暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

「春は名のみ」の正午の茶事・・・(1)早春の花を探して

2017年02月13日 | お茶サロン&ご近所さんと茶会

 早春の散歩道・・・尾長鳥に逢いました(茂みに隠れています)


2月11日の第4回お茶サロン・「春は名のみ」の正午の茶事が迫ってきました。

お客さまはブログの募集を見て、勇気を出して応募してくださった6名の方々です。
頂いた自己紹介のメールを何度も読み返しながら、どのようにお迎えし、おもてなしをしようかしら?
あれこれ考えている時が亭主冥利に尽きる、心愉しき時間です。

その日は稽古が終わってから棚や茶道具を出して、点前の稽古をしてみました。
しゅんしゅんと沸く釜の湯音を聞きながら、どこかひっかかる箇所はないかしら?
客座へ座ってみて、床や点前座の様子を確かめたり・・・。
この道具組を変えるとしたら?
足し算をするとしたら?
引き算をするとしたら?
一番心配なのは花と花入でしょうか。


 四手辛夷(しでこぶし)・・・早春の花です (季節の花300)
                     
茶事2日前に早春の花を探しに出かけました。
散歩道の途中で「四手辛夷(しでこぶし)」の最初のほころびを見つけ、一枝頂きました。
お目当ては蕗の薹です。
枯草に隠れている小さな蕗の薹を見つけた時の嬉しさ!
まさに「春」の足音をしっかりと聴いた思いです。
シャベルで深く掘って根付きの蕗の薹を3個、八寸の天麩羅用に10個ほど蕾を採取しました。


  蕗の薹  (季節の花300)

茶事の前日、日本列島は大荒れ、西日本に大雪警報が出ていました。
今にも雪が降り出しそうな空を睨みながら、花探しと買い物へ車で出かけました。
先ずは散歩の時に目をつけていた「木五倍子(きぶし)の道」をめざします。
1週間前と変わらない、黒々とした花芽の木五倍子を見つけ、数本ゲットしました。
                     

 黒々と固い木五倍子(きぶし)の花芽


 木五倍子の花房・・・名脇役で大好きな花です (季節の花300)                    

矢指谷戸にあった「一里山湧水」が使えなくなったので、茶事や茶会の時には水を購入しています。
その日は「南アルプス天然水」6本入りの箱と白ワイン「甲州」を購入しました。

いよいよ花探しの仕上げです。
家の近くの公園で山茱萸の小枝を1本、ありがたく頂戴しました。
公園の端にあるその木は普段は全く目立たないのですが、3月になると黄色の花をいっぱい咲かせてくれます。
「まだ無理かしら?」と近づくと、小さな黄色の花芽がほころんでいました。
最後に庭のクリスマスローズ(雪起し)とピンクの乙女椿を1本ずつ切り取って、
蕗の薹、四手辛夷、木五倍子、山茱萸、クリスマスローズ、乙女椿・・・これにて採取終了です。




午後になると雪がちらつきだし、うっすらと積もってきました。
明日の天気予報は晴れだった・・・と自分に言い聞かせて、せっせと茶事支度に励みました。 


         「春は名のみ」の正午の茶事・・・(2)へ続く


奥の細道会の初稽古・・・節分 in 2017

2017年02月05日 | 暁庵の裏千家茶道教室

     浮田一恵筆「中古懸想文之画」 (山田雙竹模写)


2月3日は節分、奥の細道会の初稽古でした。

節分と言えば、京都では左京区・聖護院の近くに住んでいたので、一応、須賀神社の氏子でした。

江戸時代、京の風俗行事として懸想文売りが京の街々で懸想文(縁結びのお札)を売り歩いていました。
一説によると、貧乏なお公家さんの内職(アルバイト?)だったとかで、
烏帽子に水干姿で梅の木に文をつけ、覆面をして売り歩いたと言われています。


    須賀神社 縁結びお守り 「懸想文」

今でも聖護院近くの須賀神社では節分の日だけに懸想文売りが現れて、「懸想文」のお守りを売っています。
「懸想文」の名から恋文を連想しますが、縁談や商売繁盛など人々の欲望を叶えてくださる、有難いお札だそうです。
「懸想文」を鏡台の引き出しに入れておくと、顔や姿が美しくなり、
箪笥の引き出しに入れておくと、着物が増え、ともに良縁に恵まれるそうです・・・(ちと遅いかも?)。
       


さて、奥の細道会ですが、初稽古なので床の結び柳とお軸は正月飾りのままとし、水仙を生けてみました。
散歩途中の農家で購入したものですが、椿、梅、水仙などの花木が安価で売られていて大助かりしています。

その日はNさんがインフルエンザで急遽お休み、3名で奥伝に励みました。
最初に暁庵が真之炭手前をさせて頂きました。
香合は古染付写の辻堂香合、香は玄妙(山田松香木店)です。
羽根を浄める所作が身についておらず、清めるのを忘れがちで、大いに反省です。
もう一つ、後掃きの後に羽根は炉縁と炭斗の間に置くのですが、途中で思い出し、巻き戻ししました。
ここはポイントの一つと認識していたにもかかわらず・・・です。
頭ももちろんのこと身体がもっと自然に動くように・・・稽古しなくっちゃ!



稽古不足を痛感しながらも、奥伝の点前を茶友と研鑽できる奥の細道会の存在が有難く思います。
皆さまも全く同じ思いのようで、身体と頭を総動員して稽古に集中し、心地良い緊張感が漂いました。

Aさんの真之行台子、Kさんの大円真と進み、やり遂げてから遅い昼食になりました。
厄払いの一献をお出しし、豪華に(?)出前で、寿司、茶碗蒸し、吸物を頂きました。
主菓子は「此の花」、中が粒餡のピンク色のきんとん(暁庵製)、濃茶は金輪(小山園詰)でした。

毎月は開催できないかもしれませんが、今年も奥の細道をご一緒に歩んでいきたいものです。


     暁庵の裏千家茶道教室    前へ     次へ   トップへ