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単語を覚える

哲学者・木田元さんの語学勉強法の続きである。

木田さんは、ドイツ語・フランス語・ギリシャ語・ラテン語などを習得する際、まず文法を頭に叩き込み、単語を片っ端から覚え、実際に原書をガンガン読んでいくという。このなかでも強調されるのが単語である。

「いちばんの基本は単語をおぼえることです。単語を知っていれば何とかなります」(p.87)

では、どのように単語を覚えるのか?

「単語をおぼえるにはコツがあります。たとえば単語帳で1日に四ページずつおぼえるとします。日本語の訳語をみて英語を書いてゆく。間違えたものには印をつける。間違えばそれだけもう一度繰りかえす。いちおう全部できるようになるまでやる。二日目は一日目の四ページを復習してから、その日の分を同じようにして覚える。三日目は、それまでの八ページ分をやってからその日の分をやる。三日くらいやると、最初の日の分はほとんど間違わなくなるものです。五日やったら最初の一日目の分ははずします。そうしてどんどんやっていきます。ただし、毎日やらないと駄目です。昨日のことは覚えていても、一昨日のことは忘れるものです。あまり忘れるといやになってやめることになります。どんな人でも五日間つづけて見たものは覚えるものです。特に記憶力がよくなくても、このやり方でやれば覚えられます。ただし、時間はかかります。しかし、毎日つづけていると面白くなってきて、あまり苦になりません」(p.87-88)

シンプルなやり方であるが、かなり効果的だ。1日に50~60語覚えたとしても3か月続ければ5000語はマスターできることになる。しかも、木田さんいわく「語学をやると精神も安定してくる」らしい。

ただ、単なる受験勉強と違うのは、木田さんの場合「哲学の原書を読む」という明確な目標があったことだ。現に、短期間で単語を覚えたら、すぐに哲学書を読むわけだから、覚えた単語が身体に滲み込むのもはやいだろう。

なんだか単語を覚えたくなってきた。

出所:木田元『闇屋になりそこねた哲学者』ちくま学芸文庫



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