拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

倫理の人

2022-11-07 12:21:46 | 日記

セーターの肘のほつれは、見方によっては憲法25条が保障する「人間としての最低限度の生活」を営んでいない証左のようだが、別の見方によればアートであり、ファッションである。

ファッションと言えば、ミニ・スカートを世に広めたのはマリー・クワントというイギリス人。60年代、イギリスは、ビートルズとミニスカートで世界の若者文化をリードしたという。そうか。ビートルズのライブ映像を見ると、観客席で絶叫して失神する女性の多くがミニスカートをはいてるが、前からあったんではなくてビートルズと同様、当時の流行の最先端だったのだな。

そのマリー・クワントの伝記映画がかかっているそうだが、最近、映画はもっぱら動画配信サービスで見ている。その中に、宇宙戦艦ヤマトの実写版があった。へーえ。作られたのは2010年か。知らんかった。で、古代進役がキムタク。キムタクと言えば、どっかのイベントで信長に扮するんで、人がたくさん来すぎて事故が起きるのが心配だとテレビのニュースが事前にさんざんにあおったから、余計にたくさん人が来たそうだが、幸い事故は起こらなかった。だが、映画内では事件が起きた。キムタクということで安っぽいラブシーンになるのではないかと恐れていた通り。あろうことか、宇宙戦艦内で黒木メイサが演じる森雪とキス。さらに抱き合って崩れ落ちた。まるで「ヴァルキューレ」の第1幕の幕切れである。ジークムントとジークリンデはジークリンデが夫と住んでいる家の中で行為に及んだのに対し(夫は妻が飲ませた眠り薬が効いて別室で熟睡中)、古代進と森雪は実戦中の戦艦内。場所は異なるが、いずれもけしからん行いであることに変わりはない(本日のワタクシは倫理の人である(日替わりである))。オペラの方はこの一回の交接でジークリンデのお腹の中にジークムントの子が宿るのだが(後のジークフリート)、映画も同じで、古代進亡き後のエピローグでは子供と戯れる森雪の姿が。ともに「一発的中」。この点はお見事。それに免じて今回は不問に付そうか……だが、ジークムントとジークリンデはたしかに一発的中だったが、古代進と森雪には新たな疑惑。この後も狭い戦艦内で人の目を盗んで逢瀬を重ねたのではないか、だから的中したのは数発の中の一発ではないか。だとすれば見事でもなんでもない。倫理の森に住むワタクシからすれば、情状酌量の余地はない。きびしく吟味をしたうえで、きっと極刑を申し渡すであろうぞっ(いつのまにか、大岡越前になっている)。

なお、吟味の前から極刑と決めつける大岡越前の行為は、近代刑法の理念にもとる蛮行である。それから、キムタクが芦田愛菜と共演しているCMは、私は好きである。因みに、芦田愛菜の血筋には、某業界を代表する大会社の社長・会長を歴任した大立て者がいらっしゃる(名字が同じである)。業界のロマンを語るその姿に惚れて、ほぼ全財産をぶちこんでその会社の株を買った私は10年以上にわたって巨額の含み損に苦しんだ。それが解消したのは……たった1年前のことだったんだなぁ。母が死んで、仕事を廃業して……この1年ちょっとは、まさに私にとって激動の時代であった。頭の中のネジが何本かゆるんでも当然である。