ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

東京高裁で、袴田巌氏の再審が決定した(袴田事件の現場にも行ってみようと思う)(追記:祝!検察が特別抗告断念!!!)

2023-03-14 00:00:00 | 社会時評

長いですが、まずはNHKの記事を。

袴田巌さんの再審認める決定 東京高裁 証拠“ねつ造”疑い言及
2023年3月13日 18時48分 

57年前、静岡県で一家4人が殺害された、いわゆる「袴田事件」で、無罪を主張しながらも死刑が確定した、袴田巌さんについて、東京高等裁判所は再審=裁判のやり直しを認める決定をしました。有罪の根拠とされた証拠について、決定は「捜査機関が隠した可能性が極めて高い」と、“ねつ造”の疑いに言及しました。

【こちらでも詳しく】袴田事件 再審開始決定 東京高裁(随時更新・最新情報)
袴田巌さん(87)は、57年前の1966年に今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で、死刑が確定しましたが、無実を訴え、裁判のやり直しを求めています。

9年前、静岡地方裁判所が再審を認める決定を出し、袴田さんは死刑囚として初めて釈放されましたが、その後の東京高裁は一転して再審を認めず、さらに最高裁が審理が尽くされていないと判断したことから、東京高裁で再び審理が行われる、異例の展開をたどっていました。
最大の争点は、逮捕から1年以上あとに現場近くのみそタンクから見つかった衣類についた血痕の色の変化です。

衣類は有罪判決の決め手となった証拠ですが、袴田さんが隠したものかどうかを検証するため、1年以上みそに漬かった状態でも血痕に赤みが残るかどうか、弁護側と検察の双方が主張を繰り広げました。

13日の決定で、東京高裁の大善文男裁判長は、弁護側が示した実験結果などについて、「1年以上みそに漬けられると血痕の赤みは消えることが、専門家の見解からも化学的に推測できる。袴田さんが犯行時に着ていたという確定判決の認定には合理的な疑いが生じる」として、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」にあたると判断し、再審開始を認めました。

さらに、「衣類は事件から相当な期間が経過したあとに第三者がタンクに隠した可能性が否定できず、事実上、捜査機関による可能性が極めて高い」と厳しく批判しました。

また、袴田さんの釈放についても、「無罪になる可能性や再審開始決定に至る経緯、袴田さんの年齢や心身の状況に照らして相当だ」として、引き続き認めました。

決定に不服がある場合、5日以内に検察は最高裁判所に特別抗告することができますが、決定が確定すれば、裁判がやり直されることになります。
東京高裁の前では支援者らから喜びの声
東京高等裁判所の前では、再審を認める決定が出された直後の午後2時すぎ、裁判所から出てきた弁護士が「再審開始」や「検察の抗告棄却」と書かれた紙を掲げると、集まった支援者らから大きなどよめきが起きました。
そして、「よくやった」とか「よかった」といった喜びの声があがっていました。
その後、袴田さんの姉のひで子さんが、裁判所から笑顔で出てきて、「再審が認められ本当にうれしいです。56年間闘ってきて、この日がくるのを心待ちにしていました。これでやっと肩の荷が下りた感じがします」と話していました。

また、弁護団の小川秀世弁護士は「当然の決定だと思いますが、本当にうれしいです。検察に対しては特別抗告をしないよう要請します」と涙を流しながら話していました。

そして、ひで子さんと小川弁護士が抱き合って喜びを分かち合うと、支援者から大きな拍手が送られていました。

このあと、袴田さんの支援者20人余りは午後3時前に東京高等検察庁の前に集まり、プラカードを掲げながら「検察は再審開始決定に従え」とか「袴田さんに真の自由を」などとシュプレヒコールをあげていました。
弁護団長「検察官の主張ことごとく排斥 画期的だ」
再審を認める決定を受け、袴田さんの姉のひで子さんと弁護団、それに支援する日弁連=日本弁護士連合会が会見を開きました。

この中でひで子さんは「再審開始になることを願って今まで生きてきたので、大変うれしく思っています。家に帰ったら本人に『よい結果が出たから安心しなさい』と言うつもりです。早く死刑囚でなくなることを願っています」と喜びを語りました。

また、西嶋勝彦弁護団長は「決定は、高裁での審理の争点だった血痕の色について検察官が行った実験には信用性がないと判断した。これまで争われてきた論点についても検察官の主張をことごとく排斥していて、画期的だ」と述べました。

そのうえで「それぞれの証拠を総合評価して、無実になる可能性があることを明言していて、速やかにやり直しの裁判に移行するべきだと表明していると思う」と強調しました。

また、日弁連の再審法改正実現本部で本部長代行を務める鴨志田祐美弁護士は、「再審手続きを定めた法律には証拠開示について明文化した規定がなく、再審開始を認める決定が出ても、検察官が不服を申し立てることができるため、審理が長引き、取り返しのつかない悲劇を生み出している。法改正しかないということを世の中に訴えていきたい」話していました。
東京高検「主張認められず遺憾 適切に対処したい」 
再審の開始を認める決定を受け、東京高等検察庁の山元裕史次席検事は「検察官の主張が認められなかったことは遺憾である。決定の内容を精査し、適切に対処したい」というコメントを出しました。
きょうの袴田さんの様子は
支援者によりますと、袴田巌さんは、13日は午前9時半ごろに起床し、朝食にみかんやりんごなどの果物を食べたということです。
ひで子さんが袴田さんのひげをそったり、髪を整えたりしていました。

ひで子さんは決定文を受け取るため東京高裁に向かい、袴田さんは同行しません。
ひで子さんが「きょうは東京へ行ってくるから。一晩、泊まってくるからね」と伝えると、袴田さんは「あ、そう」と応じていました。

午後は、支援者の運転する車で、幼少期に足を運んでいた浜松市浜北区の「岩水寺」を訪れました。

袴田さんは寺の本堂の前でさい銭箱にお金を投げ入れると、静かに手を合わせ、線香をあげていました。

また、寺の近くにある大きな仏像の前でも手を合わせていました。

そして記者から「きょうはどんな日ですか」と声をかけられると、「勝つことだね。勝つ日だと思うがね」などと話していました。
識者「『疑わしきは被告人の利益に』という考え方に」
決定について、元裁判官で刑事裁判の経験が長い、半田靖史弁護士は「『血痕の赤みが失われるか化学的に説明する』という最高裁から与えられた課題について、高裁は専門的な知見によって合理的に裏付けられたと認定した。『疑わしきは被告人の利益に』という考え方に立ち、誰が衣類を隠したのかはっきりわからなくても、血痕に赤みが残っているのはおかしいとさえ言えればよいと判断した」と評価しました。

その上で、「検察が行った実験も弁護側の理論を裏付けるものと判断された。検察は立証の機会をたっぷり与えられていたので、潔く結論を受け入れるべきではないか」と指摘しました。
袴田事件 今後の手続き
再審開始を認めた東京高裁の決定に不服がある場合、検察は5日以内に最高裁判所に特別抗告することができます。

今回は週末を挟むため、特別抗告の期限は今月20日となります。

特別抗告が行われれば、再審開始の判断は最高裁に委ねられることになり、審理が続きます。

一方、13日の決定が確定すれば、静岡地方裁判所でやり直しの裁判が行われ、無罪に大きく近づくことになります。
過去の再審判断と法改正の動き
過去にも死刑や無期懲役が確定した事件で再審開始が認められ、無罪となったケースがあります。

死刑が確定した事件では、
▼1948年に熊本県で夫婦2人が自宅で殺害された免田事件や、
▼1954年に静岡県で当時6歳の女の子が連れ去られて殺害された島田事件などで無罪が言い渡されました。

無期懲役が確定した事件では、
▼1990年に栃木県で当時4歳の女の子が殺害された足利事件や、
▼1997年に東京電力の女性社員が殺害された事件などで、
再審によって無罪が言い渡され、その後、確定しています。

最近では、大阪 東住吉区の住宅で11歳の女の子が死亡した火事で殺人などの罪で無期懲役が確定し、服役していた母親が、2016年に再審で無罪となっています。

また、先月27日には、39年前に滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件で無期懲役が確定し、服役中に死亡した男性について、大阪高等裁判所が再審開始を認める決定を出しました。

再審が認められるまでに長い年月がかかっていることから、日弁連=日本弁護士連合会は「法制度の不備がえん罪被害を救済する妨げになっている」として、再審手続きに関する法律を速やかに改正するよう求めています。

先月公表した意見書では、
▼再審の手続きでも通常の裁判と同じように裁判所が検察に対して証拠の一覧表を提出するよう命じられるようにするほか、
▼手続きが長期化しないよう、裁判所が再審を認めた場合には検察による不服の申し立てを禁止すべきだとしています。
ボクシング界の支援団体「感無量のひと言」
元プロボクサーの袴田巌さんに対して、ボクシング界は支援団体を設立して拘置所で袴田さんに面会したり、再審を求めるデモを行ったりするなど、長年にわたって活動してきました。

再審を認める決定について、支援団体の中心メンバーで元東洋太平洋バンタム級チャンピオンの新田渉世さんは、「感無量のひと言だ。ほかの支援者や弁護団の活動のたまものだが、ボクシング界でも精いっぱい支援してきたのでうれしい。まだ確定ではないが、ボクシング界の大先輩である袴田さんに勝利の見込みが出てきたので、おめでとうと伝えたい」と喜びを話しました。

その上で、「検察には特別抗告をしないように求めていきたい」と話していました。

これも後々の史料になるかと思いますのですべて引用させていただきました。

そもそも袴田事件自体は、2014年の時点で静岡地裁が再審決定をしているわけであり(この時点で袴田巌さんは釈放)、それを即時抗告審で18年に東京高裁が再審請求を棄却するという「おいおい」ということになったのですが(しかし再収監せず身柄は釈放したままでOKというあたり、だいぶ裁判所も腰が引けています)、特別抗告の後20年に最高裁が審理を高裁に差し戻しました。個人的には、Wikipediaから引用しますように、

>合議体を形成する裁判官5名のうち林景一宇賀克也は、新証拠は再審を開始すべき合理的な疑いを生じさせるものであることは明らかでその判断のためだけにこれ以上の時間をかけるべきでないとし、高裁決定を取り消した上で最高裁自ら再審開始決定を行うとする反対意見を述べた

と考えますが、ともかく高裁で再審が認められたわけです。最高裁で差し戻した以上高裁が再審を棄却することはないとは思いましたが、それにしてもよかったと思います。あとは検察は特別抗告をするなですが、どうなるか。ここは見守るしかない。

そうなると、これはなんとか早急に再審を開始して、袴田さんに無罪判決を下してもらわなければなりませんね。袴田さんは87歳であり、非常に残念ですが、そんなに時間の余裕があるわけではない。袴田さんが釈放されたのが14年で、それからなんと9年もの長い時間が過ぎてしまっているのです。NHKの記事にもありますように、

>また、先月27日には、39年前に滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件で無期懲役が確定し、服役中に死亡した男性について、大阪高等裁判所が再審開始を認める決定を出しました。

ではありますが、もちろん袴田さんがご存命のうちに無罪が確定するほうがいいに決まっているし、ここはいろいろなところの英断により、早急な再審→無罪確定を道を確定しないといけません。

いずれにせよこの事件に関しては、マスコミもきわめて袴田氏に好意的であり、世間も彼にきわめて同情的、好意的です。袴田氏は長い拘禁で精神的にもひどい負担がかかってしまいました。そしてこの日にまでたどり着けたのも、袴田氏のお姉さまの尽力です。彼女が袴田氏を見捨てていれば、たぶん彼は、死刑が執行されているか、そうでなくてもいまだ東京拘置所に在監している可能性が高い。お姉さまも90歳ですので、ここは当然ながらお姉さまもご存命のうちに袴田氏の無罪が確定してほしいものです。絶対そうでなければいけません。

それで、先のことになるかと思いますが、袴田事件の現場に私も行こうと思っています。いろいろ下調べをしています。私も袴田事件に関しては何冊か本を読んでいますし、近隣の人の迷惑にならない範囲で現地へおもむく所存です。なお冒頭の写真は、引用したNHKの記事に添付されていたもの。

3月20日午後11時過ぎの追記:bogus-simotukareさんからもさっそくコメントをいただいたように、東京高検が特別抗告を断念したとのことですね。NHKの記事を、すべて引用します。

「袴田事件」検察が特別抗告を断念 再審開始へ
2023年3月20日 21時55分 

57年前、静岡県で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」で、死刑が確定した袴田巌さんの再審=裁判のやり直しを認めた東京高等裁判所の決定について、検察は最高裁判所に特別抗告しないことを明らかにしました。
これにより死刑判決の確定から40年余りを経て、やり直しの裁判が開かれることになりました。死刑が確定した事件で再審が行われるのは5件目で、過去4件はいずれも無罪が言い渡されています。

⇒【詳報】再審開始へ 関係者の反応など
57年前の1966年に今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)について、東京高等裁判所は今月13日に「有罪の根拠とされた証拠に合理的な疑いが生じた」として再審を認める決定をしました。

決定は、逮捕から1年以上あとに現場近くの“みそタンク”から見つかった衣類について、弁護側の新たな実験結果などをもとに「袴田さんが犯行時に着ていたという確定判決の認定には合理的な疑いが生じる」と指摘した上で、捜査機関によるねつ造の疑いにも言及し、厳しく批判しました。

この決定について、東京高等検察庁は最高裁判所に特別抗告しないことを明らかにしました。

東京高検の山元裕史次席検事は「再審開始を認めた東京高裁の決定には承服し難い点があるものの、法の規定する特別抗告の申し立て事由があるとの判断に至らず特別抗告しないこととした」などとするコメントを発表しました

これにより、死刑判決の確定から40年余りを経て、静岡地方裁判所でやり直しの裁判が開かれることになります。
この事件では静岡地方裁判所が9年前、再審を認める決定を出し、袴田さんは死刑囚として初めて釈放されましたが、東京高裁は一転して再審を認めず、その後、最高裁が再び東京高裁での審理を命じる異例の展開をたどっていました。

死刑が確定した事件で再審が開かれるのは5件目で、過去4件はいずれも無罪が言い渡されています。
東京高検 次席検事“申し立て事由があるとの判断に至らず” 
東京高検の山元裕史次席検事は「再審開始を認めた東京高裁の決定には承服し難い点があるものの法の規定する特別抗告の申し立て事由があるとの判断に至らず、特別抗告しないこととした」などとするコメントを発表しました。
東京高検 次席検事「特定の方向で議論したわけではない」
東京高等検察庁の山元裕史次席検事は20日夜、報道陣に対し、「特別抗告断念を求める検察への申し入れなど色々な意見があったことは承知しているが、法と証拠に基づいて慎重な検討を重ねた結果、特別抗告の事由があるという判断に至らなかった。特定の方向で議論したわけではない」と述べました。

また袴田さんを今も犯人とみているのかという質問に対しては「事件の具体的な見方や個別の証拠の評価について述べることは現時点では差し控えたい」と述べました。

このほか報道陣からは
▽やり直しの裁判の中で有罪の立証を行うかどうかや
▽現時点で、検察として袴田さんに謝罪する意思があるか、それに
▽東京高裁が決定で、捜査機関による証拠のねつ造の疑いを指摘したことについての見解を問う質問も出ましたが、
いずれも「今後、公判があるので、現時点でのコメントを差し控えたい」という回答を繰り返しました。
「記者会見開始1分前」に担当検事から弁護士に“断念”の連絡 
袴田さんの弁護団は、午後4時半から東京 霞が関で記者会見を予定していて、会見場に入るとすぐに「検察から『特別抗告を断念する』と連絡があった」と声をあげて、報道陣や集まった支援者に伝えました。
記者会見で弁護団の事務局長を務める小川秀世弁護士は「さきほど午後4時29分に担当検事から特別抗告しないと電話があった。本当にありがたい。支援者をはじめとする人たちの力が1つになってきょうを迎えられたと思う」と泣きながら話しました。そして「無罪の判決を聞かないと巌さんと姉のひで子さんが本当の意味で元の生活に戻れないので早く無罪にしてあげたい」と話しました。
また、弁護団長の西嶋勝彦弁護士は「決定は一つ一つの論点について詳細に検討し、検察の主張は成り立たないと判断していたので特別抗告の理由は全くないと思っていた。今後の再審の裁判で袴田さんの無実を早く明らかにしたい」と声をつまらせながら話しました。そのうえで「検察が東京高裁に即時抗告をしたのがそもそもの間違いで、むだな時間を費やした。巌さんとひで子さんに無用な苦痛を与えたと思う」と批判しました。
袴田さんの姉のひで子さん(90)は浜松市の自宅からオンラインで会見に参加し、「再審開始のときと同じでとてもうれしく、これで安心です。巌にも『安心しな、再審開始になったよ』と説明しました。本人がわかっているかどうかはわかりませんが、巌の言うとおりになったと思います。検察は腹を決めてくれて立派だと思う。本当にありがたい」と笑顔で話していました。
ひで子さん「巌が死刑囚でなくなることをひたすら願っている」 
またひで子さんは取材に対し「こんなにうれしいことはない。ありがとうのことばしかない。検察が特別抗告を断念したことにも『よくぞ決断してくれた』と敬意を表したい」と喜びをあらわにしました。

ひで子さんは自宅にいた午後4時半ごろ、特別抗告の断念について支援者から連絡を受けたということで「なにがなんだかわからないくらい大騒ぎして、走り回って喜んだ。そのとき、ちょうど、巌が家に帰ってきたので『巌の言うとおりになったよ。もう大丈夫だから安心していいよ』と伝えた。本人の反応はなかったが、きっとわかっていると思う。『当たり前だ』と思っているはずだ」と振り返りました。そして今後開かれるやり直しの裁判については「再審が開始され、無罪になって、巌が死刑囚でなくなることをひたすら願っている」と話していました。
ひで子さん 満面の笑顔で「やった!」とガッツポーズ
支援者が撮影した映像によりますと、袴田巌さん(87)の姉のひで子さん(90)は、検察が特別抗告を断念したことを自宅で支援者から伝えられた際、満面の笑顔で「やった!」と述べ、ガッツポーズしました。

そして支援者と抱き合って喜びをかみしめていました。

そのすぐ後、袴田さんが支援者の車でのドライブを終えて自宅に帰ってくると、ひで子さんはさっそくやり直しの裁判が開かれることを報告していました。

ひで子さんは袴田さんの肩を優しくたたきながら、「検察が特別抗告を断念した。だから、完全に今度は無罪だ。完全に勝った。あんたの言うとおりになった。もう安心だで、なにも心配なくなった。57年間闘ってきたもんね、いわちゃん」と笑顔で語りかけていました。
東京高検前で「座り込み」の人たちも涙 
東京高等検察庁の前では昼すぎから袴田さんの支援者など40人ほどが特別抗告の断念を求めて座り込みをしていました。

午後4時半ごろに検察が断念したとの情報が入ると支援者の1人が「特別抗告断念という知らせが来ました。皆さんバンザイしましょう。57年に及ぶ巌さんの無実の叫びが実りました。再審開始決定です」と声をあげました。

集まった人たちからは歓声や拍手があがり「よかったね」と互いに肩をたたきあったり、涙を流したりする人もいました。
静岡県警本部コメント「再審を見守っていきたい」
再審=裁判のやり直しを認めた東京高等裁判所の決定について、検察が最高裁判所に特別抗告しないことを決めたことについて、静岡県警察本部は「県警としては再審を見守っていきたい」とコメントしています。
今後 有罪判決を最初に言い渡した静岡地裁で再審へ 
検察が期限までに特別抗告しなかったことで、袴田巌さんの再審=裁判のやり直しが確定し、今後、静岡地方裁判所でやり直しの裁判が開かれることになります。

再審の審理は、確定した有罪判決を最初に言い渡した裁判所で行われ、今回は裁判員制度が始まる前の事件のため裁判官だけで審理にあたります。

検察が争わなければ1回で審理が終わることもあり、無罪が言い渡され確定したら名誉回復のため官報と新聞に判決を掲載し、公に知らせることになっています。

一方、判決に不服がある場合は通常の裁判と同様に控訴や上告をすることができます。
支援者「巌さんはまだわかっていないようで反応薄い」 
支援者が午前中に撮影した映像では袴田さんがテレビを見ながら笑顔を見せる場面もみられました。

このあと姉のひで子さんとともに昼食をとり、支援者が差し入れた手作りのギョーザなどを食べたということです。

袴田さんは午後1時ごろに支援者の車で日課のドライブに出かけ、浜松市内の公園や寺などをまわって午後4時半ごろに自宅に帰ってきたということです。

そして、自宅に帰ってきた直後にひで子さんから検察が抗告を断念したことを伝えられたということです。

袴田さんを支援している市民グループの代表の猪野待子さんは「ひで子さんが喜んでいるのに対し、巌さんはまだわかっていないようで反応が薄くて対照的だった。私たちもまだ夢を見ているんじゃないかと思う」と話していました。
最高裁判所への特別抗告“断念”は過去に足利事件などでも
最高裁判所への特別抗告は、決定に憲法違反や判例違反がある場合に限られていて、検察が再審開始決定に対する特別抗告を断念したケースは過去にもあります。

1990年に栃木県で当時4歳の女の子が殺害されたいわゆる「足利事件」では、殺人などの罪で無期懲役が確定した菅家利和さんが無実を訴えて裁判のやり直しを求め、2009年に東京高等裁判所が再審を認める決定をしました。

この事件では、DNAの再鑑定の結果、菅家さんが犯人ではない可能性が高いという見解が示され、再審を認める決定が出される前に、検察が刑の執行を停止して菅家さんを刑務所から釈放する異例の措置をとり、再審開始決定についても特別抗告しませんでした。菅家さんは、その後再審で無罪判決が言い渡され、確定しています。

また、1995年に大阪 東住吉区の住宅で11歳の女の子が死亡した火事では、放火や殺人の罪で無期懲役が確定した青木惠子さんたち2人が裁判のやり直しを求め、2012年に大阪地方裁判所が認める決定をしました。

検察は大阪高等裁判所に即時抗告しましたが、2015年に退けられ、大阪高等検察庁は「事実認定には直ちに承服しがたい点があるものの、憲法違反などがあるとまでは言えない」などとして特別抗告を断念しました。

その後開かれたやり直しの裁判で、検察は有罪の主張や立証をせず、無罪が確定しました。
死刑確定の事件での裁判やりなおしは過去4件 いずれも無罪に
死刑が確定した事件で初めて再審が認められたのは1950年に香川県で63歳の男性が殺害され現金が奪われた「財田川事件」です。

その後も、1948年に熊本県で夫婦2人が殺害された「免田事件」や1955年に宮城県で住宅が全焼して一家4人が遺体で見つかった「松山事件」、1954年に静岡県で当時6歳の女の子が連れ去られ殺害された「島田事件」で再審が開かれ、これら4件の事件は、裁判をやり直した結果、いずれも無罪判決が言い渡されました。

死刑が確定した事件で再審が決まったのは今回が5件目で、島田事件の再審が決まった36年前の1987年以来となります。
日弁連会長「無罪判決得て真の自由獲得できるよう強く希望」
袴田さんの裁判のやり直しが決まったことについて、日弁連=日本弁護士連合会の小林元治会長は談話を発表しました。「一刻も早く再審が開始され、迅速な審理によって袴田さんが無罪判決を得て真の自由を獲得できるよう強く希望する」としたうえで「袴田さんの再審での支援や、再審法改正を含めえん罪を防止するための制度改革の早期実現に向けて努力する」としています。

ともかくほっとしました。昨日複数のネットの記事で、検察が特別抗告する意向であるという趣旨のものが出て、大丈夫かなと心配していたのですが、観測気球をだしても、特別抗告をすることに関しては、非常に評判が悪いということを検察も認めざるをえなかったということなのでしょう。ともかくそうであるのなら大変いいことです。無罪判決の日とその確定が、いまから非常に楽しみです。

コメント (2)
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