暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

2014年五事式に招かれて-1

2014年02月06日 | 思い出の茶事  京都編

横浜へ帰省していた折、嬉しくも五事式にお招き頂きました。

京都へ来る1年前に結成した「いちねん会」がそのまま存続して、
花月&七事式の稽古に精出していらっしゃいます。
1月26日はその「いちねん会」の五事式でした。

席はKさま宅の汲古庵
メンバーの皆さまの変わらぬ温かさが伝わってきて、
まさに古巣に帰った懐かしさ、居心地の良さでした。

かつて五事式に燃えて修練を積んだ茶友もいらっしゃるので
その時のことが走馬灯のように脳裏をかすめていきました。
亭主担当の時、半東担当のIさまと炉の灰を早くから温めて、
何とか埋み火を持たそうとしたことなど・・・昨日のことのようですが、
肝心の埋み火の首尾は?・・・すっかり忘れていました。
さて、今日の埋み火はどうかしら? (楽しみです・・)

              
              
                      待合にて

亭主はSさま、半東はKさま、
正客はAさま、次客は暁庵、三客はSさま、詰はIさまでした。

待合の色紙は、「駿馬嘶千里」(しゅんめ せんりをいななく)
三玄院・寛州和尚筆です。
香煎を頂戴して露地へ出ると、冬枯れの庭には霜柱が解けていました。
来庵時にはなかった緋毛氈の腰掛、円座、煙草盆が用意され、
Kさまご主人のご協力のおかげと、一同心の中で感謝です。

湯桶が用意された蹲踞で身を浄め、席入です。
広間の床に画賛が掛けられていました。
宝船画に「福自来」(ふく おのずからきたる)、
黄梅院・太玄和尚筆で、宝船の帆に寺印が押されている面白いお軸でした。
柳が清々と垂れ下がり、お正月らしい床飾りを楽しみました。

一人一人ご亭主と挨拶を交わし、廻り炭が始まりました。
初掃きで炉へ寄ると、色好く丹精された灰が調えられ、
下火がたくさん入っていて灰を十分温めているようです。

ご亭主が置いた炭を正客が上げ、正客から思い思いに炭を置いていきます。
私は数日前に鑑賞したクリーブランド美術館展(東京国立博物館)の曼荼羅図を
思い出しながら、炭を置いてみました。

            
                華やかな、炉縁の枝唐松の蒔絵

「炭にてお釜を」
正客の声が掛かり、ご亭主が埋み火を掘り出しました。
廻り炭がスムースだったので期待していたのですが、残念・・・。
埋み火から火を熾すのは難しい!ことを再度実感しました。

すぐに半東が下火を持ち出し、複雑な後半がさらさらと進みます。
炭が置かれ、お香が焚かれ、香合の拝見がかかりました。
香合は鶴、お香は黒方(鳩居堂)です。

            

この後は懐石なのですが、今日は珍しくお弁当です。
美味しい江戸前鮨とKさま手づくりの煮物椀に舌鼓を打ちました。
鮨のお値段を聞いて、あまりの安さにびっくり!。

柔らかく、しっとりした味噌餡の花びら餅(若柳製)を堪能し、
腰掛待合へ中立しました。
                                   

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2014年節分の日に-2

2014年02月05日 | 京暮らし 年中行事
節分(3日)の午後11時から火炉祭が行われるというので、
10時前に吉田神社へ出かけました。

正面の屋台村を避けて近衛坂を登って、先ず元宮へ詣でました。
元宮は全国津々浦々の神社の総元締めなので、
元宮にお詣りすれば、全国の神社へお詣りするのと同じだとか。

            

            

いつもは閉ざされている元宮ですが、この夜はお詣りの人が溢れ、
遅くまで賑やかです。
Kさんに頼まれていた福枡を買いました。
福枡は煙草盆、菓子器などいろいろ使えて、重宝しています。
昨年は売り切れだったのが、今年はまだたくさんあったような・・・。

            
                 吉田神社・福枡の煙草盆

京都の節分は吉田神社と言われているほど、
たくさんの老若男女が厄落としのお詣りをします。
それに屋台の数がものすごく、食べ物の匂いが複雑にからみあって、
参道を歩いているだけで満腹感を覚えるほどです。

            

火炉祭のための古い護符が高く積み上げられているのですが、
梯子をかけて、護符の包みを更にてっぺんへ運んでいます。
厄災から身を守るため、人々は神仏に祈りをささげ、
霊験あらたかな護符を受け、
節分の日に、感謝の祈りとともに、焚きあげられるのです。

10時45分頃から火炉祭の神事がはじまりました。
先ず、神職が護符の山に玉串を奉げ、お祓いをします。
次いで、火炉祭に集まった人たちもお祓いを受けました。

            
            ころがすような鈴の音が・・・

一人の巫女が鈴を鳴らしながら、護符の山をひと回りしました。
鈴の音がなんともいえず玲瓏で、清々しく辺りを祓います。

白い式服の神職が祝詞を奉げると、2本の松明に火が点けられ、
神職が護符の山の数ヶ所へ火をつけていきました。

            

         

火勢はすぐに強まり、バリバリという竹の音、轟轟という火風の音、
燃え上がる火の踊り、上昇する火の粉、熱風・・・これでもかと云わんばかりに
荒ぶる神は火の勢いをどんどん増していき、怖いくらいでした。

            

            

「周りに水を撒け!」
「火の粉に水を掛けろ!」
怒号のような声が飛び交い、消防士が放水し、火と水のせめぎ合い。
火の粉を消すために真上に上がった水が見物人に降りそそぎ、
今度は見物人から悲鳴が上がります。

               

・・・なんて気持ちの良い火炉祭なんでしょう!
熱風で顔や手足は熱く火照り、
体の中の悪魔や厄災まで火が焼き尽くしてくれるような、爽快感を味わいました。
節分にふさわしい火の祭典のリセットです。

            

あまりの熱さに耐えかねて、護符の山が半分ほどに低くなったのを見定め、
満足して帰路に着きました。
                              

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2014年節分の日に-1

2014年02月04日 | 京暮らし 年中行事
                    節分の壬生寺
今日は立春、
日足もだいぶ伸びて春の訪れが近いことを感じます。
京都を留守にしてまして、久しぶりの書き込みです・・・。

節分の日に1年ぶりの京都の節分名所めぐりをしました。
コースは、壬生寺~須賀神社~聖護院~(自宅)~吉田神社・火炉祭です。
火炉祭は古い護符をお焚き上げする神事で、夜11時の開始です。

            

            

先ずは壬生寺へお詣りし、壬生狂言「節分」を鑑賞しました。
45分間の無言劇の中に京の節分習俗が伝えられていて、
今では見られなくなった「厄払い」が登場するのも興味深いです。
唯一の音曲は、独特のリズム「カンデン、カンデンデン、カンデンデンデン」
の繰り返しで、銅鑼(かね)、太鼓、笛で奏でられます。

 あらすじは、
   節分の日、後家は升に豆をたくさん用意し、
   柊に鰯の頭を挿して門口に付けます。
   節分の用意が調ったところへ厄払いがやってきたので
   厄を払うまじないを頼みます。
   後家はお礼に厄払いに豆を包んだものをあげて一安心。

   次に蓑笠を付けた鬼がやってきます。
   後家は鬼を見てびっくりして逃げてしまいます。
   後家に気に入られたい鬼は、「打出の小槌」で着物をとり出して
   人間に変装し、後家を呼び出します。
   「打出の小槌」で着物を出して後家に与え、酒宴が始まりました。

   鬼が酔いつぶれたのを待って、後家が着物を脱がせていくと、
   その正体がわかり、思わず悲鳴をあげてしまいます。
   鬼はその声に目覚め、正体がばれ、着物も打出の小槌も
   とられたことに気づき、怒って後家につかみかかろうとしますが、
   後家は豆をまいて鬼を追い払って、メデタシ、メデタシ。

            

二回目ですが、「厄払い」のひょうきんなしぐさに注意を払ったり、
後家が鬼めがけて勢いよく豆をまくところに痛快さを感じたり、
鬼のいじらしさを感じた前回と印象が違うところが面白いですね。
まめ」は魔()を滅(っ)するという語呂合わせからだとか・・・。

焙烙に厄払いの願いを書き入れる人たちを横目で見ながら
近くの鶴屋さんへ。

        

                

ここは新撰組屯所遺跡で、旧壬生屯所であった八木家が現存しています。
新撰組・初代局長の芹沢鴨と愛人お梅、平山五郎の3人が暗殺された座敷、
刀傷の残る鴨居や柱を見学しました。
案内人のご婦人が語る新撰組の運命、芹沢鴨の粛清、旗「誠」のお話は
まこと熱演でございました
見学後、鶴屋の手あぶりが置かれた縁台でお薄と「屯所餅」を賞味しました。
壬生菜が入った「屯所餅」は粒あんの甘みが程よく、お勧めの一品です。

            
                  「屯所餅」で一服

「炮烙銅鑼」と「鶏卵素麺」を買って、次の須賀神社へ向かいました。

                                 
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