柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

悪趣

2016-03-20 13:17:45 | Weblog
甲子園始まりました。春が来ました。昔はよく見てましたが最近はとんと見ません。が、この期間中はNHKが常に中継しますから昼休みには嫌でも見ることになるのですが。昔見ていた頃はスターがどんどん出てきた時期です、高校野球の黄金時代です、池田、PL、浪商、早実の時代。ま、私も若かったわけですが、確かに高校野球ならではの魅力はあります。が、ここで何度も書きますが、朝日の作りあげた(春は毎日新聞ですが)高校球児純粋無垢論、アマチュアリズムの強制が全てここに集まっている態、それはつまり「そうあれかし」という期待のレベルをとうに超えた、「そうあるべし」の足枷によって定型ドラマを演出する国民的な予定調和の舞台です。もちろんその強要には新聞TVでの大々的な報道というこれ以上ない褒美で応え、若い連中を目眩ましする、周辺の関係者にもあれこれ利権を用意する、当人達は大金を手にしていく。大ビジネスです。そして今回はその傾向(色付け、テイスト、指向)があからさまに出て、そこまでやるな、やらすなと胸が悪くなったことでした。朝日毎日日経とNHKはお仲間左巻きですが、そのNHKの中継です。いつからなんですかね21世紀枠という、秋の地方大会で勝てなかったけれどいわばお情けで出してあげましょうという特別枠ができて(もちろん2000年以降ではありますが)今回は釜石高校、長田高校、小豆島高校と出てます。長田高校は神戸震災で一番被害の大きかったあの長田地区の高校です。前者二校の主将が校旗を持って並んでインタビューを受けるんです、21世紀枠の出場校としての意気込み、という絵柄です。が、インタビュアーの質問が偏りに偏ります、大震災から5年が経ちます今だ避難所暮らしている人達も多い中、どう戦いますか?そんな・・というか、最近の高校生ですからきちんと話すのですが、そう聞かれたら通り一遍の、感謝の、元気を与えるの、の応えになります、そしてそれを待っているそう喋らせたい意図が見え見えの聞いてて恥ずかしいことでした。あるいはそう応えよと前もって原稿が渡されているのかもしれぬなとまで穿ってしまうのでしたが、これほど悪意に近い強要して恬と恥じぬところなんとも胸の悪いこと。純粋無垢の少年達が胸を痛めてそして清く決心して地元の人たちを励ます為に頑張るんだという大演出です。これを欺瞞と言わずにどう表現しますか。神戸の高校の主将に至っては、ぼくたちは震災を知らないけれどずっと震災の教育を受けて来ている、被災した人達を思っているなんて言わされてます。こんなこと即座には応えられませんよ、前もってのやらせでしかありません。震災から6年も7年も後に生まれた連中が被災民を思いますか?彼らが悪いんじゃないです、彼らを出してやったことを非難してるのではないです、連中は嬉しいことなんですから。でも、とにかく「弱者に美しく寄り添う」色に(弱者強者の理論)塗り込めたい朝日毎日NHKの偽善欺瞞強要にとにかく腹が立ちます。さらには開会式後の第一戦の始球式には障害を持っていながら野球に打ち込んでいる同年代の二人を舞台に上げます、場内アナウンス聞いてるとどちらの手足に障害があって云々カンヌンと紹介してました。おいおい、そんなに晒す必要がどこにあるんだ?とこんどは耳を塞ぎたくなることでした。いえ彼らはあのハレの場を喜んでいるのでしょう、それはそれでいいのですし、見ていて涙が出たことでしたが、この演出の意図のいやらしさと言ったら・・。被災、障害、貧困、病気・・社会弱者に仕立てあげる、彼らに寄り添うふりで自ら諸悪を断つ正義の味方を任じて勝手気ままにふるまう。偽善欺瞞を振り回し周りをなぎ倒す。高校野球とは彼らが自作自演する最高の舞台なのです。そうと知りつつ、こんなあからさまな自分達の悪趣味のブン回しに憤ることでした。
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