ちなみに、健全な野心とは、野心と努力がうまくかみ合った状態をいうらしい。

「「今のままじゃだめだ。もっと成功したい」と願う野心は、自分が成長していくための原動力となりますが、一方で、その野心に見合った努力が必要になります。野心が車の「前輪」だとすると、努力は「後輪」です。前輪と後輪のどちらかだけでは車は進んで行けません。野心と努力、両方のバランスがうまくとれて進んでいるときこそ、健全な野心といえるのです」(p.31)

しかし、ここでいう野心とはどうも「人に認められたいという気持ち」のようだ。こうした野心で、どこまで成長できるのだろうか。と思っていたら、林さんは次のように語っている。

「年齢を重ねていくと、野心の飼いならし方もだんだんわかってきます。他人のことは気にならなくなってくる。ひたすら自分の中に向かってくるんです。もっと良い仕事をしたいということだけになり、野心が研ぎ澄まされていくわけですが、自分との戦いほど辛いことはない。しかし、若いうちから野心を持って訓練していれば、その辛さに立ち向かえる強さも鍛えられているはずです」(p.181)

この変化は、目標のあり方が、他者に認められることを重視する「業績志向」から、能力を高めることを重視する「学習志向」へと変わったことを意味している。

野心の質も変化する、といえるかもしれない。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )