非国民通信

ノーモア・コイズミ

選挙は続くよ

2016-07-17 22:23:01 | 政治

 さて参院選が終わったと思いきや次は東京都知事選が告示され、今月も選挙絡みの報道は多そうですが、結果はどうなるでしょうか。なかなか候補者を正式に立ててこなかった民進党も、毎度のことながら共産党候補が与党系への対抗馬になってしまうことだけは避けたいのか、今回もまた最後の最後で鳥越俊太郎氏を担ぎ上げてきました。党の性格によく合致したキワモノといった感じですが、これを受けて宇都宮健児氏は立候補を取り下げることに、共産党はあくまで社民党化を目指すようです。

 一方で与党系の候補者としては党が擁立する増田寛也氏と立候補を強行した小池百合子氏が並び立つ形となり、「保守分裂」などと書き立てられることもあるわけです。ただ前回の選挙でも、自民党の本来の候補は舛添であったにも関わらず、安倍晋三の取り巻きの中には公然と田母神を応援する人も出るなど、与党どころか首相に近しい人の間でも「分裂」していたことは、覚えている人も多いのではないでしょうか。前回の田母神枠が小池百合子だと考えれば、与党筋に関しては前回選挙時点と構図はあまり変わらないとも言えます。

 さて野党側は前回選挙で舛添に次ぐ票を獲得していた宇都宮健児が辞退してしまったわけです。民進党の軍門に降るという共産党の方針が大きく影響しているものと思われますが、結果はどうなるのやら。ネット世論を見ると、前回選挙でレイシスト層は専ら舛添を攻撃し、民主党支持者は宇都宮を誹謗していたものですが、今回選挙においてレイシストの攻撃の矛先は舛添的ポジションであろう増田ではなく、細川ポジションの鳥越の方に向かっているように見えます。まぁ、真の多数派である無党派層がどこに入れるのかには、あまり影響がないのかも知れませんけれど。

 順番が逆になりましたが、参院選の結果はどう見るべきでしょう。改選の対象となった2010年を基準に増減を見るのか、それとも前回選挙である2013年を基準に判断するのかで、印象が変わるところも多いような気がしますね。たとえば共産党で言いますと、民主党に大敗を喫した2010年選挙に比べれば今回選挙は健闘したと見えなくもない反面、勢力を盛り返した2013年に比べれば後退と目されるべきです。他の党も概ね「考え方次第」みたいなところがあって、都合の良い尺度で「しかるべく成果を出した」と党首が自己弁護に走るのか、それとも「望み通りの結果を得られなかった」と自省するのかで、トップの資質がうかがわれるように思います。

 

参院選、「野党に魅力なかった」71% 朝日世論調査(朝日新聞)

 参院選の結果を受けて、朝日新聞社は11、12日、全国世論調査(電話)を実施した。自民、公明の与党の議席が改選121議席の過半数を大きく上回った理由を尋ねると、「安倍首相の政策が評価されたから」は15%で、「野党に魅力がなかったから」が71%に及んだ。

 

 なお世論調査によると、上記引用の通り「安倍首相の政策が評価されたから」ではなく、「野党に魅力がなかったから」と考えている人が圧倒的に多いことが分かります。確かに野党筋の主張は「アベ政権否定が第一」みたいなところがあって、安倍内閣時代の肯定的な変化も否定的な部分も盲目的にダメ出しするばかり、日本の戦後政治70年の中で今ほど野党側の主張に説得力が乏しい時代はなかったのではないかな、と私などは感じるわけです。与党、と言いますか自民党の政治家もダメになった部分はありそうですが、それ以上に急激なペースで非自民党の政治家が劣化しているのではないでしょうかね。有権者に伝わったのは、彼らがとにかく安倍晋三を嫌っているということばかりで(それでも民進党にとっては地方議会で連立与党を組むパートナーのはずですが)、それ以外の主張はあまりにも希薄だったのではないかと。

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目次

2016-07-17 00:00:00 | 目次


なんだかもう、このカテゴリ分けが全く無意味になりつつあります……

社会       最終更新  2016/ 6/19

雇用・経済    最終更新  2016/ 7/10

政治       最終更新  2016/ 7/17

非国民通信社社説 最終更新  2013/12/ 7

文芸欄      最終更新  2016/ 4/17

編集雑記・小ネタ 最終更新  2016/ 5/ 2

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「人並み」とは

2016-07-10 21:21:34 | 雇用・経済

「仕事は人並みで十分」の新入社員、過去最高に(読売新聞)

 新入社員を対象にした公益財団法人「日本生産性本部」などのアンケート調査で、そう回答した人が58・3%と過去最高だったことがわかった。「人並み以上に働きたい」という回答(34・2%)との差は調査が始まった1969年度以来最大だった。同本部は「就職活動が『売り手市場』のなか、比較的容易に就職でき、競争心が高まっていない面がある」としている。

 就職率が低迷した時期には、「人並み以上」の回答が高くなる傾向にあったが、就職率が好転した近年の状況を反映した形となった。

 また、会社で目標とするポストの設問では、「社長」が10・8%と過去最低になった一方で、部長や課長などの中間管理職が計36%と10年前より13ポイント増えており、相次ぐ企業不祥事を背景に、重い責任を負うトップを回避する傾向もみられた。

 

 さて本日のネタはこちら、曰く「過去最高」との触れ込みですが、なんだか毎年似たような報道を見ている気がしてしまうのはどうしてでしょうね。とりあえず「仕事は人並みで十分」と回答した人が過去最高で、「人並み以上に働きたい」という回答との差もまた調査開始以来最大なのだそうです。この辺の数値は就職率に左右されるようで、不況であれば「人並み以上」の回答が高くなる傾向があり、「人並みで十分」の回答が増えたのは就職率の好転を反映したものだとか。

 まぁ、経済的な豊かさと精神的な豊かさは比例すると言いますか、経済的に貧しければ「人並み以上」に働かないと生活が立ちゆかなくなる人だって増えるわけです。逆に経済的に豊かな社会であれば「人並み」に働けば「十分」な対価が得られると言えます。現代において経済の衰退以上に人間の自由を束縛するものはないのでしょう。景気が低迷して就職難の時代ともなれば、生きていくためには好むと好まざると「人並み以上」の働きを競わされる、それを強いられるようになってしまうのですから。

 なお会社で目標とするポストについては「社長」が10・8%と過去最低、部長や課長などの中間管理職は計36%で10年前より13ポイント増えたのだそうです。報道では「重い責任を負うトップを回避する傾向」と伝えられていますけれど、現実はどうなのでしょう。会社が傾けば末端の非正規は解雇という最も重い責を負わされますが、個人事業主に毛が生えた程度の零細の社長ならいざ知らず大企業の経営者ともなれば、会社を潰しかけてもヨソの会社に好待遇で迎え入れられたりするものです。日頃を振り返っても、より辛い立場に置かれがちなのは中間管理職の方ですよね?

 それはさておき、「人並み」とは具体的にどういう水準なのでしょうか。「人並みで十分」との回答にノータリンは「競争心が高まっていない」と論評していますけれど、今時の新入社員が考える「人並み」とは実際のところ、どれぐらいのレベルなのでしょう? たとえば婚活女子が口にする「人並みの年収」とは、最頻値や中央値どころか算術平均を大きく上回る、一握りのエリート層だけに到達可能な年収であったりするわけです。一口に「人並み」と言っても実は相当に「高望み」をしていることもあると言えます。

 現に新卒で正社員として就職できる人だって今や当たり前ではない、部長はおろか課長になれるのだって当たり前であるどころか少数派になっているのが現実です。「人並みで十分」と回答した新入社員が思い描いている「人並み」とは、少なくとも日本で働いている人の平均を下回るようなものでは決してないような気がします。せいぜいが「光の当たる部分」だけを基準にした「人並み」であり、それを実現できるのが日本で働く人の過半を形成することは決してない――それぐらいの高い水準なのではないでしょうかね。

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地方の声は聞かない方向で

2016-07-04 21:53:17 | 政治

合区の4県、「容認」は2割 朝日・参院選世論調査(朝日新聞)

 朝日新聞社は22、23の両日、参院選の情勢調査とあわせて世論調査(電話)を実施した。「一票の格差」を小さくするため、隣り合う選挙区を統合する「合区」の対象となった鳥取、島根、徳島、高知の4県では「選挙区は都道府県単位がよい」が7割前後にのぼり、「二つの県を一つにした選挙区があってもよい」は2割前後にとどまった。4県では合区への反対が根強いことが浮き彫りになった。

 

 ……とまぁ、先月末になりますが、こういう世論調査結果も出ていました。一票の格差を是正するという建前で議席を削られた地方では「容認」する声が2割に止まるとか。裏返せば、8割近くは反対と言うことですね。それほどの反対がありながらも、民意は無視されて合区が強行されてしまったわけです。結局、一票の価値が重くなる=有権者数が減少している=すなわち「弱い地域」は切り捨ての対象なのでしょう。

 翻って東京はというと、実際に影響を受ける合区の4件とは裏腹に6割近い賛成が得られています。一票の格差是正とは、公平性に名を借りた都市部のエゴに見えてくるところです。東京一極集中の時代、政治家も東京都民の声を重視しがちなのかも知れませんが、何とも寂しい結果ではないでしょうか。なんだか公平性を口実に、富める人と貧しい人の税率を同じにしてしまったような感じでもありますね(まぁ、実際に消費税などはそういうものですが)。

 これもまた憲法の定める一票の価値の平等のためには当然のことなのだと言い張る人も多いですが、それこそまさに現行憲法の欠陥であり、その辺は改正が必要なのではないかと私には思われるところだったりします。地方の「国会に代表を送り込む権利」が削減されるのを防げないどころか正当化してしまう、そんな憲法は悪法でしかありません。私は憲法を改正すべきだと主張します。

 

 各県で年代別にみると、高知の30代は「合区容認」が比較的多く、「県単位」と5割近くで拮抗(きっこう)した。鳥取、島根でも30代は「合区容認」が多めで、3割以上を占めた。

 

 一方で30代――と伝えられていますが恐らくは「相対的に若い世代」――は全体に比して容認傾向が強いことも伝えられています。その辺も時代の流れなのか、年代によって政治に対する感覚も異なっているようです。私なんかは地方(というより自分の住む自治体)の政局も絡めて国政を考えがちですが(だからこそ地元議会では自民党と連立与党を構成しながら国政では「自民党の対抗馬です」と平然と偽る民進党の卑劣さが許せない)、若い人は地方とは切り離して天下国家を考えるものなのかも知れません。

 総じて自分の住む地域の問題よりも、新聞やテレビそしてインターネットを通じて目にする「全国区の話題」の方が若い世代には「近しい」ものと感じられるのではないでしょうか。選出される政治家もまた「若手」ほど、地域性に乏しいと言いますか、選挙区との「しがらみ」を持たず、自身の地元の話題よりも天下国家を語る方を好んでいるように見えます。そうした若い感性にとって、地方の議席が削られていくのは些細な問題であり、関心を持たれるべきは日本全体のことと思えてしまうのでしょう。

 建前として国会議員は地方の代表ではなく、字義通りに「国政」を語るために選出された人々なのかも知れません。しかし、そうした人々がもたらしたものはどうでしょうか? 己の選挙区との「しがらみ」を持ち、地方に利益を引っ張ってくる政治家が普通に存在した時代にも問題は多くありましたけれど、では地方の利害など顧みず天下国家ばかりを語る政治家が圧倒的主流派になった現代は、過去に比べて希望の持てるものになったのかどうか。少なくとも私には、今の時代はバランスが悪い、もう少し「地方の代弁者」が許容されても良いのではないかと感じられます。

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唯一神に一票を

2016-07-01 22:22:31 | 政治

 来る参院選で「民主」と書いて投票すると自由民主党にカウントされるべきか社会民主党に数えられるべきか、それとも民主&維新の党として扱うべきかと選管が頭を抱えているそうです。ならば東京選挙区で「唯一神」とか「イエス」とか書いて投票した場合は、果たして適切な候補者の票として認められるのでしょうか。まぁ私は都民ではないとで残念ながら悩んでも仕方がありません。

 さて、自分の住む選挙区でも投票したい政党(の候補者)がいないだけに、ちょっと真面目に泡沫候補の主張を読んでみたりもしたのですが――色々と批判はあれども当選している人は"立候補者の中では"「選良」なんだなと思いました。ともすると厚遇であるように思われがちな国会議員ですが、結局なりたがるのは議員が「家業」になっている人を別にすれば後は「奇特な」人ばっかりのようです。チラシの裏に主義主張を書き連ねるのは簡単ですが、衆目の監視や悪罵に晒される生活を敢えて選ぶのは、やっぱりマトモな神経の人では難しいのでしょう。

 せめて同日選挙にできれば膨大な選挙費用が節約できたのにと惜しまれる東京都知事選挙の方はと言えば、当初は民進党が蓮舫を擁立しようとするなど石原に猪瀬に舛添の後が蓮舫では「都知事選とは傲慢さを競うコンテストなのか」と思ったりもしました。その後は民進党だけではなく自民党も、党が出したい候補者からは賛同が得られず難航している模様です。そうこうしている内に党が意図せぬところから立候補宣言が出たりして、それは当人の積極性よりも党のガバナンスの緩さを感じさせるところでもありますね。

 一方で無所属では在特会の高田誠氏が立候補の意思を表明していると聞きます。この高田氏、専ら通名の「桜井」の方で知られており出馬にもそっちの名前を使うものと予想されますが、選挙での本命であろう自民党が最初に出馬を打診した(そして色よい返事をもらえないでいる)のも別の桜井氏と言うことで、もし自民党から桜井氏が出馬すれば、これまた選管を大いに悩ませることになるのかも知れません。とりあえず誤解が生じないように、在特会の方の候補者を支持する人は通名ではなく本名の「高田誠」と書いて投票したら良いと思います。

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もう2週間後です。

2016-06-26 21:10:17 | 政治

 いつのまにやら参院選の候補が告示され既に期日前投票を済ませた人がいたり、なんだか時間の流れの速さを感じるところですが結果はどうなるでしょうか。世論調査によると18~19歳は他の年代より自民党支持傾向が強いようで、「我こそは若者の味方」と装いたがる人々の中でも明暗は分かれそうな気がします。そして各地の首長選や地方議会では自民党と民主&維新とで統一与党が結成されているのとは裏腹に、国政選挙では共産党が社民党化の道を選択しました。「野党統一候補!」と息巻く層もあるようですけれど、望んだ結果は得られるのやら。まぁ野党統一候補という虚構とは裏腹に自民党側からの「民共」批判を見ると、意外や対立陣営からは脅威に見られているのかも知れません。

 とりあえず私としては、やはり経済を重視したいところ、経済情勢が悪化すれば自殺者だって増えますし福祉を必要とする人だって増える、「金持ちけんかせず」とは反対の方向に突き進む人だって増えるわけです。とかくブルジョワは政治的、思想的な自由ばかりを重視しますが、経済的な要因による自由・不自由というのは考えられている以上に深刻なものがありまして、貧しいが故に人生に選択肢がない、嫌なことも拒んでいられない人々もいる、そうした存在は決して忘れられてはならないでしょう。人間の尊厳を重んじる上でも、経済以上に大切なことはありません。

 そして政党/政治家と経済を考える上では、消費税増税の失敗に向き合っているかが一つの尺度になると思います。消費税増税の失敗を認めて路線を改めようとする姿勢があるかどうか、それは政治家が現実と向き合えるかを問うポイントです。反対に、消費税増税「以外の何か」に景気低迷の責任を負わせようとしている政党/政治家は現実よりも政局重視なのだと言わざるを得ません。人によっては特定の政党の勝利こそが何より重要のようですが、どの政党が政権を握ろうと景気が上向くことが重要と考えるのなら、消費税増税が景気回復局面を破壊したことを認めている政権から投票先を選ぶべき、と言えます。

 外の世界に目を向けると、イギリスが国民投票でEU離脱の道を選びました。明らかに離脱が自国の利になるであろうギリシャではなくイギリスが離脱の先陣を切ったのは意外でしたが、まぁEUに属するようでいてユーロには未加盟、シェンゲン協定にも未加盟で元から距離を置いていたのがイギリスと思えば、それもアリなのかも知れません。ともあれイギリスの国民投票結果を受けて為替相場は大荒れ、円高が急激に進む結果ともなりました。それを受けて、民進党の岡田代表の主張が以下の通りですが――

 

岡田代表「アベノミクスのうたげは終わった」(毎日新聞)

 欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う英国の国民投票で離脱派が勝利したことについて、民進党の岡田克也代表は24日の記者会見で「世界経済に及ぼす影響や、EUの統一がどうなるか大変深刻な問題だ」と懸念を示した。日本経済への影響には「けん引車だった円安・株高が逆回転し、離脱の問題がさらに拍車をかける。アベノミクスのうたげは終わった」と述べた。

 

 いかがなものでしょう? 故・民主党政権時代は実態からかけ離れたすさまじいばかりの円高を頑なに放置してきたわけです。1ドルが80円を切るなど、あり得ないレベルの円高に何の対策も取られてこなかったのは記憶に新しいところでしょう。そして岡田代表曰く「けん引車だった円安・株高が逆回転し」とのことですが、円高(&株価低迷)を見守るばかりであった民主党の残党と、金融政策をタブー視せず円高是正に動いた実績のある現与党とでは、期待できるものも大きく異なるように思います。確かに「円安・株高が逆回転」とは危険な兆候なのですけれど、異常な円高は過去に例がなかったわけではありません。そしてどのように対処してきたかは、与党にも野党第一党にも近年の実績があるのです。

 アメリカ大統領選では進歩的なサンダースと競う中で保守派のヒラリーも幾分か政策を良い方向に改めてきたように思います。対立候補の支持層を取り込むべく敢えて対立候補の主張を受け入れる、という選択も起こりえるわけです。日本でも昭和の時代には、自民党が社会党の提言に歩み寄ることがありました。負けた候補が一定の影響力を行使することだってあるのです。翻って現代日本の野党は、与党に良い影響を与えることができているのでしょうか? 野党支持層を取り込むべく自民党が民主党なり維新の党なりの政策や主張に接近したら、それは政権が変わらずとも日本の政治を良い方向に変えうるのか――そう思えるかどうかは皆様の判断にお任せします。

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人の方が安いなら

2016-06-19 23:21:47 | 社会

抱きかかえ、排泄、見守り…介護ロボット導入施設に「報酬加算」 政府が平成30年度改定で 「労働環境改善や人手不足の緩和も」期待(産経新聞)

 政府は10日、介護ロボットを導入することで介護職員の負担軽減やサービスの質向上を実現する介護施設に対し、介護報酬を加算する方針を明らかにした。ロボット市場拡大や職員不足対策につなげる狙い。介護現場にロボットを導入して得られる改善効果などをデータ化する実証実験を8月から開始。結果を基に具体的な加算割合などを算出し、平成30年度の介護報酬改定に盛り込む考えだ。

(中略)

 現状、介護ロボットは1台数百万~数千万円と高額なことなどを理由に施設への導入は進んでいない。 経産省は今後、ロボットの価格が下がり、介護報酬の加算などの政策でロボットの施設への導入が進めば、「単純労働をロボットが、複雑な仕事を人間が行う分業化が始まる」と分析。その結果、「労働環境の改善や人手不足の緩和も図られる」と期待する。

 

 よく「今ある仕事は機械に取って代わられる、将来的には必要なくなる」みたいなことを言う人がいます。「今時の若者は~」みたいな言説は紀元前の石碑にすら刻まれているそうですが、「今ある仕事は~」系の歴史はどんなものでしょうね。実際のところ産業革命時代にも「機械に雇用機会を奪われる」と考える人が存在したことは見て取れるわけですけれど、数百年の時を経てもなお人類は労働から解放されてはいません。

 さて報道によれば政府は介護ロボット導入を後押しするようで、実効性はさておき方向性としては歓迎されるべきでしょうか。合理性を嫌う我が国ではOA化や機械化にも一定の反発があったりするものですが、実際に現場で仕事に追われている人からすれば、仕事を楽にしてくれそうな装置の導入は喜ばしいことではないか、と思います。今でも育児を筆頭に、手間暇のかかる選択肢の方が是とされがちなところもありますけれど、介護施設の入居者にまで、そんな歪んだ愛情を求める人はいないですし。

 なお記事では「今後、ロボットの価格が下がり」云々とのこと、この想定はいかがでしょう? 世の中には、時代が進むに連れて価格が下がっていく製品もあれば、価格が下がらないどころか上昇していくものもあります。思惑通りに介護用ロボットの価格は下がるのか、どうにも鬼が笑うレベルの話に感じないでもありません。まぁ太陽光パネルよろしく中国辺りが日本製を駆逐する安価な商品を造るようになる未来ならばありそうですが。

 ともあれ現在は、ロボットが高いから導入が進んでいないわけです。裏を返せば「人間の方が機械より安い」わけです。こういうケース、他の産業でも決して珍しくはないのではないでしょうか。人間が機械に取って代わられるどころか、「人間の方が安いから」機械でもできる仕事を人間にやらせていることだって多々あるはずです。世界経済の孤児として賃金水準も低空飛行を続けてきた日本であれば、「機械よりも人」への逆流だってあり得ます。人が安く雇える日本なのだから、わざわざ高価なロボットは必要ない――効率化ではなく人件費の抑制を追求していく国では、そういう判断だって成り立つのです。人件費が高い国なら少ない人でも仕事を回せるように機械化を進めなければなりませんが、日本はそこに該当するのかどうか――

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今日も東京は平和です

2016-06-12 23:05:15 | 政治

 さて舛添都知事の政治資金問題で色々と紛糾したりもしているようですが、影響はどんなものでしょうね。目の前の嵐さえやり過ごせば、いずれは他に報道の主役になれるような扇情的なネタが見つかって忘れらされそうな気もしないでもありません。なにせあの石原や猪瀬の時代でも普通に栄えていたのが東京都です。都知事なんかとは無関係に東京には日本の富が集まっていくものであって、都議会がカネの問題にうつつを抜かしていても都民の生活や都内の事業者の営業活動は何事もなく続いていくものなのかも知れません。

 どれほど政治家が私腹を肥やそうとも、誤った政策を実行に移す政治家に比べれば可愛いものです。どれほどカネに汚い欲にまみれた政治家が現れようとも、小泉純一郎や菅直人のような類いほどには有害ではない、と思います。政策的な誤り以上に国民に被害を与えるものはありません。政治資金の私的流用によって有権者が被る痛みなんて純粋に感情的なもの、妬みや上っ面の正義感をくすぐられる程度のものです。しかし、ひとたび権力者が謝った判断を下せば、どれほど多くの国民が路頭に迷うことでしょう?

 しかしながら、政策的な過ちには結果がどれほど悲惨なものであってさえ一定の擁護者が付くもので、時には過去に起こった事実をねじ曲げてさえ正当化、美化する人がいるわけです。それに比べるとカネの問題(ついでに女性問題)は一種の国民的合意が形成されていると言いますか、全会一致でダメなこととして扱われており、それをかばう人はいません。不適切な金銭の取り扱いこそが政治家にとっての致命傷になっていると言えます。どれほどの失政を重ねることよりも、カネの問題の方が政治家の地位を揺らがせるものなのですね。

 まぁ今回の舛添と同程度の――法的な違反として罪に問われることはないが国民を納得させる説明はできない――政治資金問題としては小沢一郎のケースが思い出されるところでしょうか。小沢は不思議と狂信的な支持者がネット上と夕刊紙に存在していたりもしたもので、その辺が無理筋を厭わぬ陰謀論で小沢擁護を繰り返していたりもしましたけれど、それに比べると舛添は良くも悪くも狂信の対象とはなっていない、と言えそうです。その辺が「他の候補よりマシ」と選挙で有権者から判断された理由にも感じられるところですが、仮に辞任の可能性が出てくるならば「もうちょっとマシ」な候補は見つかるでしょうか?

 自民党が問題のある主張を繰り出せば、今度は負けじと民主(民進)党が輪をかけて酷いことを言い出すのが近年の日本の政治ですけれど、石原の後の猪瀬みたいな事態になってしまうくらいなら、舛添が地位にしがみつくのもアリなんじゃないかと思える昨今です。そもそも公私混同の類は非難されがちですが、むしろ公私の区別を付けないのが日本の文化なんじゃないかという気もします。「私」の領域に仕事を割り込ませ、アットホームな職場では私的な人間関係の構築を強いられるのが日本の企業文化です。仕事は仕事、プライベートは無関係とビジネスライクな振る舞いを許容してこなかったのが日本社会であるだけに、まぁ舛添の振る舞いも一種の社会の縮図なり病理の反映みたいなものなのかも知れません。仕事とプライベートの境が曖昧なのは都知事だけではないですから。

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未来へのツケ

2016-06-05 22:06:02 | 雇用・経済

厚生年金逃れ、国の想定以上 建設業・ごみ収集員も(朝日新聞)

 従業員に資格があるのに事業所が厚生年金に入れていない「加入逃れ」が政府の想定以上に広がっている。厚生労働省は未加入者を約200万人と推計して事業所の調査に乗り出したが、対象に含まれない建設作業員やごみ収集員の一部も未加入なことが朝日新聞の調べでわかった。

 従業員5人以上の個人事業所は厚生年金に加入する義務がある。だが、建設業者の中には雇っている作業員を「一人親方」として仕事を外注している実態が判明。厚生年金の保険料負担を避ける狙いで、こうした作業員は保険料が全額自己負担の国民年金に入る。一人親方は2015年度で全国に約60万人おり、加入逃れのため装われたケースも少なくないとみられる。

 東京23区の日雇いのごみ収集員(2千~3千人)のほとんども厚生年金に未加入だ。同じ業者に1カ月以上続けて雇われれば厚生年金の加入条件を満たすが、委託業者の一部は違法に加入を避けている。

 

生活保護、高齢者世帯が初めて5割超える 厚労省発表(朝日新聞)

 生活保護を受給した世帯のうち、65歳以上の高齢者世帯の割合が50・8%となり、初めて半数を超えた。厚生労働省が1日に発表した3月分の速報値でわかった。高齢化を上回る勢いで増えており、公的年金が老後の暮らしの支えになっていない実態が改めて浮き彫りになった。

(中略)

 公的年金は老後の支出すべてを賄えるように設計されておらず、年金頼みの老後を送る人にとっては十分な額ではない。14年に厚労省が実施した調査では、高齢者世帯に属する生活保護受給者の約47%は公的年金を受け取っており、その平均受給額は約4万6600円。ただ、高齢者の夫婦でともに無職の世帯は月平均で約27万5700円(15年家計調査)の支出がある。

 

 2本ほど続けてニュースを引用しましたが、いかがでしょうか。この国の未来を占う上では大いに判断材料になると思います。そして未来を変えるか変えないかは、間接的ではあれ有権者にも問われるところですね。日本の会社の不法行為は目に余ると言いますか、事業者と消費者は守っても労働者は守らない日本の緩すぎる規制の結果が将来へのツケになるであろうことは繰り返すまでもありません。虚偽記載に溢れた求人はハローワークに公認され、偽装雇用は横行するばかり、それでも企業が罰せられることなど万に一つ以下の確率でしかない、まさに日本は雇用者天国といった風情ですが、その結果として今に至るわけです。

 かつて我が国は日本国籍を持たない――1945年までは有無を言わさず帝国臣民としてカウントしていたはずですが――日本の永住者を年金加入から排除してきました。その結果として、高齢者の中でも日本国籍を持たない人々の生活保護受給率は幾分か高い物になっていたりします。高齢になれば自分で稼ぐのは誰だって難しくなるわけで、そうであるにもかかわらず公的年金の対象から除外などしていては、当然のこととして年金とは別の社会保障に頼らざるを得なくなるに決まっているのです。50年以上前から、わかりきっていたことです。

 何事も目先のコストカットは将来の負担に繋がります。賃下げと人員削減で一時的に利益を上げているように見せかけている企業が、その後は着実に沈んでいくのと同じように、こうした年金の加入逃れは将来的な「年金以外の」社会保障負担を増やすだけ、社会全体で見れば将来に借金を残す行為になっていると言えます。改革と称して諸々のコストカットを進めて賞賛される政治家や企業経営者は数多いますけれど、長いスパンで見れば20年後、30年後により重い負担がのしかかってくる、そんなケースは枚挙にいとまがありません。

 とかく日本のメディアや経済筋の論者は「将来に借金を残すな」と言って目先の財務状況の改善を急務と説くものです。しかるに実際のところは全くの筋違いと言いますか、目先の出費を惜しんで将来への投資を減らしインフラを破壊してしまうと、それこそ次の世代が苦しめられることになるものなのではないでしょうか。目先のコストカットを進めれば将来の世代は育たず、未来の収穫を減らして結果的に収支を悪化させてしまうだけ、借金を増やす要因を追加してしまうだけです。「将来に借金を残すな」と声高に説く人が実行を迫っているのは、種籾を食べることだと言えます。

 ドイツその他の債権者や投資家を救ったEUの緊縮財政はギリシャを壊滅させ、世界経済にブレーキをかけることにもなりました。緊縮財政はある種の人々に精神的満足感をもたらすものではあるかも知れませんが、その爪痕は将来の禍根となるものでもあります。逆に財政出動のように普遍的な景気刺激策は、種籾を植えるものです。目先の出費は増えるかも知れませんけれど、将来の収支を改善するための投資を惜しんではいけないでしょう。年金行政も然り、企業の負担を緩和することばかり考えていれば、それは必然的に将来的な社会の破綻を招くものです。そこはしかるべく企業に負担させなければ、当の企業ですら生きられない荒廃した社会ができあがってしまいます。

 ……後はまぁ、ことによると民間企業以上に「公」の世界が悪い意味で先を行っている部分もあるわけです。日本経済が伸び悩む主因としては個人消費の低迷が広く指摘されるところで、その原因としては賃金水準の下落、非正規雇用への急速なシフトが挙げられます。そして非正規雇用へのシフトを他に先駆けて強行してきたのが公務員の世界であるはずです。「公」の世界で行われていることなのですから、それに続いた民間企業が非難されるいわれはないのかも知れません。冒頭の報道で例示されている「東京23区の日雇いのごみ収集員」も然り、脱法行為を続ける事業者に平然と業務委託を続けているのは公的機関なのです。不法な年金の加入逃れも、役所のお墨付きなら仕方がありませんね!

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ヨソのバイトもこれくらいやるべきだと思う

2016-05-29 22:39:34 | 雇用・経済

帝国ホテル、従業員の「芸能人がいた」ツイートを謝罪(ITmedia)

 帝国ホテルは5月20日、芸能人が来館したとする業務委託先企業の従業員のTwitter投稿を「不適切な書き込み」として謝罪した。「指導・管理体制を一層徹底し、再発防止に努める」という。

 16日夜から17日にかけて「帝国ホテルで働いているんだけど」と従業員であることを明かした上で、ある芸能人を目撃したとツイートしていた。同ホテルの入館証と思われる写真なども投稿していたが、現在はアカウントが削除されている。

 同ホテルは「業務委託先企業の従業員が、SNS上にお客様に関する情報を発信するという事態が発生いたしました」と説明。内容についても「ある方が帝国ホテル東京に来館された事実はございません」と否定した。指導・管理体制を徹底し、再発防止に努めるとしている。

 

 ……とまぁ、こんなニュースも先日はありまして、来館して「いない」ことを公表するのも管理として問題があるんじゃないのかなどと帝国ホテル側の対応に疑問を投げかける人もいたりしたわけです。そして問題の書き込みを行ったのは「業務委託先企業の従業員」とのこと、なんでも帝国ホテルのアルバイト募集は普通に求人サイトに出ているようで、フロント業務であれば時給1000円程度だそうです。時給1000円のアルバイトで守秘義務も糞もないよな、と思います。

 過去にはベネッセの顧客情報を非正規社員が持ち出していたなんて事件もありました。かくいう私自身も勤務先の顧客情報は持ち出せたりします(買い手は探していませんが)。今や非正規社員に中核業務を任せていたり、容易に顧客情報へアクセスできるような立場に置いている会社も多いのでしょう。安っぽいビジネスホテルだけではなく帝国ホテルのような宿泊料の高いホテルでも、それは例外ではなさそうです。

 じゃぁ非正規雇用だから問題が起こるのかと言えば、その雇用形態がクローズアップされないだけで正規に雇用されている従業員が会社に重大な事件を起こすケースだって無数にあるわけです。外国人が犯罪を犯せば外国人であることが注目されますけれど、日本人が犯罪を犯しても日本人であることは注目されないのと同じですね。時給1000円にも満たないような非正規でも高給取りの正社員でも、会社の定めたルールを守ろうとする意識は、実のところ大差ないのではないかという気もします。

 ……で、大差ないからこそ問題なんじゃないのかと私などは思うわけです。ボロは着てても心は錦、非正規でも心はエグゼクティブ、そんな人の方が圧倒的多数派なのが実態ではないでしょうか。ほとんどの人は非正規でも正社員と同様に経営意識を持って会社に尽くしているのです。非正規だからと言って顧客情報をホイホイと外に漏らすような人は、それこそ人が犬を噛むような話で滅多にいない、非正規だからと仕事に手を抜く人はきわめて稀でしょう。そして、だからこそ問題なのです。

 以前にも書きましたけれど、日本の非正規労働者の待遇が悪いのは、非正規社員の能力が高すぎるから、です。非正規雇用なのに正社員と同様に働くのであれば、雇用側にとっては正規雇用を増やすメリットはありませんから。時給1000円のアルバイトでも正社員と同様に真剣に会社へ尽くすのであれば、安いアルバイトの方を増やすのが経営判断としては当然の正解です。もし日本人の大半が「給料の分しか働かない」のであれば、会社側としては「より高いレベルで働かせるためには待遇を上げるしかない」ことになりますが、そうはなっていませんよね?

 現実問題として非正規社員が優秀すぎるからこそ、非正規雇用率の増大に歯止めがかからない、帝国ホテルのような海外からの来訪者への「顔」と呼べるような高級ホテルですら非正規職場になっているわけです。一部上場企業の中核的な情報を非正規社員が管理していたりするのも然り、ですね。それもこれも、わざわざ高い給与を出して正規に人を雇用しなくても真面目に働く人材が手に入る、そういう社会だからこそ非正規雇用ばかりが増えるのだと言えます。逆に今回のように、間接雇用の非正規社員が問題を起こすような事態が続けば、日本の経営者も少しは考えを改めるでしょうか。非正規ではダメだ、間接雇用ではダメだ、しかるべき待遇の正社員ではないと信用できない――そう日本の偉い人が考えるようになってくれればイイと思います。

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