(良寛さんの五合庵とひそかに呼んでいた)
茶室「葎菴」(むぐらあん)
(写真は以前のものです)
急なことですが、たつの市・葎菴(むぐらあん)の茶事のお招きを受けて
2月9日、京都駅から西へ向かう新快速に乗りました。
昨日までの雪模様の天気がウソのように晴れ上がり、
神戸を過ぎると海が見え、陽光をあびてキラキラ輝いています。
姫路に近づくと、屋根や畑に雪がまだ残っていました。
竜野駅へ迎えに来てくださったKさんと合流し、葎菴へ向かいました。
菴主の池川みどりさんは揖保川焼の作家です。
5年ほど前、Kさんから葎菴の茶事の話を聞いた時から、
いつか伺えたら・・・と憧れていたのですが、
体調を崩されて陶芸も茶事も休業中とのことで、あきらめていました。
ところが体調が少し良くなったとのこと・・・まるで夢のようです!
待合で客4名が顔を合わせ、なぜか正客の指名が・・・。
次客はKさん、三客はSさん、詰はNさんで、
私以外は池川さんを中心に結成された「山賊茶会」のメンバーでした。
待合に掛けられた色紙が読みにくかったのですが、
幸田露伴の詩句で、「・・・・・・春の水 しょろり」
外腰掛に座って迎え付けを待っていると、
「みどりさんの本格的茶事は何年ぶりかしら?」とKさん。
外腰掛や蹲をつかって、葎菴へ席入するのは久しぶりのようで、
相客も嬉しそうでした。
まばらな庭木の向うに春を待つ冬枯れの畑が広がっています。
「ここに座って見る、この庭、この畑の景色が好き・・・」
と、つぶやくKさん。
一同頷き、何とも言えない幸せを感じながら眺めました。
ご亭主が迎い付けに出られ、無言の挨拶を交わしました。
蹲踞は、香狭間の水穴があり、水が青竹の筧から流れています。
実は前から気になっていた自然石の蹲踞でして、
今日初めて使うことができた喜びを伝えると、
「気に入って頂けて嬉しいです。
残念石と呼ばれていて、築城の時に播磨から大阪城へ
運ばれたのですが、使われずに戻ってきた1つです」とご亭主。
蹲踞・・・以前に気に入ってパチリ。
席入すると、一間半の床がある四畳半でした。
「天下泰平群仙遊楽」
大きなお軸は、陶芸家・池川みどりが生み出す作品のように生命力がみなぎり、
ご亭主がそこにいらっしゃる・・・と思いました。
そして、群雄割拠する三国志の時代、生死を賭けて戦いながらも
風流を遊び楽しむ英雄たちを思い描きました。
圧倒されるような須田剋太の書です。
広間に掛けられた「茶道」、
こちらも須田剋太書です。
葎菴でご挨拶を交わしてから広間(洋間)へ移動し、懐石となりました。
「素」を心掛けている私にとって、全て参考になる手料理の懐石でした。
特に九十歳を越した母上さまとの共作「里芋の煮っころがし」が絶品で、
帰ってから奮闘中ですが、あのようには出来ません・・・。
たつの市・葎菴の茶事-2へつづく