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『大統領でたどるアメリカの歴史』

明石和康『大統領でたどるアメリカの歴史』岩波ジュニア新書

1776年に英国から独立したアメリカでは、これまで44人の大統領が生まれている。この大統領の観点からアメリカの歴史を見ていこうとするのが本書である。

二百数十年の間、アメリカはさまざまな危機に直面するが、それを乗り越えてきたのは大統領のリーダーシップである。不思議なのは、その時代にフィットした大統領が選ばれていること。

経営学者であるノエル・ティッシーは、組織が置かれた環境に合った適切なリーダーが生み出されていく仕組みを「リーダーシップ・エンジン」と呼んでいるが、アメリカはまさにこのリーダーシップ・エンジンを備えているように感じた。

では、何がリーダーシップ・エンジンの源になっているのか?

アメリカは実力のある人間が認められる構造を持っているからではないか。もちろん、差別もあるし、貧富の差も拡大しているのだが、中産階級以上の人間には上昇するチャンスがあるように思う。

これは、会社組織についてもいえるような気がする。実力のある人材がリーダーとして認められる組織は、時代にあったリーダーが選ばれ、長期間にわたり繁栄することができる。これに対し、生まれ、性別、家柄、派閥など実力以外の要因が重視される組織は長続きしない

ただ、最近のアメリカでは、富が上層部に集中しすぎていて、中産階級の力が低下していると聞く。そうなると、今まで機能してきたリーダーシップ・エンジンが働かなくなるかもしれない。





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