暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

睦月の茶事へ招かれて-1

2014年02月09日 | 思い出の茶事  京都編
                  雪 (茶事の写真がないので・・)

初かぜの茶事へお招きしたYさまから丁重なメールを頂きました。
昨年11月のことです。

   私ごときが、亭主を務めるというのもおこがましいのですが、
   若輩者がお勉強させていただくということで
   お付き合いいただけましたら幸いです。
   お道具はお稽古用ですし、何の風情もございませんが、
   母が水屋にて料理をしてくれますので、母が元気なうちに、
   と奮起した次第です。

             

Yさまの奮起の気持ちが嬉しく、1月30日が待ち遠しい思いでした。
・・ところが、前日まで晴れていたのに朝から小雨が降っています。
「おかしいな? 私は強力な晴れ女だと思っていたけれど
 どなたか強力な雨女がいらっしゃるのかしら?」

そんなことを連客のTさま、Fさま、Iさまと話しながら
Yさま宅へ向かうと、Fさまが
「私の友人が強力な晴れ女だったのですが、
 年をとるとパワーが弱まるそうですよ」
・・・なるほど! 笑いながらもへんに納得してしまいます。

待合で詰のHさまと合流し、不肖暁庵が正客を務めました。
待合の掛物は、
「無心 行大道」とあり、黄梅院・太玄和尚筆です。
「無心帰大道」の禅語はよく拝見しますが、「・・行大道」は初めてでした。

             

手付きの手あぶりはインパクトのある白磁染付、煙草盆が用意され、
香煎で喉を潤し、玄関外の仕掛け待合へ。
雨がまだ降っていたので、ご亭主が迎え付けに出られ、
「蹲と躙口からの席入は省略させて頂き、
 待合からお入りくださいませ」

八畳広間へ席入すると、床に
「山川草木皆新」(さんせんそうもくみなあたらし)
睦月にふさわしく、心身がリフレッシュするお軸は紫野大亀老師筆です。

客一同、拝見した途端、うるうると感動したのが風炉先屏風、
ご亭主の結婚が決まった時に、母上から贈られたものでした。
黄梅院・太玄和尚筆で、次のように書かれています。

   送り 
 
    嫁ぎゆく
     阿子の姿を
       見送りの
    行く末安ず
      母のいませり   
              母より


水屋の母上の応援歌を受けながら、ご亭主の初陣茶事を見守る
風炉先屏風です。
                                


         睦月の茶事へ招かれて-2へつづく