非国民通信

ノーモア・コイズミ

教育が優良な投資であることを理解できない国は成長しているだろうか

2016-09-25 21:49:31 | 社会

日本、33カ国中32位=教育への公的支出割合-OECD(時事通信)

 経済協力開発機構(OECD)は15日、2013年の加盟各国の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出割合の調査結果を公表した。日本は3.2%と7年ぶりに最下位を免れたものの、比較できる33カ国中ハンガリー(3.1%)に次ぐ32位にとどまり、OECD平均の4.5%も下回った。

 33カ国の中で最も高かったのはノルウェーの6.2%。次いでデンマークの6.1%、ベルギー、フィンランド、アイスランドが各5.6%で、欧州の国々が上位を占めた。

 大学など高等教育への支出を公費で負担している割合は、日本は35%で、韓国(32%)に次いで2番目に低く、大部分を私費で負担している実態が明らかになった。OECDは、日本では高等教育への需要が高いにもかかわらず、公的支出が少ないと指摘した。

 

 さて教育機関への公的支出割合で、日本が7年ぶりに最下位を脱したそうです。ちなみに最下位は国境線にフェンスを築いて難民を撃退していることで有名なハンガリーでして、この辺の国と同レベルの争いを繰り広げているようでは全く喜べません。結局のところOECD諸国中のワースト2なのですから、政府や行財政関係者には深い反省が求められます。

 なお報道によると「日本では高等教育への需要が高いにもかかわらず、公的支出が少ない」と、OECDは指摘したそうです。公的支出が少ないのは歴然たる事実ですが、「需要」の方はどうなのでしょう。日本の場合、大学進学率はようやく50%に届いたばかりと、そこまで高等教育を受けに行く人の割合が高いわけではありません。そもそも日本の大学進学率が急上昇に転じたのはバブル崩壊と同時期です。高卒でも就職先に困らなかった時代の日本の大学進学率は至って低かったことを思うと、日本における高等教育の「需要」とはどれほどのものなのかと悩みます。

 あるいは卒業してどこかの会社に就職するにしても、採用に当たって問われるのは大学のネームバリューぐらいであって成績なんかは聞かれない、入社したら「いつまでも学生気分じゃダメだ」と言われ、研修と称して自衛隊に体験入隊させられたりコンサルタントと称する占い師から似非科学や都市伝説を教え込まれるわけです。いったいどこの誰が、高等教育を必要としているのでしょうね。

 国によっては、自国民の教育水準の高さを強みと考えているところもあるはずです。国民の教育水準が上がれば、国の経済力も文化発信力も高まる、教育への公的支出は国家のためでもあると、そう理解している国もあると言えます。一方で極東の島国では、教育は贅沢品と信じられてはいないでしょうか? 教育への公的支出を国家財政上の重荷と考えたがる人が多い、そんな文化圏もあるわけです。

 歴史を紐解いていけば、かつては安価な労働力を武器に他国を出し抜き富国強兵を果たした国もありました。とかく人件費抑制を至上命題とし、発展途上国の労働力を収奪するばかりか、国内においても好待遇を求める高等教育修了者が増えることを快く思わない、むしろ教育を否定したがる我が国の財界人は総じて植民地時代のスキームへと退行していると言えます。それで世界における日本の経済的な地位が向上しているのなら間違ってはいないのかも知れませんが、GDPもまた公的支出割合のランキングに着々と近づいているのが現実なのです。日本で支配的な、企業に金を蓄えさせるだけの路線からは180°の転換が求められます。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

目次

2016-09-25 00:00:00 | 目次


なんだかもう、このカテゴリ分けが全く無意味になりつつあります……

社会       最終更新  2016/ 9/25

雇用・経済    最終更新  2016/ 9/11

政治       最終更新  2016/ 9/18

非国民通信社社説 最終更新  2013/12/ 7

文芸欄      最終更新  2016/ 9/ 4

編集雑記・小ネタ 最終更新  2016/ 5/ 2

リンク集

Rebellionのブックマーク

Rebellion (rebellion0000) は Twitter を利用しています

 

↑暇ならクリックしてやってください


 このサイトはリンクフリーです。 

 コメントに関する注意書きはこちらをお読み下さい。

 このサイトは一方通行の閉鎖的なブログなのでトラックバックは一時保留で承認待ちという形式を取っていますが、トラックバックの送信は歓迎しております。

 ただし、この「目次」へのTBは当方の管理の都合上ではありますが、ご遠慮ください(この目次エントリは編成のために消すこともありますので)。間違って目次にTBを送ってしまわれた方は、お手数ですが関連エントリの方に再度お願いします。

***目次(このページ)へのTB送信が増えています、間違って送った人は間違いは気にしなくて良いので、関連エントリに再度TBを送り直してください)***

 申し訳ありませんが、トラックバックを送信してもpingが通らずこちらに届かないケースが少なからず発生する模様です。ご容赦ください。

 

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

建物地下の水、ベンゼンやシアン化合物は検出されず

2016-09-18 22:03:32 | 政治

建物地下の水、微量のヒ素と六価クロム検出 豊洲市場(朝日新聞)

 豊洲市場(東京都江東区)の建物の地下にたまっていた水について、都は17日、水質調査結果を発表した。環境基準を下回る微量のヒ素と六価クロムが検出されたが、ベンゼンやシアン化合物などは検出されなかった。13日に主な3棟の地下で採った水を検査したという。専門家会議座長の平田健正(たてまさ)氏は会見で「(検出された数値は)全然問題ない」と話し、ヒ素が検出されたことから「地下水の影響が出ている可能性がある」と指摘した。

 結果によると、ヒ素は環境基準(1リットルあたり0・01ミリグラム)に対し最大で0・003ミリグラム、六価クロムは基準(1リットルあたり0・05ミリグラム)に対し0・005ミリグラムがそれぞれ検出された。

 

 報道の内容に偽りはないのでしょうけれど、見出しには読者をミスリードしようという意図が満ちあふれているようにも見えます。結局のところ調査によって証明されたのは「問題ない」ということなのですが、一方で掲げられた見出しは「ヒ素と六価クロム検出」と来る以上、短絡的な人あるいは非中立の読者の多くは「そら見ろ、やはり大問題だったじゃないか」という思いを抱くのではないでしょうか。それはまぁ、質の悪いメディアに踊らされているだけではあります。

 ある種の人々が期待していたであろうベンゼンなどは検出限界値以下とのことで、「代わりに」ヒ素や六価クロムが検出されたことが伝えられているわけです。しかし、検出量は「最大でも」環境基準値を大きく下回るものでした。5年あまり前からの放射能フィーバーでも分かるとおり、どんなに微量でも危険だと騒ぎ立てる人は絶えませんけれど、築地で頻繁に利用されている海水にだって微量のヒ素は含まれています。もっとも、その筋の人にとって「天然由来なら」安全みたいですが。

 ヒ素を多く含む食品としてはヒジキが有名で、国によっては「食用に適さない」としているところもあることは、よく知られているでしょうか。東京都福祉保健局の発表によればヒジキは乾燥状態で110mg/kg、水戻ししても16mg/kg、ヒジキ戻すために使った水には5mg/kg程度のヒ素が平均して含まれるそうです。豊洲市場の地下にヒジキの戻し水でもまいておけば、環境基準を大きく上回る危険な値が得られたかも知れませんね。とりあえずヒジキを食べても平気なら、豊洲の地下水なんて屁でもありません。

 現代の日本には、豚のレバーを生で食べるなど狂気の風習もあります。日本人は果たして本当に食の安全にうるさいのかどうか、単にヒステリックなだけじゃないのかと首をかしげる事例は枚挙にいとまがありません。現行の築地市場だって酷く不衛生と外国の市場関係者からは指摘されることもあるそうで、その辺は移転せずとも解決できる問題ではあるにせよ、何を危険視して、何を気にしないかという面において日本人の「食の安全」に対する意識は、必ずしも現実的なものではないように感じます。

 そもそも今回の問題で私が思うのは、「盛り土には何の意味があったのか」という辺りです。結局、「危険だ」と騒ぎ立てる人は完璧に盛り土をしたところでやはり「危険だ」と訴え続けることでしょうし、逆に地下に空間があってもそこから有害物質が検出されたりはしていないわけです。危険を煽る人々への懐柔策のために行われたのが盛り土であり、そこに結構な額の税金が投入されたとあらば、むしろ別の何かが批判されるべきではないかという気がしますね。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

金本の貢献も大きかったと思います

2016-09-11 23:35:12 | 雇用・経済

広島カープ優勝の経済効果は331億円、巨人や阪神には及ばず(スポーツ報知)

 関大は7日、宮本勝浩教授(71)が、プロ野球・広島がリーグ優勝を達成した際の経済効果を計算した結果、地元の広島県で約331億4916万円になったと発表した。

 「カープ女子」や、満員続きのマツダスタジアムの集客力、地元金融機関の「優勝預金」などが、経済効果の大きな要因と分析。

 過去の巨人や阪神には及ばないものの、それ以外の球団の優勝と比較して、今年の広島の優勝は非常に大きな効果だという。

 

 さて○○が優勝した場合の経済効果云々というガバガバ指標が出てくるのは珍しいことでも何でもありませんが、これを報道するのが読売一派のスポーツ報知とあってか「過去の巨人や阪神には及ばない」と、他球団のファンの反感を買うであろう一文が付け加えられています。まぁ、無粋ではあるかも知れませんけれど、それもまた事実でしょう。脳天気に特定球団優勝時の経済効果の数字を並べるだけより、比較対象を提示した方が報道としては良質です。

 なお中国電力のシンクタンクによる2015年の発表では、広島優勝時の経済効果は256億円とのことでした。それが実際に優勝した今年は331億円ですから、結構な上振れと言えます。しかし読売の優勝なら600億、阪神の優勝なら400~700億と言われていますので、やはり経済効果の面で及ばないのは、確かに間違ったことではないのでしょう。とりあえずヤクルトや中日が優勝した場合よりは高いようですが……

 そもそも選手やファンにとって経済効果なんてどうでもいい話ではあります。ただスポーツ紙でもない一般向けのメディアが「経済効果」と銘打って報道するのであれば、このスポーツ報知のように多少なりとも比較対象を持ち出した方が良いのではないかと思います。広島優勝の経済効果が331億あるいは334億に上るとしても、その裏では阪神が優勝出来なかった場合、もしくは読売が優勝できなかった場合の逸失利益もあるわけです。「経済」を語るなら、それも考慮しなければいけません。

参考、税制優遇で雇用を「移動」させたという話

 たとえば法人税減税に正の経済効果があるかのように語る人もいます。この辺は財界人やエコノミスト、コンサルタントに政治家が大真面目に主張する一方で、実際のところは○○優勝時の経済効果と同じと言えます。特定の国や地域が低い法人税率を設定し、租税回避に勤しむ企業を誘致したところで、その地域に税収や雇用がもたらされることがあったとしても、逆に他の国では税収及び雇用が流出しているだけだったりするのですから。

 単純にスポーツの話であれば「○○が優勝したので経済効果○○円!」でも済むのですが、スポーツに止まらない経済の話となると、当然ながら事情は異なります。優遇措置で雇用なり税収なりを生み出しているかのように喧伝していても、その実は富を移動させただけ、失われたものを無視してプラス分を数えているだけみたいなケースは数多あることでしょう。そうした愚かな主張は、しかるべく否定され退けられねばなりません。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

Kindle微妙にlimited

2016-09-04 22:29:16 | 文芸欄

アマゾン読み放題、人気本消える 利用者多すぎが原因?(朝日新聞)

 今月3日にスタートした通販大手アマゾンジャパンの電子書籍読み放題サービスで、人気のある漫画や写真集などがラインアップから外れ始めた。サービス開始に合わせて多くの書籍をそろえようとしたアマゾンが、出版社に配分する利用料を年内に限って上乗せして支払う契約を締結。しかし想定以上の利用が続いて負担に耐えきれなくなり、利用が多い人気本をラインアップから外し始めたとみられる。

 同サービス「Kindle(キンドル) Unlimited(アンリミテッド)」は、洋書約120万冊のほか、国内の数百の出版社と契約を結び、小説やビジネス書、雑誌、漫画など和書計約12万冊が月980円(税込み)で読み放題になるとしてスタート。電子書籍のダウンロード数に応じて出版社に利用料の一部を配分するとした。

 複数の出版社によると、アマゾンは一部の出版社を対象に、年内に限って規定の配分に上乗せして利用料を支払う契約を結び、書籍の提供を促したという。

 ところが、サービス開始から1週間ほどで漫画やグラビア系の写真集など人気の高い本が読み放題サービスのラインアップから外れ始め、アマゾン側から「想定以上のダウンロードがあり、出版社に支払う予算が不足した」「このままではビジネスの継続が困難」などの説明があったとしている。アマゾン側は会員数を公表していない。

 

 そういえばどこかで、大学で受講できるコマ数に制限を設けようなんて提言がありました。大学側が言い出したのだか財務省に求められて文科省が言い出したのだか記憶が定かではありませんが、自分のように卒業に必要なコマ数を大きく超えて受講する学生が増えたら大学経営なんて成り立たなくなっちゃうんだろうなぁと、当時は思ったものです。どれだけ受講しても学費は同じなら、最低限の受講に抑えてくれる学生の方が、無闇に勉強する学生よりもずっと優良顧客なんですよね。

 ……で、こちらに引用しました記事によりますとアマゾンの読み放題サービスが、想定を超える利用のために早くも躓きを見せているとか。普通の小売りなら利用者が増えれば増えるほど儲かっても良さそうですが、これは定額制のサービスですから単に利用者が多いだけではなく一人当りの利用量も多かったものと推測されます。卒業に必要なギリギリのコマ数しか受講しない学生みたいな利用者ばっかりであったなら、アマゾンの思惑通りだったのかも知れませんが、意外や日本人は読者家だったようです。

 かくいう私も、先月は正規に買えば3万円分くらい、このサービスで読みました。アマゾンも出版社側の取り分を圧縮して自社の利益を捻出しようと頑張っているはずですが、私との間に限ればどう足掻いてもアマゾンの大赤字と推測されます。このままレパートリーが十分に拡充されないどころか逆に縮小されてしまうようであれば事情も違ってくるかも知れませんけれど、少なくとも私にとっては「お得な」サービスなので当面は継続しようと思っています。せっかくですからアマゾンが嫌いな人も、このサービスは積極的に利用してはいかがでしょう。使えば使うほど、アマゾンの持ち出しが増えますから!

 「あんなに混雑しているのに高速道路の利用料金は高すぎる」みたいな意見は筋違いだ、という話を何かの本で読みました。高いのではなく、安すぎるのだ、と。料金が安すぎるから利用者が増えて混雑するのであって、文字通り高速で通行できるくらいに利用者が減るまで料金が引き上げられて初めて釣り合いが取れるもの、にもかかわらず値上げされない、ゆえに利用者が減らない、その結果として混雑が続いているわけで、そこに「料金が高い!」と文句を言うのは非合理だ、みたいな話でした。ではアマゾンの読み放題サービスの場合はどうなのでしょうね。

 引用ばかりが長くなっても仕方がないので省きますが、元記事の後半部によりますと出版社側からも不満が続出しているのだとか(提供している書籍を引き上げるそうで、その辺はラインナップを減らそうとするアマゾンと結果的に歩調が合っているような)。まぁアマゾンと出版社との取り分の多寡はさておき、アマゾンの想定を超えた利用があればそれだけ出版社側にも利益はありそうな話、どうにも不満の声ばかりをピックアップしているだけで、新サービスに乗じて販路拡大に成功した著者/出版社の声は無視されているような気もします。ただ書籍は他の商品と違って再販制度の中で保護されてきた、製造元と小売り事業者との争いに不慣れな業界ですから、対応できるところと対応できないところとで命運は分かれそうです。

 上述の再販制度を巡っても昔から賛否両論があるものでして、この辺は両論併記的になりますが再販制度にも良い面もあれば悪い面もあるわけです。それが電子化によって、行政ではなく民間企業の主導でなし崩しになりつつあるのが現状と言えるでしょうか。個人的には、電子書籍ほど薄利多売が似つかわしいものはないと思わないでもありません(出版部数は減っても出版点数は増える時代なら尚更)。牛丼が半額になったからと言って牛丼を二杯食べたりはしませんが、置き場所にも困らない電子書籍なら話は別ですから。特にアマゾンの想定を覆す要因になった「漫画やグラビア系の写真集」のように「サッと読める本」なんかは、価格を維持するよりも薄利多売に舵を切った方が儲かる出版社は多いでしょう。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

議員を目指しませんか?と誘われても、自分なら断ります

2016-08-28 22:52:06 | 政治

地方議員年金、復活の動き 自民本部検討「人材確保に」(朝日新聞)

 いったん廃止された地方議員の年金制度が「復活」に向けて動き出している。自民党本部に地方議員の年金を検討するプロジェクトチーム(PT)が発足。全国都道府県議会議長会が7月、地方議員が年金に加入できるよう法整備を求める決議をした。一方、大阪府議会では22日、自民党府議団が「白紙撤回を求めるべきだ」と反対する方針を打ち出した。

 地方議員の年金制度は、議員の掛け金と自治体の負担金によって運営されてきた。だが、市町村の「平成の大合併」に伴う急激な議員数の減少で年金財政が悪化。民主党政権下の2011年6月に廃止された。

 しかし、昨年発足した自民党本部のPTは、地方議員の年金の新制度の検討を開始。年金制度の「復活」には法整備が必要で、全国都道府県議会議長会は決議で、地方議員のなり手不足が大きな問題になっているなどとして、「年金制度を時代にふさわしいものとすることが、人材確保につながっていく」と法整備を求めた。

 

 野党の体たらくに比べればマシなのかも知れませんが、自民党も人材不足が深刻と見えるところ、その辺を自覚してかはさておき地方議員の年金制度を復活させようという動きがあるようです。確かに今時の議員と言ったら「家業を継いだだけ」の世襲議員か働く必要のない資産家の生まれか、そうでなければ良くも悪くも「奇特な人」ばっかりみたいな印象もあります。自分の人生設計を真面目に考える実直な、良くも悪くも「普通の人」を議会に呼び込むためには、年金制度の復活は多少なりとも有用なのかも知れません。

 とかく厚遇であるかのように言われがちな政治家稼業ですが、しかし待遇目当てに議員になった人って、実際どれだけいるのでしょうね。その辺は調査しようとしたところで正直に答える人もいないとは思われます。ならば、自分に置き換えて考えてみるのはどうでしょうか。市議会議員、県議会議員の地位は今の仕事を辞めてでも就く価値があるのか、落選のリスクその他を鑑みれば損なのか得なのか――あるいはもしあなたが家族を養う立場にいるなら、家族に「仕事を辞めて選挙に出ようと思うんだ」と相談してみたらいかがでしょう。もし賛成が得られるなら、議員とは「おいしい仕事」なのだと言えますが。

 実際のところ、現役の議員が執着しているのは金銭とは別の何かであるような気もします。「身を切る改革」などと称するふざけた政党もあるわけですが、それは要するに議員にとって金銭的な部分などは「切り捨てても惜しくはない」ものだから、ではないでしょうか。これ見よがしに切り捨ててみせるものこそ、実は当の議員にとってはダメージの小さい部分であって、彼らが本当にしがみついている対象は、もっと別にあるように思えるのです。

 その辺は別の機会に譲るとして、まず実情として日本では議員を兼業することが難しい、マトモな収入の得られる仕事と議員活動の両立は、それこそ企業側の全面的な協力でもないと不可能なわけです。要するに、現実的ではない、議員になるなら議員報酬だけで食べていく、議員報酬だけで家族を養っていく、議員報酬だけで己の人生の将来設計を立てる覚悟が必要になるのです。そのような状況で、どれだけの真人間が議員になりたがるのかどうか? ならば日本の労働慣習を改めていくのも良い手ですが、それはあまりにも遠い道のりでもあります。当座の実現しうる改善案としては、議員向けの年金制度の復活ともなるのでしょう。

コメント (1)
この記事をはてなブックマークに追加

同一賃金でも不公平なのだが

2016-08-21 21:27:41 | 雇用・経済

非正規賃金、正社員の8割に=働き方改革、月内にも始動-政府(時事通信)

 安倍政権が最重要課題と位置付ける「働き方改革」の柱の一つ「同一労働同一賃金」の実現に向け、政府は非正規労働者の賃金を正社員の8割程度に引き上げる方向で検討作業に入る。9月に予定する「働き方改革実現会議」発足に向け、具体策づくりを担う「実現推進室(仮称)」を8月中にも内閣官房に設置し、準備を加速させる。

 実現会議は安倍晋三首相が議長を務め、加藤勝信担当相や塩崎恭久厚生労働相ら関係閣僚と労使の代表、有識者で構成。(1)同一労働同一賃金の実現(2)長時間労働の是正(3)高齢者の就労促進(4)障害者やがん患者が働きやすい環境の整備-を主なテーマに、来年3月までに行動計画を取りまとめ、関連法案を国会に提出する段取りを描く。

 

 「働き方改革」の柱の一つが「同一労働同一賃金」とのことですが、その具体案として「非正規労働者の賃金を正社員の8割程度に引き上げる方向」なのだそうです。なんだかいきなり「同一ではない」目標が大まじめに設けられつつあるようで、まさに出オチと言ったところでしょうか。非正規社員と正社員とで労働内容が同一ではないとの前提もあるのかも知れませんけれど、最初から看板倒れの印象を受ける人も多いであろうことは想像に難くないですね。

 安倍政権が掲げたインフレ目標は、ご存じのように達成されていません。実際の到達点は往々にして目標よりも低いものになりがちなのだから、2%を狙うならば5%くらいの目標を掲げておかなければ駄目だろう等々と、先見性のある人は語っていたものです。非正規労働者の賃金目標も然り、目標値が8割では、実際に到達できるのは正社員の6割が良いところでしょう。8割を目指すなら、看板は10割にしておかないと期待すら出来ません。

 現実問題として非正規社員の賃金水準は低い、月給レベルではまだしも賞与などを含めると差は広がる、昇給機会や雇用の継続なども鑑みて生涯賃金を考慮すれば歴然たる差が出てしまうわけです。そこから「非正規労働者の賃金を正社員の8割程度」に持って行くことができるのなら「現状に比べれば」改善とは言えるのかも知れません。しかし8割では目標を達成したところで同一労働同一賃金の達成には遠いのも現実です。「当座の是正措置として8割」の目標はアリとしても、「終着点として8割」では話にならないと言えます。

 そもそも、「同一労働同一賃金」で良いのでしょうか。概ね雇用の継続が期待できる正社員と、いつ失職するか分からない非正規社員の場合、労働内容が同一でも抱えているリスクは異なります。公平性の観点からは、失職のリスクを負わせている分だけ非正規社員には正社員よりも高い賃金が支払われなければなりません。ところが、ハイリスクな働き方ほどローリターンというのが現実だったりするわけです。我が国の労働市場における競争は、常に不公平なのです。

 もし既にそういう先行研究があれば教えて欲しいのですが、まずは「リスクに応じて許容される賃金差」を意識調査してみる必要があるのではないか、と思います。正規/非正規格差の問題ならば、「非正規(有期)雇用に伴う失職リスクは、どれだけの割増賃金が支払われるならば許容できるか」、あるいは正社員間でも「転勤のあり/なしで、どこまでの賃金格差が許容できるか」、「時間外残業のあり/なしで、どこまでの賃金格差が許容できるか」「本人の意思に反した異動のあり/なしで、どこまでの賃金格差が許容できるか」等々。

 僻地や海外に飛ばされるかも知れない、深夜や休日でも会社に拘束されるかも知れない、全くの畑違いの仕事を強いられるかも知れない、そうしたリスクを負わされている社員が、そうでない社員よりも高い賃金を得ることには概ね社会の理解が得られることと思います。ただし、当然のことながら無制限ではありません。果たして「どこまで」が妥当なラインなのか、細かな項目毎に広範な調査が行われるべき――そして時代の変遷に合わせて継続的に更新されるべき――と考えます。そうすることで「僻地に飛ばされるリスクは少ないけれど、いつ契約を打ち切られるか分からない」ような雇用形態の妥当な賃金も分かろうというものですから。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日本の社会人としてのマナーや常識は、自衛隊から教わることが望まれているようです

2016-08-14 23:00:15 | 社会

ユニーク新人研修続々 自衛隊入隊やしょうゆ造り…(神戸新聞)

 社会人としてのマナーや一般常識を教える新人研修に近年、ユニークな指導方法を取り入れる企業が増えている。規律やチームワークの大切さを身に付けることを目的に、異業種での研修や自衛隊への体験入隊を活用する企業も。一方、そうした研修を行う背景には、かつてのような厳しい社内指導は「パワハラと捉えられかねない」との事情もあるようだ。

 印刷業の大和美術印刷(兵庫県姫路市網干区新在家)の新入社員7人は、社内研修でトマト味や黒ごま味など6種のオリジナルしょうゆを造った。8月から販促物として営業先に配っている。

(中略)

 自衛隊の体験入隊を活用する企業も目立つ。陸上自衛隊姫路駐屯地(姫路市峰南町)でも数年前から増え始め、今年は播磨地域の27社を受け入れた。参加者は2泊3日の日程で、敬礼や行進、登山などに取り組む。

 姫路市内の製造会社は長年社内研修を続けてきたが、「時代が変わり、パワハラと非難されるケースも出てくるかもしれない」と、数年前から体験入隊を取り入れている。同社の関係者は「厳しい訓練で負けん気を培ってもらいたい」と期待していた。

 

 記事では「近年」と書かれていますけれど、「近年」が指し示す具体的な範囲は果たしてどれくらいの幅があるのでしょうね。少なくとも、この2~3年の傾向ではない、むしろ長年に渡って継続中の傾向なのではないか、という気がします。もちろん研修と言ったらOJT(仕事は先輩社員から教わってください)一本槍の企業も多いわけで、それに比べれば会社として研修の機会を設けているところはマシな部分もあるのかも知れません。しかし、一口に研修と言ってもムダであるどころか有害なものも多いのではないでしょうか。

 ここで挙げられている例では、印刷会社が新人に醤油を造らせたのだそうです。醤油造りが印刷業にどう関係するのか理解できませんが、きっと研修を「受けさせた」側はご満悦なのでしょう。コミュニケーション能力溢れる新人社員たるもの、会社の偉い人に「全くのムダでした」などと直言することは考えにくいだけに、「仲間意識も強くなった」云々と曖昧な効用を並べて馬鹿げた研修を肯定して終わらせているケースが多いのではないかと推測されます。

 総じて日本の会社が企画する「研修」は、専ら業務に関わりのないことばかりだったりするのではないでしょうか。研修と称して本来業務とは無関係な精神論や都市伝説、似非科学を教え込まれている人は多いような気がします。まぁ不合理なことでも会社の命じることならば無条件に肯定できる、そうした人間を選別し育てていきたいというのが本当の思惑であるならば、目的に適ったところはあるのかも知れません。会社の決めた研修に疑問を持つのか、それとも賛同するのか、少なくとも踏み絵の目的なら果たせていますから。

 そして大人気の自衛隊研修です。なんでも「時代が変わり、パワハラと非難されるケースも出てくるかもしれない」と自社研修から自衛隊への体験入隊に切り替えた会社もあるようですが、社員を自衛隊の訓練に参加させるのはパワハラではない、と考えられていることが分かります。確かに日本社会において自衛隊とは神聖にして不可侵の絶対正義です。自衛隊に対して否定的(と解釈される)言動があれば囂々たるバッシングの嵐が待っています。たとえ実態はパワハラでも、自衛隊のやることならば感謝されこそすれ非難はされないだろうとの算段が成り立つのでしょう。

 自衛隊研修の参加者は、2泊3日の日程で敬礼や行進、登山などに取り組むとのこと。これがどう業務に役立つのか、やはり私には理解できません。しかしまぁ敬礼はともかく、行進や登山となると小中学校を思い出しますね。私の幼少期を振り返れば高校受験を前に進学塾に通って初めて勉強を教わったと言いますか、小中学校では専ら整列と行進の練習に明け暮れていた記憶がありますが、他の皆様はいかがでしょうか。いずれにせよ、会社の定めた教育として提示されるのが「敬礼や行進、登山」というのは日本の会社ひいては日本社会が求めるものを端的に表していますね。

 もう一つ自分の経験から話せば、自分は就職活動で大学の成績を問われたことは一度もありません。今なお「学歴フィルター」の存在が至る所で指摘される日本社会である反面、問われているのは「どこの大学を出たか」であって「大学で何を学んだか」ではないことが分かろうというものです。それどころか高校や大学で学んできたはずのことを否定して、自衛隊などで「再教育」したがっているのが我々の社会なのだとすら言えます。求められているのは教養ではなく、軍隊的な性質の方なのです。いわゆる軍靴の足音ってのは、むしろ政府なんかよりも会社の方から聞こえてくるものなのでしょう。

コメント (5)
この記事をはてなブックマークに追加

消費税増税の結果

2016-08-08 22:30:30 | 社会

国税滞納残高、1兆円を下回る 29年ぶり(朝日新聞)

 国税庁は3日、2015年度の所得税や法人税、消費税などの滞納残高が前年度から8・2%減少し、9774億円だったと発表した。17年連続の減少で、1986年度以来、29年ぶりに1兆円を下回った。税の滞納は国の税収に影響するため、同庁は滞納額を減らす取り組みを進めており、「コールセンターなどで滞納の未然防止に力を入れた結果」としている。

 一方、消費税の新規の滞納額は4396億円で33・4%増えた。14年4月から消費税の税率が8%に上がったことで、一部の事業者が払えなくなったことが要因とみられる。

 

 さて国税の滞納残高は概ね減少傾向にあって、ようやく1兆円を下回ったことが伝えられているわけです。まぁ現代は国内レベルの脱税よりもタックスヘイブンを活用した脱法節税の方が主流になりつつありますから、ちょっとやそっとの滞納額の減少に安堵してはいられないのかも知れません。取るべき税金を取れていないケースは、必ずしも減っていないのではないでしょうかね。

 なお2015年の新規滞納額は以下の通りです。

所得税 1,552億
法人税  634億
相続税  269億
消費税 4,396億

 全体として滞納は減少傾向にある中で、消費税に限っては33.4%もの大幅な増加に転じていることが伝えられています。おそらく阪神は関係ないと思いますが、これだけ滞納が多ければ徴収・督促のためのコストも嵩んでいるはず、消費税増税を強硬に主張してきたはずの朝日新聞には事実を伝えるだけではなく、何らかの釈明の一つも求めたいところです。

 消費税の滞納増の要因として「消費税の税率が8%に上がったことで、一部の事業者が払えなくなったこと」が挙げられています。建前として消費税は消費者が負担することになっていますが、実際は違うことも伺われるでしょうか。要するに税込み108円の商品ならば消費者が消費税として8円を負担しているように見えますが、税込み100円の商品に課せられる消費税は誰が負担しているのかどうか、その辺がきわめて曖昧なまま施行されている、実際問題として「支払えない事業者」が頻出しているのが消費税なのです。

 結局のところ、「消費税を価格に転嫁できる強い事業者」であれば消費税を負担するのは消費者になりますが、「価格に転嫁できない立場の弱い事業者」の場合は往々にして消費税を「売る側」が負担していると言えます。だからこそ、税率が上がると耐えられない(税を滞納する)事業者も増えるわけです。税には透明性や公平性が求められますが、「誰が負担しているか曖昧」かつ「往々にして弱い側に負担が押しつけられがち」な消費税がとんでもない欠陥税制であることは繰り返すまでもないでしょう。

 どのみち消費税に関して納税の手続きを取るのは売る側の事業者になるのですが、どちらが負担するにせよ滞納される額が際立って多いのが消費税であるわけです。消費者(買う側)が負担するという仮定の下でさえ逆進性が指摘されており、かつ実際の負担者は「立場の弱い方」になりやすいという面で消費税には二重の逆進性があります。そして8%への税率引き上げはリーマンショック級の後退をもたらすなど、消費税には極大の景気引き下げ効果がある上に、他の税制に比して際立って滞納が多いことも伝えられているとおりです。財政再建の面ですら消費税には二重の欠陥がある、まさに救いようのない代物であることは言うまでもありません。

コメント (1)
この記事をはてなブックマークに追加

無党派層の選択

2016-08-03 23:31:41 | 政治

自民支持5割、小池氏に=推薦の増田氏上回る-都知事選出口調査【都知事選】(時事通信)

 31日投開票の東京都知事選で時事通信が実施した出口調査によると、自民党支持層の投票先として最も多かったのは小池百合子氏の52%で、同党の推薦候補だった増田寛也氏の40%を上回った。小池氏は、全体の半数近くを占めた「支持政党なし」の無党派層からも50%を獲得し、他の候補を引き離した。

 公明党支持層のうち63%が同党推薦の増田氏に投じたが、31%は小池氏に流れた。鳥越俊太郎氏を推薦した民進党の支持層では、56%が鳥越氏に投票したが、30%は小池氏に一票を託した。増田、鳥越両氏は組織を固めきれず、政党推薦なしで臨んだ小池氏が票を奪う形となった。無党派層でも、増田氏は23%、鳥越氏は19%の得票にとどまった。

 

 さて東京都知事選も終わったわけですが、結果はと言えば小池氏の圧勝でした。実際のところ、どの程度まで予想された未来であったのか興味深くもあります。小池百合子ではなく増田寛也を推薦した自民党、鳥越俊太郎を推薦した民進党、それぞれどこまで勝算があっての人選だったのでしょうね。自民、民進、共産そして無党派層諸々、それぞれ思惑はあったはずですが――

 まず自民党を見ますと、党(が擁立する候補)の勝利を優先するのであれば小池百合子に便乗するのが簡単であったはずです。そうではなく、小池よりずっと中道寄りの増田寛也を立てたのは党執行部の良心とも言えますし、選挙で全く太刀打ちできなかったのは党の内部統制の問題とも言えます。結局のところ自民党のトップは野党が訴えるほどには強権的ではない、小池よりは「右よりでない」候補を優先する程度のバランス感覚も備えている一方で、党内の異論を封じ込めるほどの統制力を有しているわけでもない、ぐらいが実態でしょうか。

 一方で民進党ですが、どこまで本気で鳥越俊太郎が対抗馬たり得ると思ったのかどうか疑わしくもあります。前回選挙で民主党は知名度抜群の候補者と小泉純一郎の協力もありながら、共産党が推した宇都宮健児の後塵を拝するなど苦杯をなめる結果でした。その後は共産党への攻勢を強めているわけですが、ことによると今回選挙でも共産党色の強い宇都宮が前面に出てくるのを阻止するのが最優先であったのかな、という気もします。候補は誰でもいい、勝てなくてもいい、ただ共産党候補が与党への批判票を持って行く事態だけは避けたい、その辺りが本音ではないでしょうか。民進(民主)党が本当に対立してきたのは共産党であって、大多数の自治体では自民党は連立のパートナーなのですから。

 そして非・自民党支持層の投票傾向を見ると、いずれも小池百合子>増田寛也となっています。安倍自民党が擁立した候補よりも明らかに右寄りの候補を、無党派層も民進党支持層も共産党支持層は好んだわけです。選挙結果を受けて安倍首相は「今回示された民意をかみしめ」云々と語ったそうですが、示された民意は「もっと右に、もっと保守的に」と言うことなのかも知れません。

 あるいは、民進党支持層にとっても共産党支持層にとっても、最優先なのは「安倍自民党にNO」であって、「右傾化にNO」ではなかったのだとも考えられます。小池百合子を支持できるのあれば、あくまで野党支持層が反発しているのは自民党の看板であって、自民党の政治的傾向に反対しているのではないのだ、と言うほかありません。小池百合子の政治的な立ち位置は、非自民党支持層にも受け入れられているわけです。結局のところ自民党に一線を踏み越えさせるものがあるとしたら、安倍晋三ではなく外にあるのかな、という気がしてきますね。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加