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人権

理学療法士の三好さんは、介護における「人権」のとらえ方に異議を唱えている。

「人権を声高に言う人たちは、ていねいな言葉遣いをしましょうとかいって、「三好様」なんて呼んだりしますけど、はっきり言って気持ち悪い。(中略)特に一般の人というのは、老人のことを知らないから、老人を大事にするというと、プライバシーを大事にするか、言葉遣いをていねいにするか、消費者として大事にしましょうというくらいしか、思い浮かばないのでしょう。でも、それは違います。ていねいな言葉遣いができる人よりも、便秘で苦しんでいる目の前のばあさんをどうやって助けてあげられるのかという、その技術を持っている人が一番人権を大事にしているんです。オムツを当てられて、「三好様」なんて呼ばれるより、トイレでちゃんと排泄させてくれたほうがいいに決まっています」(p.58-59)

これは介護の現場にかかわらず、医療や教育の現場などでも当てはまることだろう。その人が人間らしく生きていくことをサポートできるかどうか。そこに人権を大事にする鍵があると感じた。

出所:三好春樹『ウンコ・シッコの介護学』雲母書房



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